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音声データで成約率アップ【TIPLOG 代表取締役CEO 高津 守氏】

音声データで成約率アップ【TIPLOG 代表取締役CEO 高津 守氏】

導入は20社以上に拡大
――AIサービス「Phonoscape(フォノスケープ)」も、第二段階に移行しているとか。
高津「音声録音と文字起こしを活用し、ウエディングプランナーの業務を支援するサービスですが、、これまでは業務効率化の側面が中心であったのに対し、現在は成約率向上に寄与する取り組みへと軸足を移しつつあります。昨秋の本格リリース以降、サービスの導入社数は現在20数社規模へと拡大しています。導入社数の増加によって、サービスに対する期待も様々な形で出てきています。1つはこれまで通り、プランナーの業務効率化。2 つ目はハイパフォーマーのノウハウの可視化。3 つ目はそれらを基にしたナレッジ化による新人の早期戦力化で、いわば教育に生かしていくという考え方です。さらにその前段として、マニュアルの整備およびブラッシュアップも重要な位置付けとなっています。」
――これまでの成功パターンが通用しにくくなっている状況で、顧客のリアルな声を収集しているからこそ、ブラッシュアップも可能になるわけですね。
高津「多くの会場では成約率向上に向けた営業手法やアクションを、方程式として依存してきました。もっとも、それが現在の顧客に対して有効かどうかは検証されていないケースも多い状況。Phonoscapeを活用することで、実際の商談内容を音声として収集し、分析することにより、従来の成功パターンの中で不要な要素を削ぎ落とし、現代の顧客に適応した新たな営業手法へと更新していくことができるわけです。実際に本社の営業本部が過去の成功体験を基にした指導を行っていて、現場の実態と乖離も生じている。さらに新人スタッフは古いマニュアルを学ぶため、なかなかパフォーマンスは高まりません。こうしたギャップを解消するために、マニュアルの継続的なアップデートは重要で、その材料としてAIの分析データは見過ごせません。また、そもそもマニュアルの存在しない会場もあります。その場合は、複数の商談データの蓄積、分析により、新たなスタンダードを構築する取り組みが求められます。ゼロから勝ちパターンを作り上げる支援も含めて対応します。」
――取得したデータを活用することで、マニュアル整備を可能とします。さらにノウハウも可視化されれば、トレーニングへの展開に繋がります。
高津「トレーニングにおいては、各商談の会話ログを基に、成功パターンと照らし合わせた評価をします。AIが商談内容を分析し、何ができていたか、どこに改善余地があったのかを明確化。カウンセリングやクロージングにおける具体的な技術や約束事をあらかじめ設定しておくことで、各プランナーの実践内容を自動的に評価できる仕組みとなっています。評価のフィードバック方法にも配慮していて、分析結果はマネージャーのみ閲覧できる設計とし、週次のミーティングなどで人を介してフィードバックを行うことで、AIによる直接的な指摘などが現場のモチベーションに影響を与えないよう工夫しているのも一つの特徴です。」
――今後はAIをツールとして活用しながら、伴走型でのサポートも検討しています。
高津「マニュアルの整備なども含め、単なるツール提供ではなく、コンサルティング的な立ち位置での関与も必要だと考えています。リアルな接客データをもとに勝ちパターンを構築する点において、従来の机上の分析とは異なる価値を持ちますので。また活用領域は成約率向上にとどまりません。打合せ段階における提案の抜け漏れ防止や、料理・衣装・装花などの単価アップにつながる提案の精度向上にも寄与します。セールススクリプトと実際の提案内容の整合性を確認することによって、売上や利益の向上にもつながります。さらにその先にはビッグデータの活用が位置付けられていて、商談の中から顧客の関心や不安要素を抽出し、マーケティング施策へと反映。競合会場に対する評価や比較ポイントも具体的に把握できるため、広告クリエイティブ、訴求メッセージの改善にも活用できます。」
高津「サービスとして、複数のプランを用意しています。(上図参照)。スタートアッププランはマイク2 台を初期費用に含み、業務効率化や、言った言わないの防止といった基本機能を目的とした導入。必要に応じて追加購入もできる構成にして、ミニマムから開始できるようにします。ナレッジプランでは、会場ごとの勝ちパターン構築を目的に、4 台のマイクを導入。ハイパフォーマーと新人双方の商談を比較分析し、属人的な暗黙知を形式知へと転換していきます。分析やマニュアル化支援を含む内容としていて、コンサルティング要素を含んだプランとして位置付けています。Phonoscapeは、音声データの取得を起点に、現場の接客を可視化し、教育・営業・マーケティングまでを一体で改善していく形であり、単なる録音ツールではなく、現場データを基盤とした経営改善のインフラの役割を果たしていきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月21日号)