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選択的夫婦別姓の裁判【リフト法律事務所 代表弁護士 川村勝之氏】
結婚に関連するビジネスを展開するブライダル業界にとっても、見逃せないニュースの一つが【選択的夫婦別姓】。6月23日、最高裁は夫婦別姓を認めないのは違憲ではないかという争いに対して、合憲という決定をした。今号ではリフト法律事務所(千葉県千葉市)の代表弁護士・川村勝之氏にこの裁判の概要、今回の決定についての解説、今後を聞いた。また、夫婦別姓の考え方をハセガワエスティ(東京都渋谷区)阿久津五代子社長が指摘する。
【裁判の概要】
夫婦が婚姻届を提出する際、婚姻届に【夫は夫の氏、妻は妻の氏を称する】旨を記載して婚姻の届出をしたところ、国分寺市長から不受理とする処分を受けたため、この不受理処分に対して不服があるとして、戸籍法122条に基づき夫婦別姓での婚姻届の受理を求めた事案です。
市長が受理をしなかった理由は、民法第750条(夫婦同氏規定)、民法第739条第1 項(婚姻の届け出)及び戸籍法74条1 号(婚姻届の記載)によって、婚姻時には、夫婦いずれかの氏を称し、婚姻届にはそのいずれか一方の氏を記載しなければならないと定めていたことから、夫婦別姓での届出を不受理にしました。夫婦別姓を認めずに婚姻届を受理しないこれらの規定は、憲法24条(婚姻の自由、個人の尊厳)等の憲法違反ではないかという訴えが争われた事案です。
簡単にいえば、夫婦同姓であることを婚姻届の受理要件としており、夫婦別姓を認めていない現在の法律は、憲法違反で無効だと争われたものです。
【決定の概要】
結論として、夫婦別姓について争われた平成27年12月16日の最高裁大法廷判決で示されたとおり、夫婦同氏規定を定めた民法750条、夫婦同姓である氏を婚姻届の必要的記載事項と定めた戸籍法74条1 号は、いずれも憲法24条には違反しないと判断されました。
最高裁は、選択的夫婦別氏制を採るのが立法政策として相当かどうかという問題(法律をどう制定するかという政策問題)と、夫婦同氏制を定める現行法の規定が憲法24条に違反して無効であるか否かという憲法適合性の審査の問題(現在の法律が違法かどうかの判断)とは、次元を異にするとしています。夫婦の氏に関することついてどのような制度にするかなどは、国会が決める事柄にほかならないとしています。
また平成27年の最高裁判決から5 年以上経過していますが、今回の判決は平成27年の最高裁判決以降の、女性の有業率の上昇、管理職に占める女性の割合の増加、その他の社会の変化、選択的夫婦別氏制の導入に賛成する者の割合の増加、その他の国民の意識の変化などを考慮しても、いまだ憲法違反ではないとして、現行の法律は憲法に違反していないと判断しています。この最高裁決定は、15名中、11名が合憲、4 名が違憲と判断しており、様々な裁判官の意見が付されています。
最高裁の決定が夫婦別姓を全く受け入れない考えかというと、決してそうではありません。今回の結論の補足を述べる補足意見は別囲みの通りです。
【見解】
本件の最高裁決定では、現在の法律制度が国民の婚姻の自由等を侵害しているか、夫婦別姓を定めないことが立法機関である国会の裁量逸脱で違法か(立法または法律改正しないことが違法か)という点について、大きく判断が分かれています。結論として、多数意見は合憲とする判断をしましたが、補足意見のように、立法機関に対して立法での解決が望ましいというメッセージを送っています。また、反対意見も長文にわたる、説得的な反対理由を述べています。
国会にて最高裁の様々な意見、国民の声、社会的な情勢を真摯に受け止めてもらい、夫婦別姓に関する議論、法律制度の見直しが進展することを期待しています。なお、日本弁護士連合会は、決定の2日後、国会は最高裁大法廷が2度にわたり国会での議論を求めていることを重く受け止めるべきであり、これ以上の議論の先延ばしは許されないとして、選択的夫婦別姓制度を導入することを求めるとする会長声明を出しています。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)

