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選択できる自由さ 結婚へのハードルを無くす【ハセガワエスティ 代表取締役社長 阿久津五代子氏】

選択できる自由さ 結婚へのハードルを無くす【ハセガワエスティ 代表取締役社長 阿久津五代子氏】

大正大学キャリアセンターの客員教授に就任し、9月からゼミも受け持つことになるハセガワエスティ(東京都渋谷区)の阿久津五代子社長。ゼミ全体のテーマは、【一生働くために必要な要件を体得する】に定め、ホスピタリティ業のスキルを学生たちに伝えていく。その一環として女性の働き方も取り上げていくことになるが、課題となるのは選択的夫婦別姓だ。結婚産業に大きく関連したこの話題を、阿久津氏はどのように若者に伝えていくのか。

――ゼミがスタートします。

阿久津「もともと経団連経由で3 年ほど講師を務めていた流れから、客員教授に就任しました。大正大学は仏教系の学校で、ホスピタリティ業界に向いていると考えています。ゼミは全14回で、ホテルのインターンも経験しながら、立ち振る舞い、マナーなどを教えていきます。また女性中心になることを想定していることで、女性の働き方も学ばせていく予定です。」

――大きな課題として、選択的夫婦別姓があります。

阿久津「私は経団連の女性部会に入っていて、そこで選択的夫婦別姓について話し合っています。大抵の場合、結婚によって女性側の苗字が変わり、それまで聞きなれていない名前で呼ばれ続け、無意識にアイデンティティは喪失されます。私自身も離婚、再婚で苗字は3 回変わっていて同じ想いを経験しているからこそ、その実体験を若い人に伝えていきます。」

――選択できるという点が、ポイントなのかと思います。

阿久津「これまでの苗字のままにしたい、苗字が変わっても構わないという人で分かれるでしょう。女性部会の話し合いの中で、選択的夫婦別姓となれば40%は別姓を選ぶだろうから複雑になってしまうという意見もありましたが、私はそこまで多くはならないのではと思っています。子どものこともあるため、夫の名前でいいのではという場合や、そこまで旧姓にこだわっていないという人も多いでしょうから。要は選択のタイミングで、自分の家系などをキチンと考えるキッカケになることが大切ではないでしょうか。」

――経団連としては、職業上の理由から選択的夫婦別姓推進の立場を表明しています。

阿久津「医者や弁護士、CA、研究者など、戸籍と同じ名前を名乗らないといけない職業があります。例えば医者や研究者は論文を発表しても、苗字の変更によってそれまでの実績が把握されにくくなるという問題も出てきます。海外に行っても、パスポートと違う名前でいることに支障の出る職業の人は大変です。私自身の経験としては、契約関係は経営者の謄本通りにしなければならず、カッコ書きで本名を入れています。また司会は芸名を含めた通名を使っていることも多いため、口座名との照合など経理は大変ですね。」

――女性活躍の阻害要因であると共に、結婚の障害になっているケースもあるそうですね。

阿久津「当社は結婚相談所を運営していて、会員の中には自分の名前を変えることが出来ないという人もいます。例えば、遺産相続面から苗字を変えると面倒になる。また家柄により、姓を継いでいかなければならない。現在の苗字に、強いこだわりを持っている人もいます。そうなると、結婚相手に求める条件の一つに、女性の苗字になってくれるかどうかが入ってきます。どんなにいい相性でも、そこをクリア出来なければ結婚には至らない。自ずと相手も限られ、また仮に結婚をしてもうまくいかないケースも普通の人より高まっていく。結婚のハードルになってしまいます。」

――ブライダル業界ではどのように考えていくべきですか?

阿久津「まず選択的夫婦別姓であれば、前述した人たちの支障もなくなることで、結婚数は増えていくでしょう。また、基本的に今の若い人たちは同姓でも別姓でもそれほどこだわりは少ないでしょうが、同姓でないとダメと言う状況に窮屈さを感じ結婚への心理的ハードルになりかねない。そこまでして結婚をしなくてもいいかなと。だからこそ選択肢のあることは何よりも重要。ブライダル業界としては、同姓でも別姓でも、どちらでもきちんと気配り出来るというアピールが必要かと。」

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1日・11日合併号)