LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

連載9《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》人が辞めない企業文化(ゲスト:ブライド・トゥー・ビー 代表取締役 伊藤誠英氏)
直営ショップならびに全国のスーパーへの卸を通じて、380円のカヌレを月12万個販売する体制を整えたブライド・トゥー・ビー(名古屋市瑞穂区)。アイスクリームも商品開発し、東京吉祥寺でのショップオープンも間近に迫っている。同社の伊藤誠英社長は、コロナ禍においても全社一丸でスイーツ販売に力を注いできたが、その原動力は人が辞めないカルチャーだ。T&G岩瀬賢治社長の対談企画【ブライダル経営者サロン】第9回のテーマは人材活用。
吉祥寺にショップ出店
岩瀬「カヌレの卸先スーパーの開拓で、47都道府県制覇も目前だそうですね。」
伊藤「昨年からスタッフ全員で営業開拓を進め、取引数は80社を超えました。今は卸で月に4 万個、直販でも2 万個を販売。新しい工場が完成すれば、12万個まで製造できるようになります。もともと当社のカルチャーは人が辞めないことで、その人材を活かすために料理人の派遣事業なども展開していましたが、パティシエの需要が少ないという事情がありました。全国コンクールで5 大会連続ファイナリストになったパティシエが所属している強みもあることから、外販用スイーツ製造に着手。大手企業からOEMのような形で作って欲しいという依頼も受け、色々提案した中の一つがカヌレでした。昨年4 月にオープンする予定だった大手スーパーでの販売も決まっていたのですが、緊急事態宣言で延期に。当時はステイホームでスタッフの気持ちが沈んでいた時期でもあり、それならば一生懸命カヌレを売ろうと、宣言終了後から短パンTシャツを着て街頭販売を始めました。提携先の美容室や花屋の前でゲリラ的に販売したところ、毎日小銭が70万円ほど入ってきて(笑)。スタッフ全員が汗だくで路面に立ち、セールストークも磨かれましたね。」
岩瀬「いい意味で、商売っぽくていいですよね(笑)。それが原点でしょうし。SNSでも、色々なところで販売している写真を頻繁に見ました。」
伊藤「始めは式場の厨房で作っていて、昨年の秋に結婚式が戻ると厨房が使えないということから、大須にショップを開店して工場も併設しました。現在は新しい工場も作っていて、また吉祥寺に直営ショップのオープンも決まっています。都会はショップで直販、地方はスーパーへの卸で進めていきます。直販では粗利が80%。テイクアウトのためワンオペで対応でき、家賃も5 坪あれば十分です。現在はアイスクリームの卸もスタートしています。480円と少し高いのですが、すでにスーパーでのモニタリングの実績も出たことから、2 万個を製造販売していきます。アイスは賞味期限がないため、作れる時に作って倉庫にストックできますし、ブームに左右されるカヌレよりも需要は安定的。こうした取り組みが、軌道に乗ってきました。」
岩瀬「当社でもレストランを何店舗か展開していますが、例えば横浜のパイホリックも、他の店にサブリースして支払ってもらえる家賃と自社でやった時の利益を比較して、それならば自社でやろうというのがスタートしたきっかけでした。路面の飲食店の難しさは、結婚式場の比ではないと思っていますし、そこに投資をかけることはなかなかできません。当社では結婚式事業の一環として東京、横浜、大阪にあるケーキの工房でスイーツ、ケーキを作って各事業所に送っています。社員からは他店の受注が取れるだろうから工房を拡大して欲しいというリクエストもありますが、今受注が取れたとしても、5 年後にそれが継続しているかどうかは分かりませんので、そこに対して設備投資をするのは難しいですね。それならば全国の事業所で使うパン、引菓子を作るなど、あくまでも自社でコントロールできる部分に対応していった方がいいという考えです。」
伊藤「事業規模が違いますから。当社の場合はカヌレで12万個、アイス2 万個を販売すれば、それだけで全体売上の30%になります。減少している結婚式の分を、取り戻せるわけです。」
ゼロイチの経験をさせる
岩瀬「ただ、コロナで厳しい時期に、もう一つの主力事業になりうるビジネスを生み出せたのは凄いと思います。」
伊藤「コロナがあって良かったと、個人も会社も言えるようになりたかったですね。とにかく何でもいいから、コロナの中でもチャレンジしようと。」
岩瀬「当社も色々なことを仕掛けていますが、一つひとつは小さい規模ですし、それが主力になり得ないとも思っています。だからこそ基本は、国内のウエディングとホテルに対してどうリソースを割いていくかを重視しています。例えば婚活事業なども始めましたが、最大のポイントはスタッフが自分達で考えて事業計画を作り、ゼロイチの経験をさせてあげること。事業メリットだけを考えれば、年間70万食のコース料理を提供しているからこそ、品質を上げながらコストを抑えていくことの方が大きいです。」
伊藤「カヌレに関しても、これまで何年もかけて取り組んできたことがあってようやく辿り着いたと考えています。人が辞めない会社に変わってきて、毎年やっている無記名の従業員満足度調査でも、好き・大好きの回答が100%です。5 年連続でコンテストのファイナリストに進み前回は惜しくも2 位になったパティシエに対しても、とにかくお金を出すからどんどんチャレンジしなさいと。日本一になるにはどうしたらいいかということで、世界一になった松島義典さんに頼んで、技術の教育をしてもらうなど。そうした積み重ねがカヌレという形になったわけで、何一つ欠けていても出来なかったと思います。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)

