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連載9《今こそ基本に立ち返る 地方施設のプッシュ型集客》ゼクシィの活用方法を再考するタイミング【ティール 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載9《今こそ基本に立ち返る 地方施設のプッシュ型集客》ゼクシィの活用方法を再考するタイミング【ティール 代表取締役 工藤 慎也氏】

デジタル偏重の風潮が進むなか、あえて原点に立ち返ることで、集客戦略の地力を高めることが本質的な打ち手になります。その文脈で、避けては通れないゼクシィ、特に「ゼクシィ本誌」の活用方法を改めて考えていきます。

昨年2 月のゼクシィ改変以降、周辺エリアから都市部への流出が加速しました。一部地域で進んだ台割統合や特集ページ改変、実質的な値上げによる出稿の停止、ページ縮小により、周辺エリアの可視性は著しく低下。フェスタなどの影響もあり、昨年の新規集客数は流出エリアで昨対比80~90%、一部地方では50%台に落ち込みました。

次に、大手と中小会場の格差拡大ですが、ゼクシィの商品構成がパックによる統一化・簡略化・標準化されたことで戦略の自由度は減り、マーケティング人材や戦略設計力の差が顕在化する事態となりました。これまで以上に資本やノウハウを持つ会場がより有利になる構造で、中小会場は「ゼクシィに出しても勝てない」土壌が生まれています。また、WEB・SNSを含め全方位で集客マネジメントできる体制を持つ大手と、それが困難な中小との間で、もはや「戦う土俵そのもの」は異なっており、実際ゼクシィに出稿しても集客を期待した程には確保できず、「ゼクシィに出していればOK」の時代は明らかに終わりました。

リニューアル後の価格体系により、パック間の差分が広がり、結果的に広告費を抑えた分をSNSやWEB広告に投下する動きも見られます。WEBやSNSはゼクシィより上流でリーチできるため、プレゼント婚やフォト婚の影響をダイレクトに受け市場の披露宴層が激減するという「意図せざる結果」も引き起こしています。

一方で、大手を中心に再び本誌への出稿を強める動きが出てきているのも事実です。これは、デジタル施策の限界とゼクシィ本誌の需要の掘り起こし機能への再評価とも言えるでしょう。「結婚したらゼクシィ」というブランド力は依然として強く、婚礼商品の特性上、小さいスマホではなく紙媒体で学ぶ・比較するという購買行動を支える構造はまだ健在です。実際、1 会場しか本誌掲載のない商圏でもゼクシィ通過率が高いケースもあり、掲載写真のトリミングやサイズが来館客層に影響するほど、本誌は依然として強力な集客力を持っています。

ただ、現在は営業や制作体制の縮小も進んでおり、ゼクシィに対する期待値は下がるなかで、会場側の出稿判断がビジネスではなく「感情ベース」になっているケースも散見されます。市場が縮小し婚礼意欲の低下している今だからこそ、ゼクシィというアナログ媒体の価値を事実ベースで冷静に見直すタイミングではないでしょうか。

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月11日号)