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連載6 ローカル会場【勝利の方程式】NPSを活用し評判を仕組みに変える設計【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載6 ローカル会場【勝利の方程式】NPSを活用し評判を仕組みに変える設計【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

 

現場を見ていると、良い施行であってもその成果が評判として再現されず、また担当者個人の力量に依存しているケースも少なくありません。つまり、評判が「偶然」に頼っている状態だといえます。これを継続的な集客につなげていくためには、評判を意図的に生み出し、さらに改善していく仕組みが必要になります。

そのための有効な指標として、私が10年ほど前から伝えているのがNPS(ネットプロモータースコア)。NPSとは「この会場を友人に勧めたいと思いますか」という質問を軸に顧客を評価する指標で、回答をもとに顧客を「推奨者」、「中立者」、「批判者」の三つに分類します。一般的な満足度調査は「良かったかどうか」を測るのに対して、NPSでは「他人に勧めたいか」という紹介意向を測る点が特徴となっています。紹介や口コミが重要なブライダル業界においては、特に相性のよい指標だといえるでしょう。

具体的な運用としては、新郎新婦向けの施行アンケートや列席ゲストアンケートにNPSの質問を組み込む方法があります。これにより、自社の施行体験はどの程度紹介につながる状態にあるのかを可視化することもできます。さらに重要なのは、NPSの結果をもとに顧客へのアプローチを変えることです。例えば「推奨者」は満足度が高く紹介意向も強いため、口コミ投稿の案内や友人紹介キャンペーンなどを通じて評判を広げていく役割を担ってもらえます。一方で「中立者」は、不満はないものの強い印象が残っていない可能性もあり、どの部分の体験を改善すれば評価のアップになるのかを分析する必要もあります。そして「批判者」が一定数いる場合には、施行そのものや接客に課題のある可能性も高く、早期のフォローやオペレーション改善は欠かせません。

このようにNPSを活用することで、施行体験を「測定→分析→改善」というサイクルで回すことができます。重要なのは、この取り組みを施行チームだけの仕事にしないことです。口コミ内容や評価結果を集客チームとも共有しながら、施行で生まれた強みをマーケティング側として言語化していくことにより、評判を継続的に育てていくことができます。

広告量で勝ちにくいローカル会場にとって、評判は最も積み上げやすい信頼資産です。地域では友人、職場、家族といった人間関係のネットワークは強く、良い体験が自然と会話の中で共有されていきます。だからこそ、施行品質を高め、その評価を可視化し、改善サイクルを回していくことが重要になります。ローカル会場にとって、施行品質の向上は避けて通れない取り組みといえるでしょう。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)