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連載5〔Yumi Katsura千里眼〕挙式をしっかり販売する(ユミカツラインターナショナル 代表取締役社長・デザイナー 桂由美氏)

連載5〔Yumi Katsura千里眼〕挙式をしっかり販売する(ユミカツラインターナショナル 代表取締役社長・デザイナー 桂由美氏)

 コロナによる大きな影響を受けているブライダル業界。リーマンショックや東日本大震災時以上のダメージであり、今後の対応には難しい判断が求められている。桂由美氏は、一つの考え方として【挙式と披露パーティ】を分ける視点も必要と語る。そうすれば、コロナ禍でもできることが浮かびあがってくると。連載第5回は挙式と披露宴。

――挙式と披露パーティを一体として対応しているのは、そもそも日本だけとのことですが。

桂「そのスタイルについては、結婚式の歴史を見ていく必要があります。江戸時代は、花嫁行列で新婦が新郎の家に到着すると、そこで迎え入れて祝言をします。その後、近所の人や親せきと一緒に、宴を開いていたのです。その後明治になり政府は欧米の先進諸国と同じように儀式を位置づけるためにこれまでの自宅での結婚式でなく神社での結婚式をすすめたのです。つまり欧米のキリスト教に相当するものは日本では神道であり教会結婚式に相当するものは神前結婚式であるという考え方からです。従って現在私たちの行っている神前結婚式式次第は当時のキリスト教結婚式の式次第を参考に作られたものなのです。そしてその近代日本の代表的なウエディングが行われたのが東京帝国ホテルで、明治・大正の政財界の子女の結婚披露宴の多くが行われていました。そして挙式は近くれていたのですが、例の関東大震災で日比谷神宮が崩壊してしまったのです。未曽有の歴史的大惨事のあとでも結婚式は行われます。困った人々が帝国ホテルに仮の社を作ってほしいという声が上がり初めてホテル内に神前結婚式場が出来たのです。挙式も披露パーティも同じ場所でできる、衣裳や美容室なども用意され便利だということから喜ぶ人も増え、その後ホテルが出来ると館内に神前式場を設けるようになり、挙式と披露宴を同じ場所でやることが一般化していったわけです。」

――こうして日本独特のスタイルが確立されていったわけですね。欧米に関しては、挙式と披露宴が別々であると共に、シビルウエディングもあります。

桂「教会での挙式は、神に誓う儀式です。それに対しシビルウエディングは、役所に婚姻届けを提出する際に、公の場で本人同士の結婚の意思をもう一度確かめるセレモニーです。かつては親の強制や政略結婚など、本人の意思ではない結婚も多かった中で、本人同士が出席するそこで再度確認するということが必要でした。そこで欧米の多くの国では宗教による儀式と、法律上の儀式と両方を行う例が多いのですが、イギリスのようにキリスト教が国教になっている国では教会で婚姻届受理が行われるように一元化している国もあります。」

――挙式はウエディングドレスとも大きく関係しているようですね。

桂「教会で神に誓う結婚式では、胸もとを大きく開けたり太ももを見せるような、いわゆるセクシーなドレスは考えられないものでした。ところがこうしたドレスがアメリカを中心に流行ってきたわけです。その要因として、教会での結婚式を実施する人が減少してきたことがあります。国によっても異なりますが、多くのところで教会での結婚式は半分程度にまで減少しています。もともと教会での結婚式だから長袖、肌の露出を控え、トレーンも長くベールをしていたのが、役所での結婚式であればその必要もなくなります。さらに、夜の披露パーティで、友人がオシャレなカクテルドレスを着るため、それに合わせた様々なドレスが登場してきました。日本でもここ10年は、こうしたドレスが人気でした。」

――最近は、長袖で肌の露出を控えたドレスも人気となってきていますが。

桂「これはキャサリン妃、メーガン妃のロイヤルウエディングの影響でしょう。イギリスの場合キリスト教が国教であるため、王室もキチンとしたスタイルで結婚式を行います。私は日本でもチャペルで結婚式をやるのであれば袖が長いほうがいいですと提唱してきたものの、なかなか理解されずにいましたが、ここ数年の王室の結婚式の影響もあって、現在ユミカツラでは80%が袖付きのドレスになっています。また、挙式では長袖のブラウスを着用、披露宴ではベアトップにできるというツーウェイのドレスも人気となっています。」

――現在のコロナの状況下で、人が集まり会食する、つまり披露宴を実施することへの不安が植え付けられています。そんな時代だからこそ、別の選択肢として挙式と披露宴を分けて提供することも考えるべきかと。

桂「これも国によって異なるのですが、挙式と披露パーティを別の日にやるという例もあります。最近増えているマタニティ婚や子ども連れの結婚式に関しても、挙式は届と一体で実施。披露パーティは別の落ち着いた日に対応するなど。今のコロナの状況だからこそ、考えていくべきかと。今後、多様化がさらにはっきりしてくると考えられます。通常スタイルの結婚式を志向する人はもちろんいますが、人が集まることへの不安、さらに経済的な困窮によって大規模なものが出来なくなるなど。そうした状況だからこそ、挙式をしっかりと作り込んで、販売していくことが大切でしょう。また個人的には、開放感もあり換気もいい神社挙式は注目しています。」

――コロナにより、ドレス業界も厳しくなっています。その点についてはいかがでしょうか。

桂「先日岡山のFCのショップから手紙をもらいました。結婚式は非常に厳しい一方、前撮りフォトが注目されていると。密を防ぐために、一日二組で対応しているようです。こうしたフォトを受注していくのも、ドレスショップの対策かと。実は当社のビルもリニューアルし、6階部分は全面をフォトスポットのようにデコレーションしています。フォトスポットを設けることで、前撮り依頼にも対応でき。さらに結婚式が戻ってきた時に、ドレスを着てくれる訴求にもなるはずです。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)