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連載4:《会場の業績アップ事例》ニッチャー戦略に効く“共感の仕組み化”【ニューバリューフロンティア 執行役員 森房 知史氏】

連載4:《会場の業績アップ事例》ニッチャー戦略に効く“共感の仕組み化”【ニューバリューフロンティア 執行役員 森房 知史氏】

現場では、売上や成約の大半を一部のエースプランナーに依存している「属人化」の課題を抱える会場が少なくありません。「あの人がいれば売れる」といった状態は、一見すると強みに見えますが、実は大きなリスクです。その人が不在となった時、チームパフォーマンスは一気に崩れてしまいます。

特に、ニッチャー戦略においてはこの“属人化”は致命的。ニッチャーは、限られたターゲットに対して、自社ならではの価値を「深く」、「的確に」届けていく戦い方です。つまり、“何を武器にして戦うか”が明確である分、それをきちんと伝えられなければ勝負になりません。個人のスキルや経験に頼った伝え方では、その価値の「再現性」も「継続性」も担保できなくなってしまいます。

例えばある地方の専門式場では、「人の温かさ」、「スタッフ全員で創る結婚式」をニッチャー戦略の軸として掲げました。しかし実際には、それを体現できているのは一部のベテランスタッフのみで、新人や派遣スタッフは「ただ説明をこなす」接客でした。結果、理念や価値観と現場の体験にギャップが生まれ、成約率は伸び悩んでいました。そこで私たちは、まずその“温かさ”や“チーム力”を言語化・構造化。具体的には、共通のトーク例・声かけのタイミング・写真や動画での見せ方をマニュアル化し、「誰でも一定以上のクオリティで価値を届けられる」状態に整えました。

個人依存の改善には「言語化」だけでなく、“想いを共通で伝える工夫”も重要です。成約率の高いプランナーが自然と話していた「なぜ自分たちがこの会場で結婚式を行っているのか」という、ゴールデンサークルの“Why”に基づいた語り口を台本化して、ヒアリング後の会場内覧前に必ず組み込むように設計。ニッチャー戦略は“価格”や“設備の差”ではなく、“想い”や“姿勢”といった共感にこそ勝ち筋があるからです。この“想いから始まる”会話が共通の文化として根づいたことで、スタッフ間の接客のばらつきは改善し、半年後には、「誰が担当しても一貫した安心感がある」といった口コミが増え、成約率は前年比で12ポイント改善しました。

ニッチャー戦略とは、「限られた資源で勝つ」戦略です。だからこそ、一部の属人的な戦力に頼るのではなく、チーム全体で価値を届けられる仕組みこそ、真に強い組織をつくる鍵となるのです。

 

≪今回のワンポイント≫

『“あの人がいないと売れない”を、“誰でも売れる仕組み”に変える。ニッチャー戦略は“属人”を“仕組み”に変えた時に強くなる。』

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月21日号)