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連載3 ローカル会場【勝利の方程式】分散化する集客市場への向き合い方【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載3 ローカル会場【勝利の方程式】分散化する集客市場への向き合い方【ティール株式会社 代表取締役 工藤 慎也氏】

2025年3 月末のゼクシィキャンペーン改変(来館特典から成約特典への切替)以降、全国的にアクション率の低下は続いています。ゼクシィで予約に至らなかった層が他チャネルへ「溢れ出す」現象が顕著になり、複数媒体を横断して比較検討するカップルは増えています。とくに流出エリアでは前年同月比50%減の来館急落など、これまでにない極端な落ち込みで、現場には強い危機感も広がっています。

これまでゼクシィは「市場のマスを押さえる」役割を担い、母集団形成の基盤として大きな存在感を示してきました。しかし、キャンペーン改変に加え、結婚式プレゼント企画や広域フォト婚広告、上流イベントなど各社の打ち手が複雑に交錯し、ゼクシィの影響力は相対的に弱まりました。その結果、市場は一気に攪乱的で不安定な状態へと移行し、大手式場の施策ひとつで地域会場の来館数が急増・急減するなど、市場全体は揺れやすい構造になっています。媒体ごとの送客バランスは毎月変化し、もはや前年踏襲や過去の成功パターンは通用しません。加えて、ゼクシィでアクションしなかった層が他ポータル、SNS、WEB広告、HPへ二次流入、媒体ごとの情報整合性はこれまで以上に問われています。写真・特典・プラン内容にズレがあると、比較段階での不信につながり、離脱を招くリスクも高まります。しかし現場では、「写真更新が追いつかない」、「媒体管理が片手間」「特典が媒体によって異なる」など運用崩れは顕在化しています。
こうした状況でメディア効率が落ちると、「様子見して出稿を抑えるか」、「競合も減らしているならうちも」といった判断も生まれがちです。しかし、現在の市場では「様子見こそ最大のリスク」です。情報検索の分散化した今、露出が一定量を下回れば、比較対象から一瞬で外れてしまいます。
では、既存メディアとどう向き合うべきでしょうか。第一に、出稿量を調整する前に「情報の最適化」に投資する。写真・特典・プランのクリーニング、媒体横断の整合性チェック、SEOやSNSを含む検索導線の整備といった下支えこそ、今最も効果を生む領域です。第二に、ゼクシィを「来館を直接つくる媒体」と捉えるのではなく、比較・深掘り・最終アクションへつなぐ起点媒体として再認識する。ゼクシィを入口、他媒体やHPを出口として設計すれば、溢れ出しを前提とした導線設計が可能になります。最後に、複数媒体を「点」ではなく「一つの集客装置」として捉え、どこで流入を確実に取り切るかを明確にする。勝ち筋は「ゼクシィか、それ以外か」ではありません。情報管理×運用体制×メディア設計の総合力こそ、これからの市場で成果を分ける決定的な鍵となります。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、12月11日号)