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連載112:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]『サプライズ演出は新郎新婦に内緒のままでよい?』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

連載112:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]『サプライズ演出は新郎新婦に内緒のままでよい?』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

新郎新婦に内緒のサプライズは契約違反?

 

いつもご愛読ありがとうございます。今回のコラムでは、参列者から披露宴での「サプライズ演出」の相談を受けた際に事業者はどこまで対応可能なのか?というテーマについてQ&A形式で解説します。

 

Q.たまに参列者から「新郎新婦には内緒で」とサプライズ演出への協力を求められることがあり、その都度対応に困ってしまいます。新郎新婦には内緒でサプライズ演出を実施することで、契約上のトラブルに発展するリスクはあるのでしょうか?

A.残念ですが「リスクはある」と言わざるを得ません。 まず、会場事業者が契約している相手は新郎新婦であって、参列者ではありません。次に、契約をした以上は当事者間でなされた合意を遵守する義務がお互いに生じるところ、契約当事者である新郎新婦の同意を得ずに披露宴演出の内容を変更してしまうことは、後から「これは契約違反だ」という指摘をされてしまうリスクは否定できません。

 

Q.たとえばこれがご両親からの指示や依頼だったとしてはどうでしょう?

A.新郎新婦が成人であれば、基本的には回答は変わりません。 いくらご両親からの申し出であったとしても、契約当事者ではない以上、新郎新婦の同意を得ずに披露宴演出の内容を変更してしまえば「契約違反」の責任を問われるリスクは変わらないと言えます。

 

Q.ただ参列者も新郎新婦を喜ばせたい一心で企画されていますし、なんとか安全にサプライズ演出を受け入れる方法はないでしょうか?

A.私が把握している他社事例をいくつか紹介すると、まずは、予め新郎新婦に「参列者等からサプライズ演出の依頼があったら受けて良いか」という意思確認をしている運用例があります。予め包括的に承諾を受けていれば、サプライズ演出を受け入れても契約上のトラブルが発生するリスクは極めて低いでしょう。次に、そうした要望があった際に「せめて新郎か新婦のいずれかの同意を得てくれ」という条件を付す運用例も耳にします。契約当事者である新郎と新婦の少なくとも一方の同意を得ていれば、「契約違反」と批判されるリスクはかなり軽減できると考えます。

 

Q.たとえば「新郎か新婦かいずれかの同意を得てくれ」と依頼したのに、「それではサプライズの意味がない」と拒否されたような場合に、会場事業者は参列者の申し出を断っても良いのでしょうか?

A.もちろん断っても構いません。 そもそも事業者と参列者との間には契約関係はありませんので、意に反して何らかの作為または不作為を押し付けられることはありません。施設を管理する者は施設を利用する者の行動を一定程度コントロールできる権利をもっていますので、事業者として「不可」と判断したのであれば断っていただいて構いません。

 

Q.では、参列者に対して「事前にサプライズ演出の内容を報告してくれ」等と条件をつけることは問題ないか?

A.もちろん問題ありません。 先程と同じ理屈から、他の参列者の迷惑になったり、施設内の安全を維持したりすることを目的に、「事前に報告せよ」という条件や「こういった行為は不可」という制約を課すことは法的に問題ありません。

 

Q.サプライズ演出の申し出に悩む会場事業者はどうすればよいでしょう?

A.まず、原則としてサプライズ演出を受け入れるのか、断るのか、条件をつけるのか、施設としての方針を明確に決めるのが先決です。その上で、新郎新婦や参列者からそれに同意を得たことを証明するために覚書等に記録を残しておくと安心です。 新郎新婦も参列者も幸せを感じられる演出となるよう、そのあたりが曖昧な場合にはルール化をしておくとよいと考えます。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)