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連載110:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]『オンライン接客に潜むクーリングオフという注意点』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

連載110:今を知り、明日を勝ち抜く[ブライダル法務NOW]『オンライン接客に潜むクーリングオフという注意点』【株式会社ブライト 行政書士事務所ブライト 代表 夏目哲宏氏】

 前回のコラムでお届けした「BRIGHTが選ぶ新年に注意が必要なブライダル法務厳選5テーマ」には入っていないものの、最近急激にご相談が増えてきた「特定商取引法」に対するご質問についてQ&A形式で解説します。

Q.新規のお客様からのリクエストがあってオンラインで接客し、その流れで契約をしたのですが、あとからそのお客様が「解約したい。ただオンラインでの契約なので特定商取引法上の電話勧誘販売に該当して『クーリングオフ(白紙解約)』できるので、解約料は支払わなくてよいはずだ」とご主張されています。これは正しいご主張なのでしょうか?
A.残念ながら正しいご主張である可能性があります。
 まず、特定商取引法では、「訪問販売」や「連鎖販売取引」などお客様との間でトラブルが起きやすい一部の取引形態において、お客様側に強い権利を与えて保護を図る規定が設けられています。その中で『クーリングオフ』という制度も設けられており、これを消費者が主張すれば、事業者との間で一旦契約をした後であっても一定の期間内であれば無条件で(解約料を支払わずに)キャンセルできるとする制度です。

Q.しかし、普段の結婚式やドレスの取引において『クーリングオフ』の主張をされることはありません。なぜ今回は主張できる可能性があるのでしょうか?
A.オンラインでの新規接客を経ての契約締結が、特定商取引法で規定される電話勧誘販売という取引形態に該当する可能性があるからです。電話勧誘販売に該当した場合には、契約した顧客には『クーリングオフ』を主張する権利が与えられるのです。

Q.電話勧誘販売ですか?こちらから電話したのではなく、お客様がご希望されたからオンラインのURLを設定してお打ち合わせしただけですよ。
A.納得がいかない気持ちはよくわかります。ただ、条文上は「事業者から電話をかける」というわかりやすい形だけでなく、「ここに電話(またはオンライン)してください」と電話番号やURLを送って、そこからの連絡に対して営業活動を行うことも電話勧誘販売に該当すると規定されているのです。

Q.こちらは電話勧誘販売をしているというつもりが全くないので、何も対策していません。この場合はどうなりますか?
A.電話勧誘販売により契約を締結した後は事業者から顧客に「クーリングオフが主張できますよ」と記載した書面をもって通知しなければならず、それを受領した日から8日間、顧客は『クーリングオフ』を主張できます。
 この通知がなされていなければ、顧客はいつまでも『クーリングオフ』を主張できてしまいます。

Q.『クーリングオフ』を主張されると、契約は無条件で解約され、解約料も請求できないですよね?
A.大丈夫です。特定商取引に関する法律施行令第2条第1号では、「契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに」ここへ電話しろ、ここからオンラインに入れと要請すると電話勧誘販売に該当すると規定されています。逆を言えば、お客様にURLを送付する際に「オンラインでご説明をした後に、お客様のご希望があれば契約に向けたご案内、お手続きも致します」という趣旨の文言をつけておけば「電話勧誘販売には該当しない取引だ」と主張できます。

Q.そういう対策ができるのですね
A.私たちブライダルの営業手法は、本来特定商取引法で規制され『クーリングオフ』の義務を課されるようなものではありません。したがってお客様のご希望で新規接客をオンラインで行う場合には、URLとともに上記のような文言を必ずつけることで、特定商取引法が適用しないよう、言い換えれば『クーリングオフ』の主張をされないような制度設計をすることをお勧めします。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月11日号)