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第2回《Yumi KatsuraのDesigner’s Talk》挙式と披露宴は別【桂由美氏×小原義之氏】

第2回《Yumi KatsuraのDesigner’s Talk》挙式と披露宴は別【桂由美氏×小原義之氏】

 親族やゲストに迷惑をかけられないと、結婚式を延期・中止する花嫁はまだまだ多い。日本以上に感染者数、死者数が多いアメリカではどうなのか。全米ブライダルコンサルタント協会日本オフィス(東京都中央区)のアジア&オセアニア統括代表・小原義之氏は、「挙式と披露宴を別々に考えるアメリカでは、別日に開催することは珍しいことではない。」と語る。桂由美氏の対談企画【Talk Session】第2回は、日米の花嫁の意識の違いを語りあった。

誰もマスクをしない挙式
――結婚式開催に対する、日本とアメリカの意識の違いとは。
桂「今の日本の状況は、誰もが想像できなかったわけです。ただ、災害、戦争などの非常事態の後に結婚式をすると、離婚がほとんどないとも言われています。一緒に生きていきたいという大切な想いが、平常時よりも強くなりますから。そうしたことをドレスショップに来る花嫁に話しながら、頑張ってと励ましています。では中止にせずに結婚式を実施するためには、どのような考えを持てばいいか。まずは親族や大切な人だけを招いて、小さくてもいいから結婚式を先に開催する。その後コロナが落ち着いた時に、多くの友人を招いて披露パーティを実施。つまり2段階に分ける発想が、今こそ必要ではないかと。」

小原「もともとアメリカのみならずヨーロッパでも、挙式と披露宴を分けて考えています。というのも、欧米は挙式をしないと婚姻届が受理されない。一方で、披露宴は親しい友人や知人を招いてのおもてなしをする機会であります。日本の場合は、挙式と披露宴を1 つのセットにしてイベント化しているため、この部分を分けて考えることは難しいと言えます。実際にコロナ禍のアメリカでは、挙式は自分たちの儀式であるため少人数でも予定通り開催した例が多く、披露宴については1 年延ばして今年に延期するということも当たり前でした。」

桂「アメリカはロックダウンが発出されるなど、日本以上にイベント開催などの規制が厳しかったと思われますが。実際のところはどうなのでしょうか。」

小原「州によって強弱は違いますが、イベントの場合屋外であれば開催してもいいというところはあります。また日本と違うのは、何人以上のイベントをしないようにといった規制が出ていても、新郎新婦が開催してしまうことでしょう。これはイギリスのケースですが、披露宴を開催したために、開催場所となった会場がペナルティを受けたという事例もあります。」

桂「アメリカでは、結婚式によってクラスターも発生していると聞きます。それでも開催しようという人はいるのですね。」

小原「結婚式でのクラスターは数多くあり、さらに会場で感染した人が他で感染させているという事例も。ある新郎新婦が、テレビのニュースに出てきて挙式の話をしました。自分たちは感染予防をしてほしいと考え、ゲスト全員分のマスクを置いていたのですが、花嫁がバージンロードに続く扉を開けると驚いたと。そこにいる誰も、マスクをしていなかった。唯一祖父母だけがマスクしていたのですが、結局感染してしまい重症化したことで、同じことを繰り返して欲しくないと語っていました。日本との大きな違いは、仮にこうしたことをテレビで流せば、新郎新婦に対して何でウエディングを開催したのかと責める人も非常に多いわけです。ところがアメリカでは、自己責任だからと表立って誹謗中傷する人は少ない。そのため、州の規制などを無視して挙式や披露宴を開催するケースもあり、しかも大人数で。コロナによってウエディングを諦めるかというと、そうとは言えないのがアメリカです(笑)。ただマスク着用の規制を打ち出したバイデン大統領になって、多少変わってくる可能性もありますが。」

桂「いい悪いは別にして、自己責任の強さは日本と違いますね。日本は周りの人がどう思うのかで、結婚式を止めてしまうわけですから。私が思うのは、感染拡大を起こさないように、人数の問題など様々な工夫を考えることも大事では。やれることをやるという意識があるからこそ、面白い結婚式が出てくるのではないかとも思っています。これまでの日本は欧米と比べてワンパターンだったわけですが、今こそ多様化のチャンスではないかと。例えばホテルに宿泊して開催する、リゾートでのガーデンウエディング、自宅での結婚式など。様々なパターンが出てくるきっかけになるのかもしれません。」

 

挙式のみオンライン活用
小原「例えば日本ではオンラインを使った結婚式が出てきていますが、アメリカでは全く流行っていません。挙式に関しては、家でする人もいます。その時にミニマムドレスと呼ばれる、ミニのものやシンプルなデザインを着ることもあって、その様子を他の人にオンラインで見てもらおうということはあります。一方披露宴は、お世話になった人を招いておもてなしするのが当たり前であり、それをオンラインで繋ぎ、料理を宅配するようなことは日本だけの広がり方です。コロナ禍で披露宴を行うカップルもいないわけではないのですが、その場合も少人数にして、屋外が多いですね。例えばNYでは水上ボートの上、屋根が外されたバスで開催するといった実例もあり、【ブティックウエディング】、【マイクロウエディング】と呼ばれています。」

桂「日本の場合は、やはり挙式と披露宴がセットになっているため、大人数で披露宴が開催できないとなれば、挙式も延期、中止してしまう可能性が出てくることも課題です。」小原「そうですね。アメリカでは挙式と披露宴が別日で、しかも期間が空くのは以前からあったわけですから。ただ、日本でも挙式と披露宴セットのイベント化にするのではなく、別々に開催するのは今だからこそ受け入れられやすいはずです。業界として、挙式は必ずやるべき、ただ披露宴は必ずしも直後でなくてもいいと先導していくことで、中止になることも押さえられるのではと考えています。これはフォトウエディングも同様で、現在の日本の状況は単なるドレスを着た撮影に終わってしまっていることも珍しくはありません。カップルにウエディングイコール挙式ということをしっかりと発信しなければ、今後もウエディングという名前を付けたフォトだけでいいとカップルが思ってしまう可能性が高まるのではと感じます。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月21日号)