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一年半以上先を狙う 直近を重視するマーケットの逆張り【東京會舘 常務取締役 星野昌宏氏】

一年半以上先を狙う 直近を重視するマーケットの逆張り【東京會舘 常務取締役 星野昌宏氏】

オープンから5年が経過し、尚もその勢いは止まるところのない東京會舘(東京都千代田区)。集客、施行共にほぼ満枠で稼働しており、さらに単価も国内有数の水準を維持している。前期からは平日の少人数施行もストップし、大人数に絞りながら、1年半以上先の結婚式を確実に受注している。直近を狙わないからこそ実現できる人数・単価の維持、損切りの考え方、オペレーションの徹底など、3回にわたり星野昌宏常務のインタビューを紹介する。

無風状態で勝負をする

―― 7 、8 月はマーケット全体の集客が鈍化している状況に対し、東京會舘は好調に推移しているそうですね。

 

星野「7 月の来館は減少したものの、8 月に入って以降、急激に来館は戻っています。リクルートの調査によると、23区平均に対して当社の集客は900%を超えているとのこと。これまで750%程度だったわけですから、都内他会場に比べても順調に集客は出来ていると感じています。少人数を獲得していないため、大人数が動いていることの証明でもあり、その点では先行指標として考えれば秋口にかけて他会場でも動きは戻ってくるのではないでしょうか。」

――最大の特徴は、直近の受注ではなく、ロングスパンのターゲットを見据えています。

 

星野「これまでマーケット全体が1 年先の結婚式を狙っていた中、当社は常に1 年半以上先を見据えてきました。最近の少人数傾向により、自ずと半年、1 年以内を狙わざるを得なくなっている会場も増えている状況でも、1 年半以上先というスタンスは変えていません。新型コロナの終息によって、結婚式も大人数にシフトするだろうと予測を立てていましたから。」

――少人数、直近であっても積極的に受注しなければ、施行も確保できないマーケットになっています。決算期を見据え施行時期の前倒しを持ちかけるなど、やむを得ず目先に走る会場も多い中、そこに一線を画すことで逆に順調に結婚式を獲得出来ているのは注目です。

 

星野「社内方針として、1 年半以内の受注は、考えなくてもいいと全員に伝えています。当社の顧客層は比較的真面目に考える人であり、彼らはコロナも過ぎたからこそ、結婚式はある程度の人数を呼んでキチンと開催しようとしています。例えば来年夏、秋を希望しているのに、決算年度内の3 月までに誘導しようとすれば、結局100万円値引きなどを提示せざるを得なくなります。もちろんそれが効く人もいますけれど、少なくとも東京會舘はそうではないと。私自身、現場を見ているとそれはよく分かりますし、大勢のゲストをしっかりもてなしたいという真面目な人たちだからこそ、準備期間をしっかりと設けられる先々で検討してもらうというスタンスです。そうした方針の会場が少ないため、いわば無風状態で集客・成約に繋がっていると考えます。」

 

星野「実際に今は、2026年4月以降の受注を始めています。最近、新規に出て感じるのは、新郎新婦側は予算・人数について二つのパターンで考えているなと。少人数化の影響から、ゼクシィなどでも40名250万円など低予算、少ない人数表記が多くなっています。それを基準に、なるべく費用をかけない予算と人数の想定。一方で真面目な人が増えている今、きちんと実施する場合には、この人数・この金額はかかるだろうというもう一つの想定もしている。少人数、低予算をまず値踏みに使い、そこそこで出来るイメージを持ちつつも、必ずしもそれ以上を寄せ付けないというわけではありません。それを踏まえ新規においては、東京會舘だとどんな結婚式になるのか、ヒアリングをした上でキチンとした結婚式をどんどん提案するように指示を出しました。そこに納得してもらった場合、当初は30名、40名希望と言っていた新郎新婦も、新規段階で80名、90名で決まっています。さらに、こうした人たちは、本気で実施するからこそ急いでやりたくはない。いわば業界側が急かすことで少人数になっているという側面もあり、そこを逆張りしてしっかりと準備時間をかけることを提案していくと、自ずと人数、予算も高まっていきます。」

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月11日号)