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熱量の低いカップル増加 イベントで事前接点創出【アニヴェルセル 代表取締役社長 松田健一氏】
アニヴェルセル(横浜市都筑区)の代表取締役社長・松田健一氏は、新規来館のカップルの熱量が以前より低下していることに危機感を覚えている。ナーチャリング(顧客育成)にもより注力していて、オープンイベントなどを通じてアニヴェルセルブランドの訴求だけでなく、結婚式の楽しさを発信する施策にも努めてきた。また、表参道とみなとみらい横浜の2つの旗艦店は、引き続き宴会部門も好調に推移している。大宮店の改装なども含め、昨年の取り組みなどを聞いた。
結婚式の楽しさを伝える
――2026年3 月期の中間決算では、既存店の施行組数が期初計画比で2.6ポイントマイナスはしているものの、前年対比では100.2%となりました。通期の売上高は当初の予測から3 億円のマイナスになる発表ですが、単価向上が後押しし、増益を見込んでいます。
松田「コロナ前と比較して、広告出稿量は抑えている状況。どの媒体が効果があるかなど一定の分配率は指標をしっかりと組んでいて、今後はある程度、媒体に応じて“メリハリ”をつけていくことを想定しています。加えて実感が強まっているのは、新規で来館するカップルの熱量の低下。以前は結婚式をやる前提でいくつかの会場に絞り見学をしていたものが、そもそも結婚式をするかどうか迷っていて、『とりあえず見に行ってみよう』と最初のスタートラインが一歩後ろにあるケースも増加している状況です。自社の訴求以上に、結婚式の魅力を伝えるスタイルに変えなければ受注は難しく、『楽しそうだからやっぱりやろう』という気持ちをまずは醸成させていくことが、業界としても重要かと。その上で、コロナ禍から強化してきた自社集客を現在は『ナーチャリング』の位置付けとし、まずは接点を作っていく流れがカタチになってきたと感じています。結婚式の案内はもちろんですが、ウエディングに絡めて骨格診断などの体験コンテンツを楽しんでもらえる『花嫁はじめてフェス』は、以前は3 ヵ月に1 回程度だったものを毎月実施していく流れに変更。SNSでの広告を中心に案内していて、多い日で約50組来場し、全組がウエディングをはじめアニヴェルセルに関する様々な情報を発信するメルマガに登録しています。年末には大阪でも実施するなど、対象会場も増やしています。また、昨年8 月にみなとみらい横浜で実施した入退場自由の『大開放祭』は、女性の友人同士での来館もあるなど、3 回目にして過去最多の来場者2000人を記録。このうち半数以上がアニヴェルセルとはタッチポイントのない人たちでした。こうしたイベント実施は、当社スタッフが介在できることこそポイントです。まずは知ってもらい、そして足を運んでもらう。式場見学前のタッチポイントを活かし、しっかりと介在していきます。」
松田「とはいえ今後も集客の厳しい状況は予測できますし、婚姻数減少と少子化というマーケット全体のシュリンクは事業者ではなかなか止められないとなれば、第1 に成約率向上、第2 に価値ある商品提案からの単価アップは、当然ながらカギになってくる。1 つ目の成約率に関しては、昨年12月に2 回目となる新規接客スタッフを対象にした社内コンテストを実施しました。新入社員と2 年目以降のスタッフに分け、全員を対象に予選突破者による最終審査会を実施。当社チャペルはドレスの映える青いバージンロードなどハード面も特徴ですが、チャペルでできる2 人“らしい”結婚式の提案スキルを重視した、ロープレ大会となっています。私自身現役の頃はついスペックの話を中心にしていましたが(笑)、実施自体を悩むカップルも多いこの時代に、ハード中心の案内では『やろう』という気持ちはなかなか引き出せない。当日は1 時間前にカップルのペルソナをアナウンスし、例えば新規接客においても新婦と父親との関係性に踏み込んだ提案ができるかどうかなどを、コンテストはもちろん会社としても重視しています。抑揚をつけて感情に訴えかける接客こそ、Z世代の心を揺さぶり、受注に繋がってくるはず。成約率向上は、こうした地道な繰り返しが何よりのベースになると感じます。」
――もう1 つの単価アップに関しての取り組みはいかがですか。松田「他の大手企業と比較して、当社はそこまで内製化をしていない状況ですから、その分パートナー企業との深い連携を重視しています。昨年8 月には、TAKAMI BRIDALと共同で製作したドレス『ダイヤモンドシリーズ』を3 着リリース。レンタル価格は88万円~110万円と、アッパーラインとして打ち出しを開始しています。年内の施行でもすでに着用されるなど、実績も出始めています。特にみなとみらい横浜と表参道の旗艦店に関しては、結婚式を通して自己表現したいというカップルも多い。一方で、『アニヴェルセルで着用されるドレスの上限金額は、現実としてこれくらいだよね』と、自分たちでリミットをかけてしまっていたのも事実です。そこで、当社商品部とTAKAMIの職人も含め、価格ではなく、実際にチャペルで着用した際にどうすれば新婦が1 番輝けるか、満足度を上げられるかに重きを置いて、こだわり抜いた3 着を開発しました。実際にダイヤモンドシリーズを選んだ花嫁の中には、最終フィッティングの際にドレスに目が止まり、試しに着用という流れから結果成約に至ったケースも。私自身も初回着用の際は会場まで足を運び、当日の挙式をチャペルで直接見ましたが、本当に圧巻の美しさでした。映像に関しても、みなとみらい横浜では昨年からドローン撮影を組み込んだエンドロールの提案を開始。屋外で飛ばし建物外観も俯瞰で入れられるほか、天井高を活かしてバンケット内でも撮影できるようにしていて、こちらもカップルから好評です。ドローンは規制上、他店舗にすぐに横展開はできませんが、今ある商品ラインナップが本当に“十分”なのか、今後も突き詰めていきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1日・11日号)
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