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業界の夜明けとなるプロジェクトを語る連載コラム シリーズ 動かす仕組み 第1回:アワードを通じた挑戦【ワイケープロデュース 営業部部長 猪股  進氏】

業界の夜明けとなるプロジェクトを語る連載コラム シリーズ 動かす仕組み 第1回:アワードを通じた挑戦【ワイケープロデュース 営業部部長 猪股 進氏】

「アート作品」として広く認知されるために

3 月、エンターテインメントの聖地、ラスベガスで、5 日間にわたり開催されたトップクラスのフォトグラファーと最新技術、感性のぶつかり合う世界的展示会「WPPI(Wedding PortraitPhotographers International)」に、今年も参加しました。そこで見えてきたのは、デジタル時代だからこそ回帰する「物質としての写真」の価値です。イベントの目玉はフォトコンテスト「Icon Internation al Photography Awards」のライブジャッジで、審査員たちが目の前で作品を評価し議論を交わす。その様子はまさに手に汗握る真剣勝負。クリエイター達が「写真の力」を信じ、研鑽を積んでいることを確信させてくれる刺激に満ちていました。

当社は創業以来、技術と表現の高みを目指す過程で、常にあるひとつの問いを抱いてきました。「これほど豊かな表現が、なぜブライダル業界という枠組みの中だけで完結しているのか。婚礼写真には、もっと広い社会にその魅力を届ける力があるのではないか」と。この命題に対する答えを探し、2016年から国内外のコンペティションへ積極的に挑戦を続け、今日までに累計300件以上の受賞という成果を積み上げてきました。しかしこれは単なる実績作りではありません。国際コンペティションという厳しい場所で腕を磨き続けていくことは、その変化の起点をつくり、業界の社会的地位を向上させる一つの使命であると考えています。

もし婚礼写真が単なる「当日の記録」を超えて、「結婚式の魅力を外へ発信する強力なメディア」として社会に広く流通するようになれば、状況は一変します。昨今、さまざまな理由から挙式を選ばないカップルが増えています。その背景の一つとして「結婚式がどんな体験なのか、想像できない」という情報の空白があると感じています。

婚礼写真が、フォトグラファーの表現力を通して外の世界へ届くことは、結婚式という体験の解像度を高め、憧れを燃焼させるはずです。弊社はアワードという挑戦を、結婚式自体の価値を広げるための文化的な投資として位置づけています。フォトグラファーの表現力が「集客の源泉」として評価されれば、業界全体のクリエイティブは加速し、結婚式業界の価値の構造そのものも劇的に変化するでしょう。

「婚礼写真をカタチに残す」という行為は、単なる商品の提供ではありません。私たちがコンペティションで磨いた表現力を、最高品質のプロダクトへと落とし込み、それを鑑賞体験として届ける。この一連のサイクルこそ、素晴らしい写真文化を次世代に向けてさせる鍵ではないでしょうか。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号