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未婚少子化対策に果たす役割【参議院議員 森まさこ氏×テイクアンドギヴ・ニーズ 代表取締役会長 野尻佳孝氏】
今春の3回目の緊急事態宣言発出時に、結婚式が営業自粛対象になるかどうかの瀬戸際であったことは本紙でも既報した。ブライダル業界として国への働きかけに奔走した一人が、テイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)の野尻佳孝会長であり、その働きかけを受け止めて政府内で調整を図ったのが参議院議員の森まさこ氏だ。野尻氏は「森議員がいなかったら、確実に営業自粛になっていた。」と当時を振り返る。現在は未婚少子化対策の枠組み内で、いかに結婚式がその役割を果たしていくかの検討を進めており、その中心的立場の2人が未来図を語り合った。
ゲストが結婚したくなる
森「これはブライダル業界の皆さんにも伝えたいのですが、これから菅総理のところに行きます(対談日7 月2 日)。結婚支援についての原案をリクルートに作ってもらったのですが、それを総理に直接渡してきます。官房長官のところにはブライダルの人たちとも以前訪問していましたが、今回は総理に直接会って話をします。総理と直接話が出来る機会は、大臣でもそうそう時間をもらえないのですが、結婚支援や男性育休なども含めた女性活躍に関連した経済人と話をする機会を特別に作ってもらいましたので。」
野尻「女性活躍だけでも多くの案件があるのに、そこに結婚を入れようという森議員からの提案で、リクルートに資料の制作をお願いしました。そこまで気にかけてくれているのは、本当にありがたいことです。」
森「ブライダル業界としても、結婚支援に向けた提言をしていくのは大切です。伝えたいのは、結婚支援は少子化対策の一環であるということ。私は女性活力・子育て支援担当大臣を辞めた後に、赤ちゃんに関連する企業に声をかけ全国で悩んでいる若いママさんをサポートする公益財団法人1more Baby応援団を作りました。そこでも研究結果を出していますが、今年になってリクルートのデータで結婚式をした人が赤ちゃんを産む率が上がる、離婚率も低いというエビデンスが示されました。また結婚式に出たゲストが、結婚をしたくなるという効果があることも。感動をして結婚したいとなれば、それが赤ちゃんに繋がり人口増をもたらします。アフターコロナで新たなグローバル競争が始まるわけですが、労働人口が減少していけばGDPは上がっていきません。赤ちゃんが産まれないといけないわけで、それをブライダル業界と一緒に取り組むためにも総理にも応援してもらおうと考えています。コロナ禍では経済を止めないことはもちろん、感染させないも重要であり、結婚式ではこれまで感染クラスターが一件も出ていません。スポーツ、コンサートなど様々なクラスター事例があるにもかかわらず、これは凄いことです。」
野尻「昨年からとにかくクラスターを出さないために、一席毎にパーテーションを置いて、ソーシャルディスタンスを重視するなど、ブライダル業界各社はまさに血のにじむほどの努力を重ねてきました。」
森「他の業界の手本にもなる、完全な対策ですよね。10名のテーブルを4 名にする、料理は出すけれど緊急事態宣言下ではお酒を絶対に出さないなど。また、飲食店との大きな違いは、招待リストがあることです。1 ヵ月前から出席者の体調を確認できる、結婚式後もチェックができる。それだけコロナ対策は万全です。菅総理にも、安全対策、経済対策両方をやっていける業界だと説明してきます。」
3日間の動きで情勢変化
野尻「2021年度の骨太の方針原案にも、今回初めて結婚支援という言葉が入りました。これも森議員の貢献が非常に大きかったです。」
森「それまで、結婚という言葉はなかったですから。骨太は、国の成長戦略の骨格であり、その骨格が政策となり予算に反映されていきます。補助金のよりよい使い方という観点から、優先的に付けられるようになります。だからこそ、結婚支援の言葉がきちんと入ることが大切です。」
野尻「これはブライダル業界全社に言いたいのですが、これだけブライダルのことを思って動いてくれているのは森議員だけです。骨太に入れるために奔走してくれ、私たちを人口減少対策議連、婚活・ブライダル振興議連の合同勉強会に招いてもらい説明の場も作ってくれました。何よりも第3 回の緊急事態宣言発出時に、結婚式を営業自粛ではなく開催出来るようにしてくれた。あの時は前週の金曜日の夜に森議員に電話をして、業界を助けてほしいとお願いしました。土日は出張中で忙しかったにもかかわらず動いてもらい、翌火曜日に西村大臣とのアポイントを調整。そこで請願し、最終的に加藤官房長官にも会うことが出来たことで、休業対象から外れることができました。たった3 日間の動きですが、森議員がいなかったら営業自粛になり多くの企業が倒産していた可能性もあります。」。
森「とにかく時間がないため、コロナ担当として現場で采配していた西村大臣にアポイントを取りました。もともと葬祭業は例外となっていましたが、そこに冠婚を入れましょうと。それであれば大きな変化ではありませんから、何とか例外にしてもらうための知恵も出しながらでしたね。私の国会議員生活の中でも、もっともスピードが速く慎重に進めた事案です(笑)。」
50%のなし婚層を開拓
野尻「昨年来、経済産業省、内閣府に対して、ブライダル業界に補助金を出してほしいという要望をしてきました。ブライダルは1 兆1000億円の売上が繰り延べされ、キャンセルでも費用を顧客からもらえていない状況。まさに身を削りながら、結婚式でクラスターを起こさない取り組みを進めているのに関わらず、協力金ももらえないのはおかしいということで請願を続けたのですが、半年かけても可能性があるのかないのかもなかなか見えてこない。そうした中で、違う支援の仕方を提案すべきではと切り替え、ブライダル関連の政策提言として未婚少子化対策に着目しました。そこでアプローチしたのが、少子化対策の最初の担当大臣であった森議員です。森議員が大臣の時に、初めて少子化対策予算を設けていますし。今の担当大臣に請願書を持っていく上でも、その立て付けのアドバイスを受けられればと、知人を頼って時間を作ってもらいブライダル業界の厳しさ、ブライダルと少子化対策がリンクしていることを説明し共感をしてもらいました。そこでエビデンスを集めてまとめてほしいとアドバイスを受け、年明けからリクルートの協力により事業提案を作ってきました。」
森「少子化担当の大臣の時から、出会い、結婚、妊娠、出産、育児まで全てを支援していくという考えはありました。結婚だけでなく、結婚式の効果がどうなのかというデータを野尻会長とリクルートに作ってもらったことで、政府に対しての提言も明確になっていきました。」
野尻「分かりやすいものを作るようにというヒントをもらいながら、それに合わせてデータをまとめていきました。丁寧に教えてもらい、本当に感謝です。」
森「三原じゅん子議員が会長の婚活・ブライダル振興議員連盟には、私も副会長で入っています。発足時に、当時の会長だった小池百合子さんから入るようにと言われ。ただ当初は、婚活さえすれば自動的にブライダルという流れではありました。結婚式は自然に実施するという意識でしたが、コロナになって結婚式をやらない人が増えてしまった。今は婚活だけでなくブライダルにも力を入れないとなりません。常に時代と状況を見極めながら、どこに力を入れていくのかを考えることが大切です。今回骨太に入れた結婚支援をどう政策に反映させていくのかを、業界の皆さんにも楽しみにしてもらえれば。結婚式をする二人への補助金、式場への支援、税制優遇なども含めて、新しい支援の形を作っていきます。」
野尻「コロナ前でも50%が結婚式を実施していないという状況で、さらにコロナになりその傾向は加速しています。その50%にどう結婚式を挙げてもらうかなのですが、そこで一番のネックが経済的な問題です。ゲストを招いて、家族の絆を広げられる一定人数の披露宴を開催した人に対して、金銭的な補助があれば実施率も高まります。またブライダル業界としてもより貢献するために、課題となっている不妊予防についての啓蒙活動などもできるのではと考えています。現状日本ではやれていないことですが、結婚という機に未来のライフスタイルを検討する夫婦に対して、スタートラインに関わるのが私たちの業界です。そのタイミングに合わせて、不妊の予防的な知識を、ガイドラインなどを作って伝えていくこともできるのではと。そういうことも含めて、結婚式イコール少子化対策に繋げていくことで、国が支援するという方向性も必要です。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1、11日号)

