LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

日程は時間にフォーカス【TRINITY BRIDAL 代表取締役副社長 本間 成慈氏】
結婚式のことを良く分かっていないため、そこまでこだわりを持っていないカップルが増えている。こだわりがなければ、いくつもの会場を見学し比較したいという気持ちも強くなる。即決の難しくなっている状況で、2人のアドバイザー的な役割で信頼を得つつ、理詰めで納得させていく営業で成果を高めているのがTRINITY BRIDAL(東京都渋谷区)の代表取締役副社長・本間成慈氏だ。意識の植え付けは、ヒアリング段階からスタートしている。
会場決定の決め手を導く
――最近の新規顧客の変化をどのように見ていますか。
本間「以前に比べて、強いこだわりを持って会場探しをしている人は減っている感覚です。以前はいわゆる【姫子】のような新婦も多かったのに対し、こだわりがないからこそ色々な会場を比較して見てみたいと。ただ、比較のために何軒も回っていると、どこもそれぞれ良さがあるからこそ、どんどん決め手を失っていきます。スタッフ側としても、カップルから『会場によって一長一短がある』と言われてしまうと、新規で押しづらくなってしまうから苦手と言う人も多いです。そこで私は、新規のヒアリングの時に『2 人は結婚式に強いこだわりがそれほどないのでは』と先に確認をするようにしています。」
本間「こだわりを持っていないから、色々な会場を見てみようと考えている2 人に、『最近実はそういう人はすごく多いです』と話し、普通のことだとまずは認識させます。その上で、ほとんどの人は何軒回ったとしても、こだわりがないために全てがいいと感じてしまう。結果、最終的にどうしているかというと、予算、日程を含めたトータルバランスで決めていることを先に説明しておきます。これは日程と予算が良ければ決め手になるという、潜在的な意識をあらかじめ植え付けておく目的。そのプロセスを取らないと、仮に会場を気に入り日程、予算が希望通りであっても、色々と比較してみなければ分からない意識から抜け出せません。」
――日程に関して、希少性はなかなか伝えにくい状況かと。
本間「まずは2 人の日程の希望条件を明確にしていきますが、一緒に作っていくイメージです。ポイントは、ゲスト目線を常に意識させること。例えば4 、5 月がいいという人に対して、仕事の都合で年度末年度初めは皆忙しい、GWは遠方の人にとって旅費も高まると説明しながら外していきます。その上で限られた日程に対し、今度は時間についての話をします。ゲストのことを考えたときに、何時から何時の幅が最大許容範囲になりそうかと聞けば、多くは11時~18時程度と回答します。その時間を希望するのは他の人も同じであることを説明し、日付は空いていたとしても、真ん中のいい時間は結局早いもの勝ちになってしまうことを理解させます。2 人にとっても、当日に来るゲストのことを考えて決めた条件になり、同時に他の人も希望するからこそ希少性が高まります。仮にクロージングでその日程が空いていない場合でも、ゲストに負担を強いてまで他の時間帯で再検討しようとはなりません。」
本間「土日祝日を考えれば、いい時間帯の結婚式が可能な日程は年間100件程度。時間にフォーカスして説明すれば、その日程は希少であるという信憑性は増します。いい時間は皆希望するから限られるというのは、誰もが納得する理由ですから。同時に自社だけではなく、結婚式業界ではどこでも当たり前のことで、恐らくどの会場に行っても真ん中の時間帯は早く埋まってしまうとも説明。逆に言えば、出席するゲストが日曜日の夜でもOKであれば、どこに行っても恐らく空いているから安心して下さいと話します。」
――ヒアリングの段階でどんなゲストを呼ぶのかも、ある程度明確に連想させておかなければなりませんね。
本間「ヒアリングの最初に、必ず2 人の名前と住所、さらに実家も確認し、遠方から来るゲストをある程度想定します。その中に日帰りの人がいることを確認できれば、当然遠方から来て日帰りできる時間帯での結婚式でなければ、ゲストへの負担になってしまいますし、必然的に真ん中の時間に限定されていきます。また列席数70名を考えているのであれば、親族、友人、職場でどの程度になるのか。そこで上司を呼ぶのかも確認しつつ、例えば披露宴のイメージについても【かしこまったスタイル】か、【アットホーム】かと㆓択で質問しながら、自分たちが何を求めているのか分かっていない人達に、少しずつ自分たちの結婚式はこうだと明確にさせていきます。」
――アドバイザー的な立ち位置を重視しています。
本間「結婚式のことを分かっていないカップルが多い今、導きの役割でいることは大切だと思っています。例えば競合した場合、他会場を悪く言うのではなくアドバイス的な言い方にするだけで信頼を得られるでしょう。先日もある会場と競合した際、来年の5 月5 日の日程を出されたという2 人がいました。その競合会場は本当に素敵な会場であると共感した上で、一つだけアドバイス的な話をしました。その会場の近くにはアミューズメント施設があるため、GWやシルバーウィークになると、行楽の人たちでごった返してしまう。そこで結婚式をするのであればその日程は外した方がいいですよと。競合会場を褒めながら、2 人の結婚式をより良くするためのアドバイスであって、当然悪く捉えられることはありません。その立ち位置によって、自分自身を信頼してもらえるキッカケにもなり、その後の様々な話も聞いてくれるようになります。」
――クロージングでも、同様な立ち位置とか。
本間「まず、時間をフォーカスして日程の希少性を理解してもらっていますから、仮に他の会場を見たいとなれば、当然そこは埋まってしまっている可能性を話せます。ただそれでも他の会場を見たいと言った場合には、私は身を引きますとも伝えます。何故かと言えば、2 人が悩んだ結果、その後にこちらで決めたとしてもその時点で埋まってしまっていたら、次に決める会場はどうしても妥協になってしまう。そうなると2 人に後悔も生じるため、それならば他で決めるときに気持ちよく一歩踏み出せるよう、自分は身を引くと。日程は結局空いているのではと思っている人もいるため、そこまで振り切って言う方が正直だと言えます。売り込む営業ではなく、最終的には2 人が決めることだという形で、信頼を得ることの方がよほど重要です。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月11日号)

