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キーマンに聞く

新規段階での絞り込み【東京會舘 常務取締役・営業本部副本部長 星野 昌宏氏】
昨年11月に創業100周年を迎えた東京會舘(東京都千代田区)。結婚式の施行はリニューアルオープン以来好調に推移しており、今期の売上はオープン初年度の2019年対比で120%となる見込みだ。自社のスタイルを確立し、少人数化とも一線を画すなど、結婚式に対するこだわりに高い評価を得ている。星野昌宏常務取締役が、こだわりを維持するための絞り込みを実践する新規接客、高単価層をベースにした打合せスタッフの教育などを語った。
通常帯の平均は580万円
――昨年も施行数、単価ともに計画通りだったそうですね。
星野「今期の婚礼部門の売上は、2019年対比で120%となる見通しです。件数は2019年よりも200組多い1200組で平均人数は75名。単価は530万円程度ですが、これについては100件程度ある平日ないしは土日の18時以降に実施する40名以下も含めた金額であり、それを除いた通常の結婚式だけは580万円になります。来期に関してもすでにオンハンドで900組を獲得しており、空いているのは2024年の1 月~3 月という状況です。」
――単価の好調な背景として、新規来館の絞り込みが一つの理由となっています。
星野「もともと19年対比で、15%~20%アップの予約は入ってきていますが、そこから全体の約30%を、リコンファームの電話のタイミングでお断りしています。結果として2019年と来館はほぼ同数ながら、来館の質は全体として向上。お断りというものの実態は予約者の判断によるキャンセルなわけですが、その理由として、日程、人数で希望に添えない場合にははっきりと伝えていることにあります。どうしてもその時期でなければならないと言われても、既に予約も入っていて枠がなければ、キチンと空いていないことを伝える。また人数についても、当社では40名以下の結婚式は平日又は土日の18時15分以降限定。電話でそれでもいいですかと聞き、難しいとなればわざわざ来館をしてもらっても無駄足になってしまいますから。こうした明確な方針を説明することによって、電話段階で断られた、少人数に対して冷たいなどのクチコミも出てしまいますが(笑)、期待して来館してもらってから本当のことを伝えるのは逆に失礼ですし、来館前にミスマッチを防ぐ方がお互いにとって大切だからこそ、ここは徹底するようにしています。」
――新規接客のタイミングでも、施設の方針と新郎新婦の希望にミスマッチが出ないことを大事にしています。
星野「最近は業界全体で低価格の初期見積もりも増えているため、他社の見積もりを持参しあそこの会場では40名250万円で出してもらったということを言ってくる新郎新婦もいます。当社の部屋は最低でも65名以上で設定しており、料金も500万円になります。250万円と500万円の比較になるわけですが、他社の見積もりを確認すると必要なものが入っていないなど、それでは満足のできる結婚式は出来ないということも多々あります。結婚式にはどんなものが必要で、そうするといくら程度になるのかを計算すると、結局そうそう金額は変わらない。にも関わらず、新郎新婦は始めの料金だけで比較検討しがちです。他社でも最終的には同程度になることを説明した上で、優先順位をどのように考えるかは新郎新婦に委ねています。それでも安い方がいいのではと長い時間をかけて考えるような人は、最終的に当社に成約しても後々料金に対する不満を感じてしまうでしょうから。その場合は他に行くのも仕方ないと、ある意味で割り切っています。」
――新規接客において、東京會舘の結婚式とは何かを明確に伝えることを重視しています。これまでの常識である情緒に訴えかけるのではなく、論理的に事実を伝えているそうですね。
他社との違いを知る
星野「情緒的な部分については、チャペルの演出や皇居が目の前に広がるロケーション、広く天井高もあるバンケットの雰囲気などを見てもらえれば、説明されているのと同じ効果の出るように設計しています。いわばプランナーが一生懸命情緒的に訴えかける機会を、なるべく無くすというのが基本でしたから。見れば素敵だと感じてもらい、それを合わないと感じてしまう場合には、他の会場に行くのも仕方ない。それを前提にして、新規接客ではとにかく論理的に事実を並べていく。見積もりの説明もその一つです。」
星野「もう一つ昨年からは、他の会場とのオペレーション上の違いのレクチャーを社内で始めています。他社を悪く言うことではなく、より自分たちの価値をファクトで伝えられるようにしようという狙いです。例えば当社ではファーストミートもチャペルで実施し、撮影にも対応しています。挙式を45分間隔にすることで可能になるわけですが、30分間隔にしている他会場ではどうか。ファーストミートはブライズルーム前の廊下、写真も後が詰まっているため1 、2 枚しか撮れません。またお開きになると、4 階の写真室で新婦が満足するまで写真を撮れる流れにしていますが、これも挨拶をしたらそのままブライズルームに行って帰るだけという他社とは異なっています。そうしたオペレーションの違いと理由を、プランナー自身が分かっていなければ、東京會舘のスペシャル感を事実として伝えられない。プランナーは、当社のやり方が普通だと考えますから。例えば挙式会場、写真室、親族控室の位置を見て、その距離が長ければ2 人で撮影する時間もないということは分かります。そうした無駄を解消する導線にしているのも東京會舘であり、それが価値となります。そもそもチャペルが素敵かどうかの話をしても、結局は各人の好みであり、そこで争うのはそれほど意味もないこと。素敵かどうかは本人たちに感じてもらい、私たちはきちんと事実だけ伝えればいいわけです。現場をキチンと見て、しっかり伝えられるようにすることが、2023年のテーマでもあります。」
――一方で打合せについては、成約後の早い段階に相談会を実施しています。
星野「毎週一日16組、二日間で32組の相談会枠を設けています。そこでは結婚式準備のためのウエディングブックの説明、今後どういう風に担当が決まるのかなどを説明。また衣裳のスタッフにも待機してもらい、その場で来店予約を取れるようにしています。相談会は予約制で、成約の翌週ということもあれば、遅くても2 ヵ月以内には参加をしてもらいます。早い打合せのスタートにより、持込みなども予防しています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)

