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キーマンに聞く

新規偵察の法的視点【ブライト 代表取締役社長 夏目哲宏氏】
先月、都心近郊の支配人から入った「新規偵察」の情報。東海エリアのゲストハウスでも、先日近隣のホテルスタッフが身分を偽って偵察に来て、接客途中で身元が明らかになったため帰ってもらったという。集客、成約も減少し、休ませているスタッフを新規のために出勤調整している状況で、こうした話は寂しい限りだ。防衛策を講じる企業もあるが、そもそもこうした行為にどのような問題があるのか。ブライダル法務専門事務所ブライト(東京都港区)の夏目哲宏代表に、違法性についての見解を聞いた。
犯罪の構成要件を満たす
――身分を偽っての偵察については、違法性もあるのではないかと考えていますが。実際のところはどうなのでしょうか。
夏目「刑法上の犯罪の構成要件を基準に、3つのポイントがあると考えられます。1つは偽計業務妨害罪。刑法233条が想定する【偽計】とは、【人を欺罔、誘惑し、または錯誤、不知を利用する違法な手段】と理解されますので、身分を隠しての偵察行為がこれにあたる可能性はありうるかと。詐欺罪も構成要件を満たす可能性があります。詐欺は嘘をつき、騙し、それによって財物の交付を受けたことが要件となっています。身分を偽って他会場の偵察目的で来館し、さらに試食や来館特典のクオカードなどを受け取ることで、財物を受け取っています。それを考慮すれば、詐欺罪についても該当する余地があります。」
夏目「もう1つが、建造物侵入罪です。建造物侵入は、管理権者の意思に反すれば、【正当な理由がないのに】に該当するというのが判例のため、上記2点よりも違法性が認められやすいと言えます。これまでの判例に比べれば軽いとはいえ、刑事上の責任としては一番可能性が高いと考えられます。」
――構成要件を満たすということは、それが違法という判断になるのですか。
夏目「違法だとされ刑事罰になるには、悪質性も勘案されます。その点、他会場の偵察がどこまで悪質と認められるかは難しい面もありますが。とは言え要件を満たしていることを考えれば、場合によっては当てはまる危険性があるということです。この点は、認識しておかなければならないでしょう。」
――偵察することが常態化している会場の場合、先輩も同じことをしていたからと新人スタッフが通常の営業活動の一環として、悪気なく偵察していることもあります。そうしたリスクがある行為という認識は、確かに必要ですね。
夏目「偵察に悩まされている会場であれば、警察に相談することも考えられます。頻繁に同じ会場から受けているのであれば警告をし、それでも繰り返されるなど悪質性が認められれば刑事事件に発展するリスクもあります。それを無知な新人スタッフに指示しているのは、危険だとも言えます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月1日号)

