LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

接客の内容を原稿にしてトークの無駄部分を把握【エスプレシーボ・コム 代表取締役 安東徳子氏】
――Z世代の特徴として、タイパを重視する意識は非常に強いです。その点、新規接客に費やす時間、タイムスケジュールも今後は考え直していく必要が出てきているかと。
安東「実際に地方などでは、片道1 時間以上かけて会場に来てくれるカップルもいるわけですが、それを確認せず、普段通りにそこから2 時間、3 時間をかけて新規接客をしてしまう。ベテランはそれが当たり前と考え、新人は言われた通りにしなければいけないからと、その場で臨機応変な対応もできません。往復2 時間かけて来館してくれていることを慮れば、出来るだけ短時間で終わらせてあげるのは大切なことで、結局カップルもどんどん疲れてしまい、なかなか成約には至らなくなります。」
――この時間については、新規接客の設計の問題かと。
安東「Z世代への接客としてタイパを重視するのであれば、要点を整理しスリム化は絶対に必要です。私の考えとしては、新規接客は長くても90分以内にすべきです。大学の授業などを考えても人間の集中力は90分が限界であり、いかにそれ以内に収めるか、短ければ短いほどいいわけです。」
――その場合、従来の内容から削っていく必要があります。
安東「まず、館内案内で全部を見せる必要はありません。カップルは事前にホームページやSNSをチェックして来ているのだから、そこで気になっている部分に絞っていく。仮に料理はどこにも負けないと自信を持っている会場であれば、そのこだわりを伝えられる部分を強調することに集中していくのも一つの方法で、見せるバンケットも料理のこだわりを表現できる会場に絞っていきます。」
安東「もう一つ、話し方のポイントも整理して時短を図っていきます。これはぜひやってみて欲しいアドバイスとして、接客で話している内容を原稿にしてみるといいでしょう。文字にしてみると無駄な部分が一目で把握でき、平均的に30%程度は必要ないことを理解できます。例えばヒアリングで、祖母が結婚式を楽しみにしていて、わざわざ沖縄から出てくると聞いたとします。それに対しプランナーが『おばあさまが結婚式を楽しみにしていらっしゃるのですね』、『わざわざ沖縄からいらっしゃるのですね』など、一つひとつ繰り返していることが多く見受けられます。時短を意識した場合、この繰り返しはまさに無駄のポイント。もちろん、寄り添う姿勢を示す上でも、繰り返しのテクニックは大切ではあるものの、いかに短く簡潔にまとめられるかというトレーニングが求められます。これはZ世代への接客だけでなく、社内の会議でも一度原稿にしてチェックしてみると無駄な部分が見えてきて、それを改善すれば自然と時間は短くなっていきます。」
――ヒアリングについては、聞き方も重要ですね。前置きが長いと、それだけで時間もどんどん長くなっていきます。
安東「カップルがどこまで情報を持ってきているかという部分を探りだそうと、前置きが長くなる傾向はあります。必要ないことを、あえて言う必要はありません。大切なのは、絶対に来なければ分からなかったことを、簡潔に伝えられるかどうか。実際にZ 世代のカップルは、来館前に様々なツールを駆使して情報をくまなく調べています。それなのに、イチから聞かれ説明されても、それだけで眠くなっちゃいます(笑)。特に省くべきは、ホームページなどでも出している『それは知っているよ』という話。知っている話を説明されても、カップル自身はその時間を無駄と思ってしまいますから。」
――スペック説明は、その無駄に入ってきますね。
安東「仮に80人収容のチャペルだとして、その収容数は様々な媒体でも説明しているのだからわざわざ言う必要はありません。それよりも、カップルが招くゲスト数60人を想定していたのであれば、その場合にはこの空間に花が置けますなど、2 人の自分事になるような話をしていきます。まずスペック説明をしてという部分自体が、全くの無駄です。それ以外にも、来なければ分からなかった部分に振り切り、例えば音や香りなどは逆に説明すべきです。またビジュアルに関しては事前の情報収集で十分に伝わっているからこそ、それならば暗い空間がカーテンオープンで一気に明るくなるといった、ビジュアルの変化を見せてあげるべきでしょう。」
――トークスクリプトの見直しも必要ですね。
安東「スクリプトは、先輩たちがこれまで新規接客で語ってきたことを全部入れてしまっているケースも多く、ただでさえ盛りだくさんになりやすい。カップルからすれば、そんなの知っているという話を、ずっと自慢をされているように感じます。そうではなく、来なければ分からなかった、直接来て知りたかったことを見せる、話すというように変えていけば、伝わり方も変わって成約に繋がっていくでしょう。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号)

