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キーマンに聞く

好みのフラワースタイルを事前診断【日比谷花壇バンケット事業統括部 販売企画推進部 部長 入佐聡一氏】

好みのフラワースタイルを事前診断【日比谷花壇バンケット事業統括部 販売企画推進部 部長 入佐聡一氏】

年間約2万5000組の婚礼装花を手掛ける日比谷花壇(東京都港区)。同社は5年前から、カップルが自身の好みのスタイルを打合せ前にチェックできる、フラワーWEBカウンセリングツール【Favori(ファボリ)】を運用している。この自社ツールを今年から、ブライダル事業者に向けて外販開始。空間コーディネートに欠かせない花の打合せにおける課題、ツール活用後の単価向上など、バンケット事業統括部販売企画推進部部長・入佐聡一氏に聞いた。

“ぶっつけ本番”の打合せ
――フラワーWEBカウンセリングツールの『Favori』を運用開始したのは5年前。その背景として、ウエディングにおける花の打合せに課題を感じていたそうですね。
入佐「当社に限らず基本的な流れとして、まずは担当プランナーが間に入りフローリストとカップルの打合せ日を決定。当日直接顔を合わせて挨拶をした後、好きな花はあるか、どの衣裳になったか、どういったコーディネートにしたいかなどをヒアリングしていく流れです。要するに、事前準備もなく、打合せで得た回答をベースに、その場ですぐに提案するのが花の打合せの特徴。逆もまた然りで、一部のカップルは『会場装花、ブーケはまだ考えていない』と“白紙”の状態で花の打合せに臨んでいて、双方にとって“ぶっつけ本番”という状況でした。結果としてフローリスト本来の提案スキルを発揮しきれていないと思うことも多々あり、この準備不足の状況をどうにかすべきと感じ、『Favori』の開発に至りました。」
――主な機能は。
入佐「概要としては、会場装花・ブーケを作っていくにあたって、新郎新婦は自身にフィットするスタイルを、ツール上で事前に見つけられます。そして、その好みを把握したフローリストから、より的確な提案を打合せで受けられるサービスです。ベースとなるのは、スワイプで自身の好みのスタイルを見つけていく機能。様々なキーワードがタグ付けされたウエディングフラワーの画像を、『好き/イマイチ』の直感でどんどんスワイプしていくことで、『あなたにオススメのスタイルはこれ』と表示されます。スタイルは『NATURAL GARDEN』や『CASUAL POP』、『ROYAL CLASSY』など全部で14パターン。それぞれのスタイルでよく使われる花材も紹介しているほか、この結果をベースに、オススメのコーディネート画像が診断結果として表示される仕組みとなっています。」
入佐「インスタなどで見つけた好みのブーケ、決定したドレスの画像をカップル自身でアップロードできる機能も用意。好みの花材、花にまつわるエピソードなど具体的な希望があれば、フリースペースに直接記入することもできます。また、商品カタログのイメージで、この会場ではどんなコーディネートが可能かなどを紹介できる機能も備えています。式場とフローリストは、カップルごとの診断結果を管理ページから確認する仕組みとなっています。」
――『Favori』の活用によって、様々な成果に繋がっているそうですね。
適任者をアサイン
入佐「まず大前提として、打合せ開始時のカップルの“温度感”は向上。事前に自ら診断してみることで、ウエディングフラワーへの興味・関心を持つ機会に繋がっています。“ぶっつけ本番”になりがちだった打合せは、フローリストが好みのコーディネートをきちんと事前に把握できるようになったことで、イチから全てを聞かずとも提案を始められるようになりました。スタッフにとっては生産性向上、タイパ重視のカップルにとっても『スムーズに打合せを進められた』と好評です。また、フローリストごとにも得意分野はありますから、例えばナチュラル志向のカップルに対しては、そのスタイルを得意とするフローリストのアサインも可能に。マッチングも高まったことで、結果としてカップルの満足度もアップしています。数字部分に関しては、カップルの好みをキャッチした上での提案により、単価が向上。全体平均として10~15%アップし、一部施設においては40~50%向上しました。これにより、結果としてフローリストのモチベーションアップに繋がるのもポイントの1つ。当社では予算に合わせて、どの花材を何本使うかなど、『レシピづくり』をカップルごとに行っています。単価がアップすれば使える花材も増えていきますから、コーディネートの幅を広げられることは、フローリストにとってやりがいの1つとも言えます。」
――半年前から追加したのが、オススメのフローリストを紹介する機能です。
入佐「現在当社では約300名のフローリストがウエディングで活躍中。その中でもトップメンバーはカップルから直接指名を受け、指名料をもらった上でこだわりの空間をプロデュースしています。1番上のランクは『エグゼクティブ』としていて、指名制は単価が圧倒的に違うのもポイント。当社の通常平均単価は約35万円、指名の場合は平均で100万円を超えていて、式場の収益にも貢献できていると感じています。」
――自社ツールとして活用してきた『Favori』を、今後は同業他社など婚礼事業者に向けて外販していきます。
入佐「例えば他社で導入・利用する場合、カタログ部分にはその会場のコーディネート写真をシステム内に入れることも可能。状況に応じて、指名制度を非表示にするなど、フレキシブルに対応していきます。利用料は、1式場月額2万円。結婚式準備ツールとして、今後は他企業の展開する婚礼システムとの連携も、可能性の1つとして考えられるでしょう。先述のウエディングフラワーにおける打合せ課題は、当社だけが抱いているものではありません。多くの事業者に使ってもらい、花の切り口からウエディングをさらに盛り上げていきたいですね。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、2月11日号)