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即決なし、30分のクイック見学も【ノバレーゼ 代表取締役社長 荻野洋基氏】

即決なし、30分のクイック見学も【ノバレーゼ 代表取締役社長 荻野洋基氏】

 「GM会議は3ヵ月に一回で、かつ数字の話は一切しない」というノバレーゼ(東京都中央区)の荻野洋基社長。同社はそれ以外にも即決はせず、30分で見学の出来るクイックフェアも導入。無料の試食会なし、商品券などの特典とも一線を画す営業スタイルだ。自らの存在価値を大切にする、荻野氏のインタビュー後編を紹介する。

値引き営業はあり得ない

――会議の考え方については、参加する側のGMの立場を経験しているからこそ、その意識は大きく変わりますね。

荻野「会議は経営陣から内容を落としていくものではないと思っていて、一方通行になってしまうほどもったいない時間はありません。そうした会議では往々にして、うまくいっていないGMが、とにかくその時間を大人しくしておき、早く終わらないかとしか考えないでしょうから(笑)。本来、会議は現場の意見を持ち寄り、それを表明して様々なことを検討する場であるべきです。私自身はそうしたスタイルを重視しています。そうすればGMが現場に帰ってからも、スタッフの意見を積極的に聞こうとする。自分だけが一方的に話すのは、意味のない時間ですから。」

―― 一方的にプレッシャーを与える場ではないと。

荻野「昔は、プレッシャーを与えてもよかったと思いますが、今は時代が変わっています。」

――経営陣がそうした意識になれば、GM・現場スタッフの考え方も変化していきます。独自の営業スタイルも、そこがベースになっているのかと。

荻野「新郎新婦にとっては一生に一回の結婚式だからこそ、3 件程度を普通に見学してもらうのは当たり前のこと。それを自らの会場で契約してもらおうと、時間を引き延ばして他の会場に行かせないようにしてしまうような営業のやり方は、果たしてどうなのでしょうか。結婚式の強引な接客の噂が広まれば、新郎新婦は見学を控えようと思うことになりますし、そこには本当に危機感を持っています。例えば値引きに関しても、通常であれば当日のサービスや食材などの原価に響いてくるわけです。適正価格でいいものを提供するということが何よりも大切であるべきなのに、金額で勝負する、他の会場の見積もりと比較していくら値引きしますといったことはあり得ないのではと感じています。それを経営者だけでなく、会社全体でおかしいと思えるかどうかが重要です。」

――現実には新規接客時に大幅な値引きで成約を迫り、その結果として初期見積りと最終で大きく異なるケースもあります。こうした対応をこれからも続けていけば、結婚式全体に不信感が生まれてくるわけで、残念なことです。

荻野「いくら最初の段階だからといって、新郎新婦が求めていることに対して出来もしない見積もりを出すのは、騙していると思われても仕方ない。きちんとした料金を提示した上で、それ以上を叶えるためにはオプションの追加が必要だから、その分費用がかかってくることも理解してもらうことが大切です。こうした姿勢は、当たり前のこと。当社ではあくまでも顧客優先を守るためにも、新規接客も2 時間以内にしていますし、基本的に新規来館時の即決も推奨していません。」

――新規来館の際には、何時に来ても大丈夫とのことですが。

荻野「ある程度の目安の時間は設けてはいるものの、希望があれば何時でも受けるように指示しています。2 人の来たい時間帯に来てもらうようにして、会場がそれに合わせていく。例えば平日の仕事終わりなど、その時間にしか来られない顧客もいます。会場の都合として接客時間を決めてしまうと、仮にその枠が埋まっているとなれば別時間帯、日にちを勧めなくてはならない。つまりそれは、顧客の希望を断っているのと同じ。それならばどんな時間でもいいから、とにかく受ける。仮にスタッフが足りなければ、2 組を一緒に案内しても構わないわけです(笑)。来館日時のコントロールはグループ会社であるタイムレスのコールセンターで対応していて、一応は結婚式が入っている日、入っていない日で推薦枠を設定し案内をしやすいようにはしていますが、基本的に好きな時間に来てもらうというスタンス。もちろん結婚式が入っていれば会場内は見せられない可能性もありますが、それもきちんと伝えた上でそれでも見学したいということであれば希望に沿って対応しています。」

――実際にノバレーゼでは、来館が順調に回復しています。他会場と比べても、回復は早いとも言えるのですが。

荻野「昨年秋の集客が、2019年比で110%になりました。一方、マーケットとしては70~80%程度ということを耳にします。会場も近隣にあって、情報誌でも同じように広告を出しているわけですから、本来であればそれほど差がないはず。集客に差が出ているのは、接客時間を設けることによって知らず知らずのうちに断ってしまっているのではとも感じます。」

 

新規は知ってもらう機会

――多くの会場では式場やバンケットも見学でき、かつ成約率の高い朝一番を重視した時間枠を設けています。そこに縛られすぎるがゆえに、逆に顧客に不便さを感じさせてしまうことが考えられます。

荻野「例えば結婚式が入っている時間帯であっても、見られない部分はあるけれどそれでも良ければと、伝えればいいわけです。どちらを優先するかは、あくまでも顧客側が決めるもの。現在当社では、30分で見学のできるクイックフェアも実施しています。平日の仕事終わりに、少しだけでも見学したいといった人達にも来てもらえるように。自分達の都合ではなく、顧客の立場に立って考えながらジャッジしていけば、間違いが起きることもないと思います。自分がそれをされたらどう思うかという視点で、見学に関しても対応しています。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月21日号)