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公式アプリ、イベント開催などで自社集客が向上【アニヴェルセル 代表取締役社長 松田健一氏】
11月に発表した今期の中間決算において、通期の黒字化の見通しを発表したアニヴェルセル(東京都港区)。コロナ期間中は情報媒体への広告掲載をストップするなど、徹底した筋肉質の経営を心がけながら、同時に会員アプリやイベントなどを通じて自社集客比率を高めてきた。この取り組みがポストコロナの今、重要な礎になっているのも事実だ。さらに今年は、表参道店のリニューアルを控え、【記念日の館】 というコンセプトのもと、会場全体の賑わいを演出していく仕掛けを進めている。2019年6月に就任した同社の松田健一社長が考える、アニヴェルセルの再スタートに向けた戦略とは。
イベントに50組が来場
――11月に発表した中間決算では、ブライダル事業も黒字転換間近という数値でした。
松田「今後コロナの大きな影響がない限り、今期は3 年ぶりの黒字を予想しています。コロナ禍に販管費を含めて徹底したコストダウンを図ってきていますから、ある程度施行さえ戻ってくれば黒字になるような経営体質になっています。」
――コロナ禍の施策として情報誌への広告掲載をストップするなど、思い切ったマーケティングの転換が注目されました。
松田「情報誌への広告出稿に関して、現在は表参道、みなとみらい、名古屋、大阪、大宮では2019年の80%程度にまで戻しています。一方で式場がそれほど多くないエリアは、そこまで積極的に出稿する必要性を現時点で考えていません。この3 年間で進めてきた自主販促が、一定程度のベースになっているのは大きいですね。」
――コロナ禍の自社集客推進が、今になって利いています。
松田「SNS、WEB広告を始め会員アプリや自社イベント。また地元のジュエリー会社経由の集客も進めるなど効率を高めてきました。自社集客比率は現在30%程度まで上がってきた中、マーケットに応じて媒体出稿も調整していけば、その分が上積みになっていきます。自社集客に関してもう一つ大きいのは、成約率が取り組み前の平均40%から上昇し、55%を超えている点。今後は広告出稿を使っても成約率の下がらない状態にしていくことを重視しています。」
――自社集客イベントとは、どういうものなのでしょうか。
松田「昨年2 月と8 月にみなとみらい横浜で、5 月には表参道で実施しました。ウエディングフェアに行ったことのないようなプレプレ花嫁層にターゲットを絞ったイベントです。こうした層はブライダルフェアに来館するハードルも高いのではと考え、骨格診断、パーソナルカラー診断、コーディネート体験、私服での撮影などの気軽なコンテンツを用意。WEB、SNSで集客をかけたところ、それぞれ一日に50組以上が来館してくれました。気軽なイベントであるためその場でのセールスは極力控えましたが、ウエディング相談会ブースを設けて希望者に対してアニヴェルセルの関東の店舗を紹介したところ、結果的に60%程度のカップルを送客。以前もイベントを実施したことはあるのですが、どちらかと言えばセールスを第一の目的にしていて、ライトなスタンスは昨年が初めてでした。今後もどのタイミングでの実施がベストなのかを考えながら、定期的に開催していく予定です。」
ナーチャリングへの投資
松田「これまで、即成約の見込めないナーチャリング(顧客育成)の部分には、それほどコストをかけないという考えがあったのも事実です。ただ、結婚式実施を迷っている層が増えていることを考えれば、そこにも投資は必要になってくると思っています。そのためにSNSは非常に強力なツールで、今後もきちんと対応していきます。もう一つ、来館前の段階からアニヴェルセルを知っておいてもらい、興味を高める仕掛けをどうしていくかもより大切になってくるでしょう。」
――その点では、公式アプリ【omotte】も利いてくるのではと思います。
松田「公式アプリに関しては、2019年4 月からスタートし、現在は7 万7000名以上になっています。アプリ利用者に対して、記念日カレンダー、マガジン、クーポン、記念日レストランなどのイベントを案内。無料フォトイベントなど多くの情報発信をしています。これも結婚式をしたいという重要なターゲットだけでなく、それ以前の段階からアニヴェルセルの認知付けを進めておく取り組み。また当社の場合、表参道、みなとみらいの各店舗は、建物自体がメディア化しています。表参道は昨年末にティファニーとコラボしたカフェ営業を展開していましたし、これも新しいメディアとして集客改革のきっかけに繋がると感じています。」
――昨年、集客施行共に回復してきた中で、クオリティ維持のための新たな取り組みもスタートしたそうですね。
松田「昨年の初めの段階で、結婚式が回復して繁忙状態になっても施行のクオリティを下げない、出来れば上げるための取組みを考え、【サーブクアルチェック】を開始しました。これはサービス管理の仕組みで、サービス経験が豊富でかつ教育も出来るスタッフが、結婚式を実施している店舗に毎週訪問。パブリックスペース、バンケットであらかじめ決めたそれぞれ約150個の項目を一つずつチェックしていきます。コンシェルジュの案内、スタッフの表情、親族控室の清掃状況。それこそ玉砂利が汚れていたなどの細かいチェックも出てくるのですが、店舗スタッフだけでは見過ごしてしまっていたこともしっかり改善点として洗い出しています。チェックした項目を採点し、月曜日に支配人会議で振り返り。業務の効率化によって、漏れてしまうことが確実に出てきますし、それを防ぐ上でも細やかなチェックでクオリティを担保していくイメージですね。対象の店舗だけでなく、他の支配人にも何を改善しなければいけないのかの気付きにもなり、注意しなければいけないことについて、これまで何となくとらえていた部分をしっかりと明文化し、それに基づいてPDCAを回していきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)

