LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

会費制で通常婚礼と差別化【NOVIC 代表取締役 金田昌彦氏】
少人数化、低価格化に対応するため、ホテルや会場が低価格ウエディングを展開するケースが増えている。もっとも低価格であるがゆえに、これまで通りのオペレーションでは結果として採算を確保できないという可能性も高い。黒字化のヒントになるべく、250万円以下・会費制にこだわったカジュアルウエディング領域を展開しているNOVIC(東京都渋谷区)の金田昌彦社長に、集客から打合せまでの効率化の仕組みを聞いた。
大手企業からの独立
――創業までの経緯は。
金田「創業は2009年で、今年で12年目になります。もともとIT系の会社に勤めていた当時、自らの結婚式でブライダル業界に興味が湧き、大手ブライダル企業に入社しました。そこで感じたのが、施設にカジュアルW領域の希望者が来ても、ほとんど獲得していなかったこと。新規来館のうち15%程度はカジュアルW希望のカップルだったのですが、会社の方針としては単価が安いため積極的に獲得しない。いわばプランナーが【外れ】と言う顧客です。こうした層が15%あるということは、名古屋全体では相当数に達するのだろうと思い、他の施設の人たちにも話を聞くとやはり10%前後を占めていました。名古屋の結婚式実施率が半分の状況を踏まえれば、カジュアル志向はかなりのパイがあるのではと考え、28歳の時にこの層をターゲットにしたカジュアルWに特化したNOVICを立ち上げました。その時に話を聞いた名古屋の婚礼施設から集まってきた6 名が、当社の創業メンバーになります。」
――カジュアル層の定義は。
金田「これは商品やプランによっても様々なのですが、まずフルコーススタイルとブッフェスタイルに分かれます。平均値はフルコースが55名、ブッフェは68名。1.5次会プランなどもあるためそれぞれですが、セグメンテーション的には250万円以下が主流で、会社としては200万円以下が最適と考えています。婚礼施設で働いていた時に、単価250万円であれば事業として成り立ちますが、それ以下では不採算になることを把握しており、その単価であれば、既存の施設と競合することもありません。当社の基本スタンスとして、そこから通常婚礼並みに単価アップしていこうという戦略は取っていません。単価アップは、通常婚礼のニーズを浸食する可能性も高まります。もともと施設にいたので、高単価の結婚式にはやはり価値があると思っていますし、だからこそ高いところが安く、安いところが高くでは顧客を混乱させ、顧客満足度にも影響してしまうと考えています。当社としてはカジュアル層以外の単価ではやらないという逆バージョンを貫き、それによってカスタマーが増えています。通常結婚式との違いを明確化するために、ご祝儀ではなく会費制にこだわっているのも一つの特徴です。」
――コロナによる影響はいかがでしたか。
金田「コロナ前の年間売上は15億円で、ちょうど20億円にまで到達するというタイミングでした。当社は₈ 月決算であり、2020年2月までは計画通りだったのですが、3 月以降減少しました。特に二次会の事業で、キャンセルが多かったのが響いています。一方、カジュアルWは延期を重ねている人もいます。コロナ禍で申込んだ顧客は、ある程度感染状況を踏まえた意識もあります。ただ昨年春の段階でのキャンセル率は25%ありましたから、通常Wよりは高い数値です。それでも、受注は順調に戻ってきています。」
――コロナで低価格志向が高まり、既存の施設でもカジュアル領域の結婚式を展開するケースが増えています。もっともそれで利益を出すには、既存のオペレーションを変えるなどコストを含めた見返しが必要ではないかと思います。その点、カジュアルWに特化してきたNOVICの仕組みは注目です。
提携会場からの紹介も
金田「まず、集客に関しては創業期から広告を打たないという方針を取っています。カギになるのは紹介で、多くの式場と取引している強みを発揮できます。年間16万人がカジュアルWのゲストとして参加しているため、まずはアンケートに応えてもらうよう、以前はプレゼントを提供するなど徹底的にデータ収集を進めてきました。アンケートで未婚・既婚が分かり、さらに半年後に結婚の予定があることを把握できれば、メールを送ってダイレクトにコンタクトを取るなど。また紹介率を高めるためには新郎新婦のCSが何よりも重要であり、そこでNPS(ネットプロモータースコア)も活用して満足度を調査しています。こうしたデータを収集する役割として、カスタマーデスクが存在しています。」
金田「もう一つは、施設とソリューション型で提携しており、そこからの紹介です。施設にとっては、来館した顧客がカジュアル層の場合、自分達で対応すると不採算になってしまいます。単価も合わないことで結果として決まらない可能性の高い【外れ】の顧客なのですが、それでもバンケットは空いている。そうした場合に、当社にそのまま顧客を引き継いでもらうのがソリューション型の仕組みです。施設からすれば売上を逃すこともなくなり、当社に振ることで打合せなどの余計な手間も生じない。通常婚礼とは違いお日柄もそれほど気にしないため、バンケットの空きを踏まえて日程調整がしやすいという利点もあります。現在250のブライダル施設と提携していますが、ソリューション型が半分程度を占めています。この仕組みにより集客は、カップル・ゲストの紹介が35%、ソリューション型が30%、それ以外はWEBマーケティングとなっています。」
――接客・打合せのオペレーションも徹底的に効率化しています。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月1日号)

