LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

プランナーは刺激的な仕事【テイクアンドギヴ・ニーズ ウェディングアドバイザー 有賀明美氏 COCOSTYLE 代表取締役 荒井さやか氏 ウエディングプランナー 仁藤なお子氏】
プランナーの離職率は業界全体の課題と言える一方で、ウエディング一筋でキャリアを築く人が多くいるのも事実だ。今号はテイクアンドギヴ・ニーズ(東京都品川区)有賀明美氏、COCOSTYLE(札幌市中央区)荒井さやか氏、フリーのウエディングプランナー・仁藤なお子氏の、業界キャリア20年超えの3人による座談会を実施。若手の頃に感じていたこと、この仕事のやりがい、自分を苦しめない働き方のコツなど、話を聞いた。
本気だからこそ“苦しい”
――有賀さんは新卒でT&Gに入社。20年を超えるキャリアを有し、現在は明星大学で客員教授として活躍するほか、外部セミナーにおいて講師を務めるなど、若手の育成にも注力しています。モチベーション高く入社したものの、残念ながら長く続かない人もいる中で、有賀さん自身若手の頃の考えは。
有賀「20代の頃は毎日がむしゃらで、『もう逃げたい。いっそ逃げてしまおう』と思うことは何度もありました。土日に休みたいなど欲を言えばキリがなく、これからのキャリアについて悩みながらも仕事を続けた結果、ある時悟りを開いて(笑)。『プランナー以上に、刺激に溢れる仕事にはもう出会えない』と、入社から10年ほど経ってようやく気付けたのです。そこからは、業界で生き抜いていく術を探そうと頭を切り替えました。結婚式に向き合うのは、本気であればあるほど“苦しい”と思います。言ってしまえば手抜きも出来てしまう。それでも、誰かの幸せのためにこんな風に頑張れる仕事はない。その時、『この仕事をしている自分ってカッコいいかも』と感じたのです。そう思えるようになってから、心が“楽”になりましたね。」
――荒井さんは北海道の式場運営企業に、新卒で入社。現在はプロデュース事業以外にコンサルサービスも展開し、経営者として幅広く活躍中です。若手の頃感じていたことなどは。
荒井「ウエディングの仕事は営業の側面も多く、結婚式は高額の無形商品で、コミュニケーション能力も必要。営業の難しさは、ある意味“面白い部分”とも感じています。プランナーという仕事は花、写真の知識も必要ですし、装飾の面ではクリエイティブ力も問われる。文化や宗教、歴史的な背景なども知っておくべきですから、ある意味学びに終わりはないと。ポジティブに考えれば、そうした一般教養を学ぶことで、自身が成長し続けられる仕事とも捉えられるでしょう。思ったように出来ない自分に悔しさを感じる時もありますが、それも1 つの原動力かもしれませんね。」
――仁藤さんはホテルからキャリアをスタートしています。若手の頃のエピソードは。
仁藤「プランナーキャリアにおける初施行で、私に対して生演奏付きサプライズバースデーパーティーを実施してくれたことは、今でも強く印象に残っています。一緒に準備を進めてきた担当カップルに何かしてもらえるのは、プランナーにとってこれ以上ない“ご褒美”。結婚式の仕事、プランナーの枠組みを超えて、『私の人生の中で、こんなに素晴らしい日が来るなんて!』というレベルのインパクトでしたね。若手の頃は『辞めたい』と思うこともあったものの、そうした考えは次に担当する結婚式がお開きになると帳消しに。この仕事で生じる不満や不安は、やはり結婚式でしか解消できないと感じています。ちなみに入社から約2 年後には出産というライフイベントもありましたが、仕事か家庭かどちらか1 つなんて選べませんから、『じゃあ両方やっちゃえ(笑)!』の勢いでした。職種的に女性の多い業界ですから、育児との両立に悩む人も多いかと。家族のサポートなど得られるものはフルで“活用”すべきですし、私も実際にそうしながら、ここまで歩むことができました。」
教育は自身の成長チャンス
――限られた人員と時間の中で、現場で若手を教育することに難しさを感じるプランナーも多いかと思います。
荒井「『後輩を育てる=自分磨き』ということに気づけると、面白さややりがいに繋がってくると思います。どうやったら相手に伝わるのか、そもそも自分の頭の中が整理されてないと、人には伝わりませんから。そうした意味でも、自らの成長チャンスと前向きに捉えるのも重要でしょう。」
有賀「私は入社から2 年後の24歳の時、ある店舗に所属する複数のプランナーが同時に辞めたいとなり、そこのモチベーションアップを任されました。当時はまだ経験もそこまでありませんでしたから、どうやってメンバーを鼓舞していくかは本当に難しい課題でした。そのうえで、人材教育と結婚式づくりは似ている部分もあると思っています。相手を分析し、やる気スイッチはどこにあるのか、どんな言葉をかけてあげるのかを見極める。育成を通して、自分も教えられることは多く、一緒に成長していくという気持ちが重要と感じます。私自身大切にしてきたのは、きちんと成果まで見届けること。アドバイスしたことが打合せで出来ているようであれば、事務所に戻ってきたタイミングで『お二人も嬉しそうに頷いてたね!あれでいいよ!』と、背中をさらに押すように声をかけてあげる。ちなみに、退職希望のスタッフが同時に複数名出た先述の店舗もモチベーションを取り戻し、翌年の社員総会では表彰されるなど、成約率も大幅に向上。ステージで肩を組んで喜ぶスタッフを見た時、この瞬間に出会えた自分を嬉しく思いましたね。」
仁藤「私自身の考えとして、教える側は完璧である必要はないと思っています。『間違ったことは絶対言えない』と気持ちを張り詰めすぎると、相手の未熟さやミスも受け入れにくくなるでしょうから。若手の教育は対面というよりも、横並びで一歩ずつ、一緒に階段を上っていくとのスタンスも重要。その上で、歩幅はどうするかなど、ペースを一人ひとり考えています。」
オン/オフにメリハリを!
――働き方の面で悩むプランナーも多いと思います。
有賀「私は自分にとってワクワクできる未来の予定を、3 つ入れることを続けています。家族旅行、エステ、友達とのご飯など、些細なことでも十分です。『これを乗り越えればお楽しみが待っている!』と思えるように予定を立てるのは、簡単にできるのでオススメです。」
荒井「最近改めて重要だと思うのは、相手の求めているのは何かをまず理解すること。例えば相手のウォンツが100だとしたら、105で返せれば十分満足に繋がります。一方で、その100がボヤけた状態のままであれば、結果として150、200を提供するといったこともあるかもしれません。そうなれば、“セルフブラック企業”に突入してしまいますから。自身を追い詰めないようにするという意味でも、新郎新婦はもちろんパートナー企業なども含め、相手の求めることは何かを掴むヒアリング力、コミュニケーション力は重要でしょう。また、メリハリのある働き方もポイントの1 つかと。自身の教養を増やす意味で、休みの日に勉強するというプラスの気持ちはもちろん素晴らしいですが、『カップルのために動くのは営業時間中のみ!』と、割り切る覚悟も必要と感じます。」
仁藤「私も若手の頃は『ここまで仕事をやっている自分って偉い!』と、自己犠牲を美徳としていた時期もありました。結果として体力的・気持ち的にも苦しくなってしまいましたから、有賀さん同様に、働き方を『ご機嫌路線』に切り替えましたね。イメージとしては私がシャンパンタワーの1 番上。私自身仕事を楽しみ、幸せで満たされていれば、周りのスタッフのグラスにもシャンパンが注がれていく。ウエディングプランナーは、たくさんの人を幸せにできる素晴らしい仕事です。そのためにも、まずは自分を幸せな環境に置くことも重視すべきでしょう。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月21日号)

