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ノバレーゼ・エスクリ経営統合への想い【ティーケーピー 代表取締役社長 河野貴輝氏】 

ノバレーゼ・エスクリ経営統合への想い【ティーケーピー 代表取締役社長 河野貴輝氏】 

昨年11月、ブライダル業界が激震したノバレーゼとエスクリの経営統合のニュース。その道筋を作ったのが、ティーケーピー(東京都新宿区・以下TKP)の河野貴輝社長である。ノバレーゼの子会社化、さらにエスクリの筆頭株主となった流れの末に、これからの業界再編に向けて両社の経営統合を実現した。TKPグループでブライダルサービスを担う新会社誕生までの経緯、さらにシェアビジネスを展開する視点から今後の展望を聞いた。

想定以上の業界の厳しさ
―― ―昨年11月に発表したノバレーゼとエスクリの経営統合について、そもそもいつごろから検討していたのですか。
河野「経営統合を発表した11月の記者会見でも説明した通り、昨年の4 月にノバレーゼの荻野社長、エスクリの渋谷社長と3 人でサンフランシスコへ訪問する機会があり、そこで今後のブライダルのあり方について議論しました。業界再編の必要性は3 人共に意見が一致していて、それならば両社を経営統合し一緒に進めていく方針で今後検討していこうというのがスタートでした。当社はノバレーゼの株式を60%保有していますし、またエスクリについても30億円分となる発行済A種種類株3000株を保有していたため、普通株に転換すれば子会社に相当する約54%にまで達します。4月のこの段階では、エスクリの優先株を普通株に転換する3 年後を見据えながら、将来的に一緒にやっていこうという確認をお互いにしました。」
――もともと以前からエスクリの筆頭株主ではあったわけですが、さらに2024年12月にノバレーゼを子会社化した段階で、ある程度経営統合の構想は抱いていたのでしょうか。
河野「先ほども説明した通り、昨年1 月にエスクリの優先株を購入し3 年後の普通株転換権があったため、転換のタイミングで統合を含めて様々な施策を具体化していこうという考えはその時点から持っていたのも事実です。というのも、当時時価総額20億円だったエスクリに30億円の優先株を投資したことは相応のリスクもあり、それくらいの覚悟を持って臨む必要はありましたから。そうした状況で、6 月にSBIが株式を売却。当社としてもより積極的に主導権を握れるよう、増資という形で改めてエスクリの筆頭株主になりました。こうした流れによって、両社の主導権を自主的に切れるようになったと同時に、ブライダル業界の動きが想定以上に激しく、厳しい環境でもあったため、早い段階で負の流れを止めなければいけないと思うようになっていたのも判断を後押ししました。」
未来の話を今に巻き戻す
――両社の業績について、どのように見ていますか。
河野「昨年はノバレーゼのPLが好調に推移しました。エスクリについては利益面で苦戦していたものの、建築事業を子会社に抱えており、当社で展開している大分県別府市の複合リゾート施設【SHONIN PARK】を手掛けるなど実績も重ねていました。そうした状況を含めて考慮すれば、TKPとしても、両社とのシナジーは大きなメリットになるわけです。また、3 年後に子会社になる予定だったエスクリと、すでに子会社になっているノバレーゼをこれまでの形で別々に持ち続けている状態は、管理費用が二重にかかるなどの課題もありました。別会社であれば本社も2 拠点必要ですし、例えばゼクシィなど外部に支払っている費用についても、スケールメリットを活かせずに多額になってしまう。それならば経営統合で一つにすれば、交渉によってコスト削減が可能となり、利益面への貢献は大きいわけです。両社に対し、TKPが完全に主導権を持ち意見を言えるようになってきたことで、3 年後という未来の話であった統合を現在価値に巻き戻し、ブライダル業界再編の主導権をよりスピーディーに取っていこうと11月の発表に至りました。実際、それ以前から気になっていたのは、ブライダル大手の他社と比較してみると、2 社合計の売上はそれほど変わらないのに、利益面に関しては大きく離されていた点です。もちろん他社はホテル事業なども展開しているとはいえ、なぜ同程度の売上規模なのに同じだけの利益を出せないのかと。それならば統合により、まずはスケールメリットを生み出して利益を確保していこうという狙いがあります。」

サービス人員派遣の体制
――経営統合した新会社とTKPのシナジーはどのように考えていますか。平日稼働の法人需要獲得が真っ先に考えられますが、例えば苦戦するブライダル施設をイベントホール的な形に転換していくことも想定しているのでしょうか。
河野「もちろんブライダルの収益を会場毎に判断しながら、厳しい場合にはイベントホール的な側面を強めていく判断が必要になるかもしれないとはいえ、あくまでも法人イベントは平日の利用の仕方の話であり、土日も含めて完全に転換するつもりは今のところありません。TKP自身も、平日を中心に販売している会社ですから。ただ、土日の結婚式が少なくなった会場については、それをカバーするために土日でもイベント案件を獲得していくという考え方を出来るようになるのは確かです。実際に土日は結婚式利用中心であるため、全体的にイベントで取れる空き枠も少なく、こうしたニーズは一部の決まったホテルの独壇場でした。それを考えれば、土日であっても同じ土俵で獲得できる可能性はあるでしょう。また新会社として、ホテル事業も様々な展開を検討出来るようになります。当社は100%子会社の一つに、品川配ぜん人紹介所を保有しています。この会社には7500人が登録していて、平日は毎日約1800人を動かしています。ブライダルスタッフ、宴会スタッフだけでなく、フロント、バンケット、レストランまでTKPのグループ内から派遣する体制を整えています。現在、特にサービス業では人材不足が大きな課題になっていますから、人材を抱えているのは大きな強み。この強みを活用すれば、新会社としても、結婚式を提供するホテルを運営していく選択肢や、既存のブランドホテルを運営受託するといったアイディアに繋がっていくでしょう。もともとTKPではホテルを運営しているため、ブライダル以外のノウハウについて側面支援をしながら対応していけるのは、新会社にとっても心強いはずです。」
河野「ホテルのブライダル部門に限れば、これまでも運営受託に対応できるリソースが両社にあったわけです。そこにTKPの宴会、平日の利用、宿泊を含めた運営ノウハウが加われば、これまでにないよりダイナミックな運営受託の道も広がります。そうした形での外部との提携はもちろん、独自ブランドを作っていくことも考えられる。実際にエスクリは新横浜などでホテルも展開してきましたから、独自でブライダルホテルのようなブランドを展開するといったことも含めて、様々な可能性をこれから積み上げていくイメージです。そのために一度すべてを整理し、それぞれの強みがどこにあるのかこれから見えてくる部分を判断して、様々な展開を検討してもらいたいですね。TKPの事業領域に入ったことで、ホスピタリティを提供できるスタッフもいて、様々なノウハウも使える。新会社にとっても、TKPグループの中の多様なリソースを、どう組み合わせていくかという意識は重要であり、それを考えてもらうのは楽しみでもあります。」

リソースはどんどん活用
――ブライダル施設の稼働率アップのために、TKPの主力事業であるイベントや会議などの紹介を積極的に進めていくという考えはいかがでしょうか。
河野「それについては、まず新会社独自で平日を埋める意識を持つことが大切だと考えています。実際にエスクリ、ノバレーゼ共に、独自の対応によって、平日稼働の実績が昨年以降高まってきています。もちろんTKP側からイベントを希望する法人を紹介するということもあるでしょうが、あくまでも独立採算で自ら進めていく形がいいと思っています。ただ、TKPのリソースはどんどん共有すべき。イベント、会議などのノウハウを持っているTKPの人材、さらにコストも共有できます。その上で新会社独自で獲得していく力を高め、企業研修や会議、宴会、イベントニーズを一緒にマージしてうまく混ざり合えば、TKPグループとしての大きな塊となり相乗効果はより高まっていくと期待しています。」
河野「それは新会社との連携に限らず、外部の企業についても同じだと思っています。そもそもノバレーゼとエスクリは展開エリアやスタイルの被らない、ベストパートナーとして統合した経緯があります。これをさらに全方位外交によって輪を広げ、幅広いブライダル会場とのネットワークになっていけば全国に広く網をかけられます。特に地方の結婚式場は、上位の一部会場を除き生き残りは難しいと言われる時代になっていますから、追加投資が困難となった会場を中心に当社のネットワークの下で共に取り組んでいく体制作りを、スピーディーに進めていかなければなりません。新会社として、独自に会場を拡張していく余地も十分残しつつ、厳しい環境にある地方を中心とした外部会場と一緒になりながら集約していくという道もあると思っています。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1日・11日号)
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