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グランドハイアット福岡の婚礼全面受託【ニューバリューフロンティア 代表取締役社長 髙宮孝一郎氏】

グランドハイアット福岡の婚礼全面受託【ニューバリューフロンティア 代表取締役社長 髙宮孝一郎氏】

ブライダル専門のコンサルティング・アウトソーシング 事業ニューバリューフロンティア(東京都渋谷区・以下NVF)は、6月1日から、グランドハイアット福岡のブライダル部門を全面受託することを発表した。集客から新規接客、打合せ、施行までを同社が対応することで、減少傾向にあったウエディング収益のV字回復の期待が高まっている。今号では同社の代表取締役社長・髙宮孝一郎氏に、運営受託に至るまでの経緯と今後の戦略を直撃した。

――福岡の代表的なラグジュアリーホテルである、グランドハイアットの婚礼部門を全面運営受託することが決定しました。受託に至るまでの経緯は。

髙宮「グランドハイアット福岡は開業25年目となりますが、婚礼運営の課題の一つとして人材面がありました。これは多くのホテルにおいて共通するものですが、ウエディングに特化した人材をいかに育てるかという点でそのノウハウがないわけです。婚礼独自の評価や教育システムが整っていないために、せっかく内部で育てようとしても人材流出してしまうという悪循環に陥ってしまうところは少なくありません。グランドハイアット福岡の婚礼部門も10名程度のチームでしたが、採用・教育・定着の面で課題がありました。これまでもブライダル専門のコンサルティングなどを入れてきたそうですが、抜本的な改革をしない限りは、なかなか解決できなかったのです。」

髙宮「もう一つ、ウエディング独特のオペレーション面があります。福岡の中でグランドハイアットの知名度、価値は非常に高い一方、ことウエディングに関しては激戦区であり、専門会場に集客・接客面でどうしても劣っていました。そのため婚礼件数も右肩下がりで、最盛期の3 分の1 にまで落ち込んでいました。売上・利益を高めようとして様々な施策を打っても、ブライダルに精通した人材・オペレーションの問題が必ず浮上。それならば、ブライダル事業そのものをアセットとして捉え、専門の会社に好きにやってもらったほうがいいのではということになり、その流れから当社が全面受託することになりました。自らブライダル専門の人材を起用する、専門企業に負けないノウハウを蓄積していく負担を考えれば、受託のメリットは大きいはずです。」

――全面受託ということで、集客から施行まで、婚礼に関わることはNVFが対応。ホテルは当日サービス・料理を担当するということですね。ホテル婚礼に関するこの方式は、NVFとしても初の試みです。

髙宮「これまでもホテルとの様々な取組みはありました。マネジメントに入りホテルのプランナーと一緒に進めていく方式や、新規のみなど部分的な対応でした。自社でプランナーを抱えて、ホテルの婚礼業務全てに対応していくのは当社としても初めて。またハイアットグループでも婚礼全てを任せるというのは初の試みであり、グループ内でも注目されています。契約に関しては、あらかじめ年間売上を設定。それ以上であればプラス分を両者で配分、インセンティブ収入となります。逆に下回った際には、その分を当社から補償する形。これは当社にとってリスクもありますが、様々な課題を解消すれば十分に到達できるラインです。人件費や広告宣伝費などの固定費については、業務委託料としてホテルから受け取ることになります。ホテルにとっては、売上が担保されますし、婚礼に関わる様々な負担が解消できるというメリットがあります。」

――すでに2 月から髙宮社長自身が婚礼部門のコンサルタントとして入っているそうですね。まずは自らが現場に入るというスタンスですが。

髙宮「ホテル側のスタッフと共に仕事をしながら、それまでがどういうシステム、どういうノウハウで進めてきたのか現状把握が必要でした。また、実際にホテルに来館する新郎新婦が、どういった人が多いのか。競合先や親の関与度合いなども含めて知らなければ、その後の打ち手も出てきません。基本的に私が先兵隊として対応する方式は、これまでと一緒です。」

――実際に2 月からコンサルタントとして入っていた期間は、新規獲得もここ数年で最高の数字を叩き出したとか。

髙宮「成約率を最低55%に設定して、私自らも接客に出ながら新規チームを回していました。婚礼部門のスタッフは、もともとブライダルから入っているわけではなく、あくまでもホテルに就職したわけです。そのため、ブライダルの新規接客において重要なノウハウに関して知らないことも多い。夢やストーリーを語ることや、購買の原理原則に則った接客の型、想定問答などの作り方も知らないし、教えてもらったこともないのです。それを教え理解させることで、成約率も自ずと高まっていきます。本来、そうしたオペレーションを作るべきマネージャーに関しても、ホテルの場合にはブライダル専門家ではありません。全くブライダルをやったことのないマネージャーを起用しても、なかなか数字が上がらないのは当然のことですし、数字が上がらないからと別の人に変えても同じようにノウハウがなければ結局何も変わらない。これはホテルの婚礼における最大のウィークポイントとなっており、だからこそ組織ごと変える必要があります。とは言えホテルの婚礼部門だけを独立した組織にするのは困難であり、そうなると運営受託がより早く組織を変えられる、現実的な選択肢になります。」

――運営受託に対応するチームについては。

髙宮「リーダー、新規、施行を含めて、11人のスタッフで対応していく予定です。非常に注目されているプロジェクトでもあり、新たに人材を採用するなど、経験やキャリアが豊富なスタッフを集めたブライダルに関するスーパースター集団をつくることができたと自負しています(笑)。すでに4 月には、当社で実績を重ねてきた、集客周りを改善するスタッフも入っています。7 月から9 月まではホテルスタッフが抱えている施行もあり移行期間となりますが、それが終わり次第当社のスタッフで回していくことになります。」

――スタッフの評価制度という話が出ましたが、ホテルの組織内で対応するのはやはり難しい面もありますか。

髙宮「当社では、定性的な側面について結婚式業としてどうあるべきかのバリューズブックを作成しています。主体が宿泊業のホテルが、結婚式を主軸に会社の在り方を形成することは難しいものです。定量的な面については、新規であれば個々人の接客件数、成約件数を明確にする。施行の場合は担当組数、単価アップ率を指標に、評価に組み込んでいきます。年功序列の色合いが強く、様々な部門を抱えているホテルにおいて、婚礼だからと全く別の評価を導入するのは、会社全体のバランスを大きく損なうことになってしまいます。この定量的な数字について当社で大切にしているのが、個々人との面談によってしっかりと握りあうこと。その数字を月に一回、定期的に振り返ります。さらに、それをすることでどうなりたいのかということまでも会社とスタッフが共有し、達成すれば自分がなりたい姿になれるという成長感を与えていきます。これはブライダルの評価において、大切だと感じています。」

――今回の運営受託をきっかけに、今後もホテルでの展開を強化していきたいという考えのようですが。

髙宮「全国にあるラグジュアリーホテルのウエディングは、大きな可能性があると考えています。ホテルの価値とは安心感であり本物感。もともとあるブランドをブライダルのオペレーションにつなげることにより、専門会場には負けないのではとも感じています。だからこそ、ホテル・当社の強みが発揮できる運営受託は今後も進めていきます。また、こうした展開のために必要なのが人材です。その点当社は、自社会場の運営や各種業務受託などを通じてオペレーターとしての仕事もできると共に、コンサルティングも手掛けているというのが特徴です。結婚式のオペレーションが何よりも好きという人、コンサルを経験し自ら事業を立ち上げたいという人、この二つの面で意欲を持っている人材を獲得できる環境です。新卒に関しても、ウエディングプランナーとコンサルタント両者の採用を実施していますし、コンサル志望の中にはもともと金融や商社希望といったスタッフもいます。この特徴は、WEBサイトの求人などでも出していますし、今後も積極的な採用を進めていきます。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月1-21日号)