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【TOPインタビュー】全スタッフの意識改革に注力(藤田観光 執行役員 ラグジュアリー&バンケット事業グループCOO 中村雅俊氏)

【TOPインタビュー】全スタッフの意識改革に注力(藤田観光 執行役員 ラグジュアリー&バンケット事業グループCOO 中村雅俊氏)

 ホテル椿山荘東京や太閤園など、各エリアの代表的なウエディング施設を展開している藤田観光(本社:東京都文京区)。企業規模が大きいからこそ働き方などの人材制度が確立している一方で、婚礼においてもトップダウンになりがちという課題もある。ラグジュアリー&バンケット事業グループCOOの中村雅俊氏は、「ウエディングの受注件数もだが、大切なのはその中身がいいものになっているか」と話す。長い歴史と伝統があるがゆえに生まれる“慣れ”から、どう脱却していくのか。スタッフの意識改革など話を聞いた。

――大阪のマーケットをけん引している太閤園ですが、2015年に神殿・豊生殿が完成。和婚に強い会場として知られています。現在の状況は。
中村「少し前の話になりますが、神殿が新たに完成する以前のパースの段階で、集客が大きくアップしていました。一方でそこから1 年ほどが経った頃、集客は減少傾向に。単にオープン景気が終わったのではなく、課題は私たち自身、つまりスタッフでした。目新しさに“慣れ”てしまい、販売にも磨きがかからなかった。オープンから時間が経って離れていったのは、カップルではなくスタッフの気持ちだったということですね。そこで、自社で取り扱う商品・サービスをしっかり見つめ直し、その価値を私たちが改めて再認識していきました。その結果、『単に新しいから売れるのではなく、私たちは価値あるモノを売っているのだ』と、自信がまた芽生えてきました。豊生殿の誕生から4年以上が経ちますが、来年度はこの神殿が位置する別館のパーティ会場・ガーデンホールは、今期対比で受注110%と好調に推移しています。」
――昨年9 月にはチャペル・ヴァンヴェールをリニューアルオープンしました。自慢の庭を見えるようにし、洋の取り込みも目指しているそうですが。
中村「和のイメージが強く稼働が低かったのが課題でした。そこをさらに底上げし、多様化するニーズに応え、受注を強化していきたいと。リニューアルを機にゲストの人数も増えてきています。割合でいうと5 %ほどアップしています。」
――ホテル椿山荘東京は年間2000組以上というボリュームで推移しています。
中村「現在のバンケット数は24部屋あります。今まではこれだけの宴会場をまんべんなく売ろうとしていましたが、そこに課題があるのではと。稼働が低いと、小規模な婚礼を無理やり取ろうとしてしまう。だったら売れない会場は、おもいきって売らなくてもいいと考えています。売れる会場にまずは絞ってしっかりと提案し、空き会場はMICEや一般宴会を取って埋めていけばいいわけです。現在はその方向にシフトしており、ウエディングで稼働させていくのは24室中15程度と考えています。」
――一方で、少人数のニーズも高まってきています。
中村「当社で運営している規模の大きい施設に関しては、少人数専用会場も展開し、ニーズをしっかりとカバーしています。婚姻組数は約58万組とされていますが、初婚と再婚層はそれぞれ分けて考えるべきでしょう。再婚カップルですでに1 度披露宴をしているとなれば、大々的なパーティよりも家族だけでアットホームにという志向になりやすい。ホテル椿山荘東京の敷地内の料亭『錦水』では、少人数ウエディングに使用できる個室も複数用意しています。列席者数に応じて提案できるので、そのニーズはしっかりと押さえています。」
――ブライダル業界全体で、列席人数の平均が減少していますが、そこについての考えは。
中村「平均はあくまで平均でしかなく、実際に全ての施行において列席者が減少しているかと言えばそんなことはない。アベレージ人数の引き下げには、少人数ウエディングの増加が背景にあり、80~100名規模の婚礼のゲスト数は、そこまで減少していません。だからこそ売れる会場は人数を落とさずしっかりと提案し、多人数として受注。売れなかった会場は一般宴会へ。土日であれば同窓会などのニーズもあるので、週末でも稼働の可能性は十分あるわけです。そしてニーズが高まる少人数も専用会場で漏らさず獲得できることが、1 番うまく回っていくと感じます。」
――藤田観光と言えば歴史も長く伝統的なイメージもありますが、昨年11月末にはコスメブランド・ロクシタンとコラボしたウエディングプランも発表。新しい取り組みも積極的に展開しています。
中村「ウエディングにおいて肝心なのはその中身です。いくら件数が多かったとしても、いい結婚式でなければ意味がありませんから。そのためにはどんどん新しいものを取り入れていくべきでしょう。異業種でもあるロクシタンは女性からの人気も高いので、これもその一環です。結婚式というおめでたいシーンを、いかにして最大限幸せにできるかという琴線は絶対守りつつも、新しい風を常に吹き込んでいきたいと考えています。2018年に発表したYOKOYAMASHIRO Designsとのオリジナルコラボドレスも同様の考え。山城さん自身インポートものに触れており、海外の最新事情にも詳しいわけです。だったらその知識とアイディアを取り入れつつ、ホテル椿山荘東京らしいオリジナルドレスを作ってみようと。約2000件の満足度をアップするには、新しい挑戦をし続けていく必要があるわけです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、新春特大号)