LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

【この人に聞く】物件を購入してきた強み(ブライダルプロデュース シューソン代表取締役 今野秀尊氏)
会場運営企業にも大きな影響を与えているコロナショックであるが、そうした中にありながらパートナー企業へのテナント料金減免など、ブライダルプロデュース(横浜市中区・以下BP)の各種対応を評価する声が多い。同社もまた他社と同様に多くの延期を余儀なくされているものの、資金面での深刻さはそれほど聞こえてこない。
その理由を紐解く上で、同社の創業者でもあるシューソンの代表取締役・今野秀尊氏をインタビュー。多店舗出店のスピードを各社が早めていった時代にあっても、自社物件を購入することにこだわってきた経営手法や、パートナー企業との関係づくりなど、こうした事態においても結果として強い基盤を持てる理由を探っていく。
――これまでの歴史から学べることも多いとの考えですね。
今野「新郎新婦の不安、感染予防対策をしっかりとしていけば、これまでの100名のパーティが50名程度にまで減少せざるをえない。日にちを分けて2回開催するという案も出ていますが、やはり一日で実施したいという希望も多いはずです。そうなると、50名を招き、残りの50名はリモートで参加してもらうという方法が求められてくるでしょう。その対象は、遠方にいる親族などが中心かと。BPではフリー音源のレーベルも持っており、実際の披露宴でも活用されていることから、著作権の課題をクリアできる下地があります。では、リモート参加する50名の人をどうするか。やはり会費制での対応が現実的となり、そうなるとかつての結婚式にヒントがあるわけです。遠方の親族には事前に食事を届けますが、そのために【口取り】メニューを開発しています。今はほとんどないお赤飯や、鯛、伊勢海老のテルミドールなどを詰めたものを贈る。かつての結婚式のお祝いの雰囲気を、家庭に届けるわけです。」
――子供時代、父親が結婚式に出席して帰ってくるのが楽しみでした。口取りをお土産に持って帰ってきて、その中に詰められた寿の文字が入ったお菓子が思い出に残っています。それを見て、結婚式に憧れた世代でもあり、これを復活させるべきとの思いもありました。
今野「結婚式の憧れを育む効果もあります。もちろん、赤飯ではなく洋風のご飯などもメニューにラインナップします。また、結婚式のスタイルも変えるべきでしょう。最近増えていた余興無し、スピーチ無しでは、リモートで参加しても全く面白くない。リモート列席者に、どんどん余興やスピーチをしてもらうべきなのです。最近、オンラインのみでの結婚式も増えていますが、これは無理があると感じています。結婚式で本来大切なのは挙式であり、誓いの場を開催し参加する人たちに承認してもらうことです。挙式をしっかりと作り込むことで、参加する意義も明確になっていく。つまり、挙式の意義が明確化しにくいオンラインのみではなく、リアルとリモートのハイブリットを考えていくべきです。」
――話を変えますが、今回のコロナ禍によって、ブライダルビジネスの課題が浮き彫りになりました。その一つが固定費であり、特に賃料負担が重荷となっています。その点、BPはこれまで、土地、物件を購入する展開を中心に進めてきました。結果としてこの方法が、コロナ禍であっても影響を抑えることができたわけです。
今野「当初の展開は、資金もないため賃貸が中心でした。その後は、土地建物を購入してきたわけですが、その理由は私自身が怖がりで、慎重であったからでしょう(笑)。基本的には、BPの関連会社が金融機関から資金を調達し、物件を購入する。いわば不動産会社です。それをBPに貸し出しています(内装についてはBPで対応)。グループ内の賃貸契約であるため、賃料に関しても例えば表参道の店舗であっても、通常相場に比べて半額程度に抑えています。BPとしては賃料負担が抑えられるため、顧客優先でのサービスに集中できます。一方、物件を所有するグループ会社としては、安定的な賃料収入が入ってくると共に、不動産相場はゼロにはならないわけですから、何かあれば物件を売ることもできるのです。賃料負担はブライダルにとって厳しいと当初から考えていましたし、最悪のケースで売ることができるのは安心材料となります。もちろん、こうした展開ですから、出店ペースも他社に比べて極端に遅くなります。それでも、1店舗ずつをしっかりと軌道に乗せることを重視してきました。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、6月11日号)

