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《Yumi KatsuraのTalk Session》後進育成のため奨学金制度発足【桂由美氏×山野愛子ジェーン氏×有賀明美氏】

《Yumi KatsuraのTalk Session》後進育成のため奨学金制度発足【桂由美氏×山野愛子ジェーン氏×有賀明美氏】

 桂由美氏の連載企画【Talk Session】は、山野学苑理事長の山野愛子ジェーン氏、T&Gウェディングアドバイザーの有賀明美氏がゲスト。桂氏は今年の5月に財団を設立し、ブライダルを学ぶ学生に総額300万円を支給する奨学金制度を発足した。財団の評議員となるジェーン氏、プランナー部門の審査委員を務める有賀氏が、ファッション、ビューティ、プランナーそれぞれの分野から人材育成の重要性、プロとして何を磨いていくべきかなどを語りあった。

美容師派遣が増える状況
桂「これまでウエディングドレスのコンテストを14年間開催してきて、今では毎回全国の専門学校から300点以上の応募が集まっています。その中から10名に制作費を提供して、1位から3位までを決めていました。今後は財団法人を設立し、ウエディングを学んでいる学生を対象とした奨学金という形で支援していくことになりました。30名に10万円ずつを支給しますが、対象の範囲を広げて衣裳10名、ビューティ10名、プランナー10名を選んでいきます。5月末の締め切りで、各学校にも案内しています。各部門の審査は私以外にプランナーは有賀さん、ブライダル産業新聞社で担当。山野ジェーン先生には財団の評議委員をお願いしており、ビューティ審査はAKIRA先生含めて3名。ファッションはエマ理永さん、伊藤羽仁衣さん含めて、4名で審査します。なぜ奨学金制度を発足したかというと、私が56年前にこの仕事を始めた時はブライダルという言葉すらなかった時代で、少なくともアジアのリーダーになりたいと1年間各国を歩いてブライダルを研究し、日本初のブライダルブックも出版しました。その後は日本がアジアのウエディングの先頭を走ってきたわけですが、現在懸念しているのが近いうちに中国に追い抜かれるだろうということ。人口も10倍で、結婚式にお金もかける。今は欧米のウエディングドレスの模倣も多いのですが、ここにきて中国の伝統を上手に融合するようになっています。私がこれまで、欧米と日本の伝統を合わせてきたように。実は中国の大学からウエディングドレスの講義を依頼されるなど、人材育成にも積極的です。今こそ日本も後進の人材育成を進め、少なくともアジアにおけるリーダーの位置づけを守りたいという思いから、財団法人を設立し奨学金制度を発足しました。」

 

――ジェーンさんは美容学校を経営していますが、学生の傾向は変化していますか。

ジェーン「全体の20%程度が、ブライダル業界を目指しています。ブライダルは素敵な分野ですから、人気もあります。ただ以前のほうが、目指す人は多かったですね。最近は、お店や美容室所属でなくても、独自で仕事をもらえる環境になっています。実はたまたま沖縄で素敵な花嫁を見ていたのですが、突然ヘアメイクを担当していた人から【ジェーン先生】と呼ばれて、卒業生ですと挨拶されました。彼女はヘアメイクの派遣に所属していて、ブライダルやショーなど、様々な仕事で呼ばれているそうです。これからはモデル会社のように、美容師を登録し、その都度派遣するという流れもさらに進むでしょう。だからこそ、ブライダルの専門家として知らなければいけない、アップや顔のメイクなどの知識、技術を学生時代から高めていかなくてはなりません。」

 

学生が企業を選びやすく
有賀「プランナーを志望する人材は、以前はウエディングへの憧れが強すぎるがゆえに、入社後現実を知って辞めていくと言う人が多かったです。今は辛い部分も含めて、学生時代のアルバイト経験でしっかりと裏側を見たうえで、覚悟を決めてこの業界に入ろうという人が増えている印象です。その点、多少厳しいことを言っても、揺るがなくなってきている。また、T&Gはプランナー、ドレスデザイナー、フラワーデザイナーを募集していますが、顧客が求める人材像が明確であるため、それに沿って採用しています。つまり早い段階から企業側のメッセージも分かりやすく出せるようになっており、その点学生も就職活動の際に選びやすくなっています。」
桂「衣裳に関しては、ウエディングドレスを専門に教えている学校がないことが課題です。また、せっかくドレスに興味を持っても、就職後にさらに教わる場所もない。これは本当に悲しいことなのですが、今日本でメイドインジャパンのドレスを作っている工場は、若狭の会社しかなくなっています。もちろん2、3名でオーダーメイドに対応しているところはありますが、大手のドレスメーカーのほとんどが、ベトナムなど人件費の安いところに工場を移しています。自らデザインし制作する環境がない日本において、本当の意味でのブライダルファッションを作り上げていくデザイナーは育ちにくくなっています。これは、本当に危機だと思っています。」

 

どこに行っても困らない
ジェーン「その点、美容のニーズは絶対に無くならないですね。ただ、訪問美容や、先ほどの派遣会社などが出てくれば、色々なことを出来るようにしておく必要はあります。ブライダルだけでなく、例えば子供たちの七五三でも直接自宅に呼ぶことも出てくるのではないかと。」
――実際ウエディング系のインスタグラムでは、フリーのヘアメイクが人気になっています。
ジェーン「すごい数のフォロワーがいて、直接注文を受けていますよね。これまでのように施設に美容室が入っていれば、オールマイティであるという常識は変化してくるでしょう。私自身の結婚の時も、ヤマノの美容師を連れていきましたから(笑)。アメリカから見れば、どこに行っても自分の気に入っている人に依頼するのは当たり前のことです。私は学校を経営しているので、どんな形であれヘアメイクさえ使ってもらえれば嬉しいのですが、特にウエディングの場合は初めての相手にヘアメイクをするのは難しく、新婦側にも不安を与えます。だからこそ、My美容師になっていくのではとも感じますし、そこに期待もしています。そうすると、ヘアだけ、メイクだけではなく、ヘアメイクもドレスも、着付けも全部出来るような美容師が必要となり、どこに行っても困らない人材を育てていきたいですね。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月21日号)