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《納得を引き出す営業テクニック-Vol.8-》クロージングまでに決断しやすい状態を作る【ビーハイライト 代表取締役 濱田 大輝氏】
カップルの反応に対し自分の喜びを伝える
「クロージングが苦手なんです」ブライダル営業の現場で、よく聞く言葉です。「押し売りだと思われたくない」、「無理に決めさせるのは良くない気がする」など、そうした気持ちは、とても自然なことです。実際、結婚式は人生の中でも大きな決断の1 つ。営業側が強く迫るほど、カップルは“防御反応”を起こしてしまいます。
とはいえ私自身、前回の連載でお伝えした『選択のパラドックス』の通り、式場を見れば見るほど悩みが増え満足度が下がっていくことを理解していたため、即決の大切さも強く感じていました。前職の新入社員時代、営業とは「とにかく押すもの」だと思い込み、クロージングに充てる時間はとても長くなっていました。成約率は一定維持していましたが、だんだんコツが掴めてくると、“ノークロージング”でも自然と成約になることが増えてきました。その答えは至ってシンプル。『クロージングまでの合いの手』がカギです。成約率の高い人のクロージングには、共通点があります。それは、判断をカップルに委ねているようで、実は判断しやすい状態を作っていること。例えば、会場案内でチャペルを見た瞬間、カップルが感動してくれたとします。
×「いかがですか?」
○「嬉しい反応、ありがとうございます!」
すぐ感想を聞くのではなく、まずその反応に対して自分の喜びを伝える。するとカップルは、無意識に接客者(スタッフ)を喜ばせたくなり、反応がどんどん良くなっていきます。そしてその反応は、やがて自己暗示に変わります。なぜなら人は、一度口にした気持ちを後から否定しにくい生き物だから。
つまりクロージングの準備とは、説得ではなく反応や言葉を引き出すこと。売れる営業ほど最後に話すのは、自分ではなく“お客様”なのです。
このコツを掴んでから、私の接客は引き留めるクロージングから、『カップルに引き留められるクロージング』に変わっていきました。営業とは、決めさせる仕事ではありません。カップルが「この選択なら大丈夫」と感じられる状態をつくる仕事です。強く勧めなくても決まる接客は、決断を押しているのではなく、決断の準備を整えているだけなのです。この小さな違いが「少し考えます」を「ここにします」に変えていきます。
次回のテーマは『ザイオンス効果(単純接触効果)』。人はなぜ、何度も触れたものを好きになるのかを解説します。どうぞお楽しみに。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)

