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《新春 Top Interview》卒業後にも戻ってくる 働いていた会場で結婚式をしたいと思うか【ブラス 代表取締役社長 河合 達明氏】

《新春 Top Interview》卒業後にも戻ってくる 働いていた会場で結婚式をしたいと思うか【ブラス 代表取締役社長 河合 達明氏】

学生アルバイトスタッフ(PJ)でも、結婚式創りのやりがいを感じられる仕組みを作り上げてきたブラス(名古屋市中村区)。卒業後、アルバイトをしていた会場で自らの結婚式を実施したいと数多く戻ってくるのは、そこで働く満足度を証明している。良い結婚式の追求は働く人のモチベーションを向上させ、さらに良い結婚式へ好循環していく。河合達明社長の良い結婚式を追求していく姿勢は、ブライダル業界に必要な矜持と言える。(後編)

 

卒業式を会社全体で実施

――PJ(学生アルバイトスタッフ)のモチベーションを高めることで、良い結婚式創りに大きく貢献してくれます。

河合「新郎新婦は当然のことながら、良い結婚式にしたいと考えています。ただ結婚式の一番難しいところは、新郎新婦は幹事役でありながら、同時に主役でもあるという点。そんな2人に成り代わって当日を仕切るのがウエディングプランナーの役割であり、そこでは様々な決断をしていくわけです。ただ、プランナー1 人では出来ないからチームを作らなければならず、そこにPJも絶対に必要となります。そうした本質を徹底して追求すれば、自ずとPJを大事にしていくという意識になってきます。」

――会社には正社員、契約社員、アルバイトという序列がどうしてもあります。さらにブライダルの場合、主役はプランナーであるという意識も強い中で、アルバイトの重要性を意識して創業以降常にスポットを当ててきたのは、いい結婚式を提供しようというブラスならではということですね。

河合「当日のサービスをするのは、結局学生たちですから。そこは創業前に司会をしながらつくづく感じていたことで、学生たちに一生懸命取り組んでもらわなければ良い結婚式になりようもない。だからこそ毎年PJを対象にしたアワードを実施し、彼らの想いを発表する場を作り、また春には卒業式も開催しています。卒業式に関しては、司会をやっていた時代に出会ったキャプテンの影響も大きいですね。とにかくアルバイトから慕われまとめる力が優れたキャプテンでしたが、3 月になると自費でホテルの会場を借りて、自分のチームのアルバイトの学生たちのために卒業式を開催していました。卒業証書まで自ら作っているその光景にすごく感動して、将来会場を持った時には必ず真似しようと思い、創業当初から実施しています。」

――良い結婚式をブラスで一緒に作ってきた経験があるからこそ、卒業後に再び戻ってくる深い関係になっていきます。卒業したPJが、自らの結婚式を働いていた会場で実施するケースが多いのも分かります。

河合「アルバイトであっても、自分の働いていた会場で結婚式を実施してくれるかどうかは、良い結婚式を提供できているかの一つの基準でもあります。当社の場合、友人や姉妹が結婚式をするという時には、現役・卒業PJからの紹介もとにかく多いですし、自らの結婚式の時に帰ってくる率は非常に高いと言えます。私自身もPJの結婚式には顔を出すようにしていて、実際に2 月の閑散期でもすでに3件入っています。これはPJに限る話ではありませんが、自分たちの結婚式業界をブラックと呼ばれたくないのは当然で、働いて良かったと思ってもらいたいわけです。だからこそ良い結婚式を追求し、それを作っている一員であることを会場の全員で実感できるような仕組みを大切にしています。」

――それはプランナーも同様かと思います。

河合「ウエディングプランナーの仕事は、結婚式本番を仕切ってこそで、そこにこの仕事の醍醐味があります。プランナーを目指す若い人たちも、そうしたイメージを持っている中で、プランナーで入社しながら新規の営業や打合せしか出来ずに結婚式本番に関われないとなれば退職してしまう可能性も高まります。そうした仕組みになっているのであれば営業マンとして募集をすればいいわけで、プランナーと言うからおかしくなっていきます。その点では、ウエディングプランナーという職種をもっと大事にしていくことが必要ではとも感じます。」

――良い結婚式の追求は、人材定着にも大きく影響するかと思います。さらに良い結婚式創りを追求した仕組み化によって、働く人たちのモチベーションが向上すれば、さらに施行のクオリティも高まっていくという好循環になってきます。

 

良い結婚式の定義は様々

河合「そもそも良い結婚式を提供するのは、サービス業の基本中の基本。もちろん良い結婚式の定義は様々で、当社のようなフレンドリーなスタイルもあれば、格式を重視しながらそこを徹底的に磨いていくやり方もあります。それぞれの方向性は違っていたとしても、大切なのは自社の考える良い結婚式を追求していく姿勢であり、それを分かりやすく多くの人に伝えられるか。例えばガーデンを使って列席した友人たちとゆっくり写真を撮影できますと新規来館時に説明しながら、実際当日には時間もなくてそれは叶わないとなればどう思われるか。そのようなやり方では、良い結婚式どころか嘘をついているとなってしまいます。それならば、本当にゆっくりと写真を撮れるように、結婚式の時間自体を伸ばすという考えは自然に出てくるもので、当社はそこを大事にしているということです。」

――業界全体として、結婚式は1 回限りでリピーターにはならない商売という認識から、良い結婚式をそこまで追求してこなかった面はあるかと思います。ただ、正社員・アルバイト共に採用が困難な時代に突入したことで、人材確保の面から働きたいと思われる企業かどうかは今後より問われてくるのではと思います。良い結婚式創り→モチベーション向上という好循環のところでは誰もが働きたいと思う反面、クレームばかり発生するような企業ではスタッフも疲弊しすぐに離職、それをカバーする人材補充もどんどん難しくなってくるかと。

河合「様々な考え方、やり方があるのは当たり前で、まずは当社のやり方でどこまで勝っていけるかは大事なこと。ブラスは給与も高く、お客さんも喜んでいて、さらに業績的にも勝っているとなれば、業界内で少しは認められるでしょう(笑)。危惧するのは、学生たちがモチベーションを持てないような結婚式の現場で働いていると、いざ自分たちが結婚をする際に果たして結婚式を実施しようと思うかどうか。結婚式の仕事に携わった人ほど内情を知り、結局自分たちの結婚式はしないという悪循環になってしまいます。それは非常に寂しいことだと感じますね。」

 

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月21日号)