LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

《単価UPどう考える》予約段階から希望を精査【東京會舘 常務取締役 営業本部副本部長 星野昌宏氏】

《単価UPどう考える》予約段階から希望を精査【東京會舘 常務取締役 営業本部副本部長 星野昌宏氏】

 単価アップのためには、新規の入口時点での明確な見積もり、説明が必須であると語る東京會舘(東京都千代田区)常務取締役・星野昌宏氏。獲得を優先しすぎて必要な項目の入っていない料金を提示したとしても、結果後々に不信感を与えることになり、自社の看板を傷つけるリスクも生じるという考え方だ。いわば新規時のターゲティングを明確にして、自社の価値観に合う顧客に向けた対応が必要ということだ。後編となる今号では、こうした方針を進めていく上でどのような組織体系が求められるか。現場で一組一組の内容を精査する役割も重要になってくる。(後編)

20歳代の管理職を抜擢

――新規時に必要なものが入っていない見積もりから生じる様々な問題は、その後にも大きな影響を与えます。

星野「経営サイドが知らないような、とんでもないことが起こっている可能性があるわけです。不信感に繋がる対応は、数年後の自分たちに傷をつけながら、ビジネスを走らせているのと同じ。それを考えると、私自身が最前線にいて、そうしたことが起こらないように注意をしていかなければなりません。最初は打合せから軌道修正してきましたが、商品が整い、打合せ人員のスキルアップが出来ている今、新規のチェックを重視しています。同時に今年の4 月には、20歳代の若いスタッフ2 名を管理職に抜擢します。」

――狙いとしては。

星野「打合せと新規に1 人ずつ起用し、体制も整えていく方針です。打合せは引き続き人を育てながら、より組織を大きくしていく。一方で新規は、東京會舘のメソッドが何かをしっかりと植え付けていきます。450万円というラインを行動に繋げることが大切になってきますので。新郎新婦・ゲストからある程度の評価を受けるようになったからこそ、入口で間違えると、出口まで全部間違えるという危機感も身近なものになってきています。その危機意識を、東京會舘のスタッフとして全員に植え付けていく。結局は自分たち自身に責任が伴いますから。予約の時点で、希望日程の空きはどうか、想定予算はどの程度かも含めて、しっかりと予約枠管理や事前の顧客への告知をしていくために、コントロールのできる人材を起用します。」

――それは入口段階でのセグメントでもありますが、顧客の希望にどこまで合わせるのかというバランス面も大切かと。

星野「そこは、マネジメントによって対応できる余地があると考えています。一定のスキルのある人材が、一件一件を精査していかなければなりません。現場スタッフに任せきりにすると、例えば単価300万円にチェックつけているからといって、予約時点で無条件に断ってしまうことになりかねない。もしかすると、他でもらった見積もりを参考に、同じような金額で結婚式が出来るのではと思っているだけかもしれないわけです。そういうことも含め、一定の眼力を持った管理職が予約を精査し、来館確認をする時に見極めていかなければなりません。」

――確認電話は予約をした新婦にすることも多いでしょうが、東京會舘の場合には新郎側の方が予算の決定権を握っている可能性もあります。

星野「来館確認は2 人のうちの一方の話を聞いているだけで、それが正しいのかどうかさえ分からないところもあります。やりすぎてしまうと来館を断ることになり、本当に営業センスが問われるところ。ただ、自分たちなりの答えはキチンと持っておくべきでしょう。」

――新規段階で一定のラインを設けている以上、言い方は悪いですが来館前の段階からそぐうかそぐわないかのジャッジメントも必要だと思います。

星野「その部分をこれまでキチンとやれていなかったと考えるようになったのは、ある意味で組織の進化なのかもしれません。メインターゲット層が満足できるように色々な商品を揃えて、単価も上がってきました。次の段階として獲得方法を考えるようになり、チームとしての課題が見えてきた。成約率ばかりを追っていれば、少人数・低単価でも獲得する意識になってしまいます。この2 年は、コロナ禍によって一般宴会が激減したことで、自ずと婚礼中心でした。土日も含めて現場デスクに座っていると、そうした疑問がどんどん見えるようになった感じですね(笑)。」

星野「そもそも東京會舘は、幅広い人々に社交の殿堂と言える場所を提供するために出来たわけです。それを婚礼事業に当てはめた時、進めていくべきスタイルは大人数での披露宴。そうした顧客のために商品を研ぎ澄ませ、売り方もキチンとしていく。ここをコントロールできていなければ、会社としての責任問題になります。結婚式の仕事は顧客に対して当日までの約束をすることですから、だからこそ新規段階でも約束出来るのかどうかも含めたジャッジメントは必要となります。」

――東京會舘にはVIPのゲストが来る結婚式が多いからこそ、そこは安心して任せて下さいと。自分たちの強みを発揮できる結婚式が何かを定義付けすることは、勝ちパターンとしてごく当たり前の話です。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月1日号)