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《ブライダルAIの波④》二人に合わせた商品提案【NOVIC 代表取締役 金田 昌彦氏】 

《ブライダルAIの波④》二人に合わせた商品提案【NOVIC 代表取締役 金田 昌彦氏】 

3年前から自社の業務にAIを活用し、その事例・効果をベースにブライダル業界向けのAIサービス【WAIC(ウェイク)】の提案をスタートしたプロデュース会社NOVIC(東京都渋谷区)。前回は事前アンケートをAI分析し、新郎新婦毎のタイプを把握した新規接客戦略化のメリットを紹介した。4回目となる今回はそれを打合せ段階でどのように活用しているか。金田昌彦社長は、【物語】として提案する重要性と、そこにAIのメリットがあると語る。

質問にも完全自動返信を
全国800施設と提携しプロデュースを手掛けている同社は、オンラインプランナーを推進していて、負荷分散を目的に、例えば名古屋のプランナーが仙台の新郎新婦と新規接客・打合せすることもある。それこそ担当が施設を知らないといったケースもあり、そこで情報を補完するために、AIを活用している。
AIに施設情報を取り込んでいるほか、特徴や売りなどの細かいトーク内容の部分は、各施設のトッププランナーが作成したドキュメントを読み込ませている。いわば受注率の高いプランナーの話す内容をAIが提示するため、当該施設を知らないスタッフであっても、的確な提案を実現している。
「当社ではサプライズ部分をプランナーが担当する一方、それ以外の対応についてはカスタマーデスクで進めていきます。準備段階にユーザーから入ってくる問合せ、例えばWebの招待状の期限、フルコースのパーティー料理のメニューはいつまでに決めればいいのかといった質問に対してはカスタマーデスクでやり取りをしますが、こうした新郎新婦に聞かれるであろう全ての内容もAIに入れ込んでいます。しかも提携施設別で出てくるため、すぐに回答できるようになっています。メール、チャットで来た問合せに対し、デスクのスタッフがAIに聞くと対応シナリオが出てきて、それをコピペしそのまま返信する仕組みです。」(金田氏)
問合せ対応については、現在デスクのスタッフを介している形だが、一年以内に問合せフォーム内での自動返信を可能とし、全てAIで解決できる機能もアプリとして搭載する予定だ。また、今の段階では新郎新婦毎の個人情報には紐づいていないものの、今後はこれまでのやり取りや進行などを管理する別のシステムとも連携。さらにパートナー企業毎のアプリ開発によって、2 人に合わせた様々な提案を可能としていく。
「装花選び一つとっても、これまでのいくつかの選択肢から選ぶというスタイルから、より2人に合わせていく形が出来ます。新郎新婦個々の情報と連携し、かつ花のパートナーがプロンプトとRAG機能をセッティングしてアプリ化すれば、2 人の傾向に合わせてどんな花を使って、どんなスタイルが良いかといった提案も、アプリで自動に行えるようになりますから。より2 人に合わせた提案によって、単価アップの可能性も出てくるでしょう。」(金田氏)
単価アップという側面では、前回紹介したAIを活用した新規接客の戦略化と同様に、打合せ時の商品提案においても【物語】を語れるようになるのは大きなメリットだ。新規接客の段階で接客戦略の材料になっていたのは、事前アンケートのみ。その後、契約に至った段階で、同社はプロフィールアンケートも記入してもらっている。その項目は事前アンケートに比べてもより細かく、2 人の出会い、出会いの時期、職場といったプライベートに関連した深い情報となる。それもAIに連携しておけば、仮に出会って2 年という2人に対し、『2 年目のお祝いとしてこういう提案をする』といった、よりプライベート感のある回答を出してくれる。それに必要な商品訴求が出来れば、購入チャンスも高まっていく。
「新規と同様に、打合せ時の提案でもWhy・How・Whatで進めていく戦略を明確にしています。Why=なぜそのプランや演出を提案するのか、How=どうやって納得してもらうか、What=金額やプランの説明、という流れ。ダーズンローズの演出一つとっても、『家族や大切な人に感謝を伝えたい』、それならば『感謝を伝えられる“ダーズンローズ”という演出がある』。『予算は10万円程度で実施できる』と、【物語】として示してくれます。Whyの『感謝を伝えたい』ということは、アンケート段階ですでに2 人のタイプ分析として出ているため、それに紐づいた提案であれば納得して選んでくれるようになります。同時にこうした接客トークは、決定率の高いスタッフの事例を読み込ませているため、いわば誰でも合理的かつスキルの高い提案が出来るわけです。」(金田氏)
目の前の新郎新婦は合理的なタイプか、それとも結婚式に強くこだわっているタイプか。それを何となく判断するのではなく、アンケートによってAIが分析し論理的に判断できれば、アンマッチも解消できる。結果として、同社の単価・顧客満足度は高まっている。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月1日号)