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《ブライダルAIの波②》気づきを与える事前アンケート【NOVIC 代表取締役 金田 昌彦氏】

《ブライダルAIの波②》気づきを与える事前アンケート【NOVIC 代表取締役 金田 昌彦氏】

 3年前から自社の業務にAIを活用し、その事例・効果をベースにブライダル業界向けAIサービス【WAIC(ウェイク)】の提案をスタートしたプロデュース会社NOVIC(東京都渋谷区)。前回はサービスの全体概要を紹介したが、2回目となる今回からは現場で具体的にどのように活用できるかを追っていく。その一つが新規接客の質を飛躍的に高める、事前アンケートの作成とそこからの分析。成約率アップをもたらすその仕組みを金田昌彦社長に聞いた。

1・事前アンケートの流れ
「当社の新規接客までの流れは、まずユーザー自身が予約システムを使って、プランナーの空いてる時間を選択。そうすると44項目の事前アンケートが、予約と同時にメールで飛びます。回答に要する時間は、平均10分程度。3日前までと案内していて、仮に回答のない場合は自動的にリマインドし、遅くとも1日前には答えてもらっています。このアンケート結果と、それ以外にゼクシィのアンケート内容も合わせ【WAIC(ウェイク)】に入れると、接客に必要な様々な分析資料が出てきます。」
2・アンケートの構成
「事前アンケートの構成・内容は、それまで使っていたものなどを参考に、AIが作成しました。まずは新郎新婦の名前、生年月日などの基本情報を入力。最初の質問では、新郎新婦それぞれに『結婚式の準備中に不安を感じるとしたらどんなことが気になるか』といった、3つの同じ質問をします。別々に回答してもらうのは、個別のコミュニケーションタイプを診断するため。一般的なソーシャルタイプの4パターンのうち、それぞれどのタイプに属するのかを分析します。」
「続けて、来店きっかけ、結婚式に対してどのようなイメージを持っているかの質問。例えば披露宴のイメージ一つとっても、質問内に【披露宴】、【お披露目会】、【ウエディングパーティー】、【カジュアルパーティー】という言葉を並べ、自分たちの希望をチェックしてもらう形にしています。仮に【お披露目会】にチェックがあれば、その後の接客時にその言葉以外は使わないようにします。【アフターパーティー】、【1.5次会】も同様な形で、微妙な表現の差異をあらかじめ確認し言葉合わせをしておくことで、接客者とユーザーの価値観を合わせています。【パーティー】をイメージしている2人に、【披露宴】という言葉を使って接客をすれば、この人は分かっていないという違和感を持たれますから。また当社の場合、【披露宴】にチェックが付くと決まらないことも多く、この段階から他会場への紹介も想定しておきます。」
「中盤では一般的な希望時期や曜日、お日柄など。希望する自己負担額の質問も入れています。予算感が分からなければどのプランを提案すべきか決められませんし、そこで初めてシビアにお金のことを考えてもらうという狙いもあります。続いて、2人が結婚式を実施しようと思った目的や優先順位を、質問のバリエーションを変えながら引き出しています。」
「『2人の大切にしたいポイント』の質問(下記参照)について、狙いとして当社のスタイルを理解し期待を持ってもらう形になっています。例えば【形式にこだわらない】という内容を入れていますが、形式にこだわる人は当社のカジュアルウエディングには合いませんから、そこで形式にこだわらなくてもいいという気づきを与えていく。それ以外にも、【持込みの自由度】、【なるべくシンプルに済ませたい】、【最新でスマートな準備】と、全ての内容は当社の強みでその中から選んでもらいます。カジュアルウエディングの当社の強みを前面に出し、『そうした結婚式もあり』と気づいてもらうために。この部分は会場ごとで強みは異なりますから、それも含めた形でAIに作成してもらうことが出来ます。」
3・アンケートの効果
「最初に新郎新婦それぞれに回答してもらう項目を設けていることで、2人が相談しながら進めていくシチュエーションになります。つまりアンケートに回答していくと、どうしたいかというイメージが自然とすり合わさっていきます。さらに当社の強みを必然的にチェックする質問によって、『自分たちのこだわりに合っている』と実感してもらい、新規接客時のサービス説明で当社の強みと2人のこだわりが結び付けられます。当社はオンライン接客が主で、しかも90分という時間を設けています。つまり90分後には、申し込みの意思を持っている状態にしたい。だからこそ2人の思いはもちろんのこと、何を一番優先しているのか、予算なのか、会場設備なのか、立地なのかもしっかりと事前に把握しなければなりません。『持ち帰って後で相談します』とならないよう、2人にも接客前段階である程度固めておいてもらうためのアンケートだといえます。特にクロージングの場面では、『なぜこのプランを提案するのか』、『なぜこの会場をおすすめするのか』を明確にストーリー化できますし、接客者としても提案しやすく2人も納得しやすくなります。アンケート導入で共感しつつ提案できる情報が整ったことで、接客者に当日まで担当してほしいと指名されることも増えました。」(次号に続く)
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月1日号)