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[新春 Special Interview]素材へのこだわりで新郎新婦と仲間になる【エスクリ 代表取締役社長 渋谷守浩氏】

[新春 Special Interview]素材へのこだわりで新郎新婦と仲間になる【エスクリ 代表取締役社長 渋谷守浩氏】

 建築会社渋谷とのシナジーを存分に発揮し、会場の個性を強めているエスクリ(東京都港区)。どこにもない貴重な古材を使った改装や、ワインの輸入、さらに台湾への進出など、渋谷の蓄積したノウハウで新たな展開が開けている。代表取締役社長の渋谷守浩氏は、顧客目線で可能性を探り、そこで行き着いた素材へのこだわりを追求している。

――渋谷のマテリアルへの注目が高まっています。今年は大阪に、マテリアル専門店も出店するそうですが。
渋谷「2 月中旬に、100坪の店を出店します。渋谷は、世界一古材をストックしている会社であり、バンコク、チェンマイ、ミャンマーなどから輸入しています。奈良に倉庫を保有していますが、今後は古材の販売も進めていきます。昨今は、価値のないものに価値を見出す時代。例えばチーク材のカウンターは何百年、何千年の樹齢の木材を、何十年も乾燥させないと使えません。長い年月をかけて、やっとそこにあるものであり、歴史が長い渋谷ならではのどこにも真似のできない素材です。もともと好きで集めていたのですが、価値が高く、世間の期待度が大きいことから、今後は販売を積極的に進めていきます。」
――どこにもない素材を、自社会場のリニューアルにも活用しています。
渋谷「改装にあたり、グリーンと古材を活用しています。そもそも素材自体が古いものであり、太陽に長く触れているものも多い。せっかく結婚式の商売をしているのだから、パワーのある古材を使ったパワースポットのような空間で顧客を迎えることが出来れば。そういう空間を作るには、やはり無垢材を使うべきなのです。これは他社では真似のできない部分です。古材は縁起を担ぐだけでなく、手をかざすと暖かい温もりも感じられます。本物の古材を使用することで、ビジュアル的にも映えます。神戸、大分など改装した会場は、写真映えもよくSNSでも拡散されるなど集客も高まります。1000年前のどこにもない貴重なチーク材を使っていますと、新規の際のセールストークにも使えますから。」
――これまでのエスクリの店舗は、ビルイン中心であったため、どこか“無機質で冷たい”印象でした。それが古材の活用によって、大きく変化しています。
渋谷「ビルの中で、天井が高くてシャンデリアがある。これまではそうしたスタイルが人気でしたが、今はそれでは戦えません。ビルインであっても、扉を開ければ驚いてもらう。駅の上なのにこんな空間があるのかと。ビルに入った時のイメージ通りではなく、デザインでサプライズを提供しています。」
――古材を使用することで、古くなればなるほど味が出て、その分頻繁なリニューアルの必要がなくなるのではないでしょうか。
渋谷「確かにヴィンテージ感は出てきます。顧客が見返した時に、暖かさを思い出すことも出来ますから。その点では頻繁なリニューアルも不要ですが、一方で頻繁に出来るという側面もあります。別の古材を使用すれば、イメージがさらに変わりリニューアルしたということに気付いてもらえるからです。長持ちさせられる代わりに、即時のリニューアルもしやすい。リニューアル効果が再度発揮されるということからも、マテリアルを持っていることが何よりも武器となります。」
――マテリアル以外にも、料理、サービス、プランニングなど、今後は素材が重要になってくるとの考えのようですが。特にワイン、食材に関しては、素材重視の方向性を打ち出しています。
渋谷「ワインについては渋谷で輸入しており高い原価のしっかりとしたものを出しています。ワインが好きな人に、これは美味しいと評価を受けるまでになりました。私自身が顧客目線でワインを選んでいますから。食材についても、私が港まで行き、魚屋とも交渉するなど前面に出ています。それまではキッチンに任せきりでしたが、プロであるがゆえに分かっていないことも多い。仕入れ先も同じ所ばかりになる傾向がありました。沖縄から仙台まで40ヶ所で店舗展開していれば、その場所その場所に美味しいものがあります。私自身が食道楽(笑)なので、仕入れ先もとにかく探して、まずは買ってみるように、指示を出しています。」
――食材にこだわれば、その分原価率も上がっていきます。
渋谷「これまで一ミリ単位まで仕入れに関して交渉出来ていたかどうかがポイントです。契約は私がしていますが、しっかりと交渉すれば物が良くなってかつ安くなっています。そのために、もともとの食材の質を自分で確かめることが必要であり、随時各店で抜き打ちの試食をしています。私はあくまでも顧客目線。そのために、これまで自分に投資していいものを食べてきましたから(笑)。作る側が顧客目線を分かっていない可能性も往々にしてあります。ゲストが満足する基準はやはり料理。5 万円のご祝儀でよかったと思ってもらえるかどうか。結婚式が終わった後に、3 万円にしておけば良かった、もっと出せば良かったとどちらの思いを持つか。だからこそ素材が重要なわけです。内装のマテリアル、料理、ワイン、サービスに関して、そういう議論に持っていく、式場と新郎新婦がゲストを満足させるために語り合える仲間になります。だからこそ、プランナーが素材に関する説明を重視し、仲間になる営業をするべきなのです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、1月1・11日新春特大号)