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連載8《今こそ基本に立ち返る 地方施設のプッシュ型集客》エリアマーケティングの多角的な視点【ティール 代表取締役 工藤 慎也氏】

連載8《今こそ基本に立ち返る 地方施設のプッシュ型集客》エリアマーケティングの多角的な視点【ティール 代表取締役 工藤 慎也氏】

ブライダル業界におけるエリアマーケティングは、単なる「地元密着」ではなく、地場の特性・文化・交通・人口動態といった多角的な視点から組み立てる戦略です。これらを丁寧に分析し、商圏に合った施策を講じることで、競合と差別化しながら効率的な集客が可能となります。

①「地域の産業構造とシーズン性」=例えば農業が主要産業となっている地域では、農繁期と農閑期によって婚礼需要や集客のタイミングは変わります。一方、観光業が中心の場合、観光需要回復に合わせて反比例するように婚礼は後回しになり地場の集客は停滞。このように地場産業のサイクルや社会情勢の影響を踏まえて、広告投資のタイミングを見極めることは集客効率を左右します。地域住民が駆り出される祭りや選挙、地元が注目する高校野球などのイベントも影響します。

②「交通インフラと立地」=駅や幹線道路、高速道路のICに近いかどうか。ブライダル情報誌でも、「駅徒歩○分」は主要な検索キーワードの一つとなっています。自社サイトにGoogleMAPのみ掲載している店舗もありますが、主要エリア×交通からのアクセスをデザイン化した広域MAPで掲載すると集客に繋がりやすくなります。

また、立地は店舗ブランドにダイレクトに影響を与えます。屋号名に公園、森、高原、海などの自然を想起させるキーワードを入れリゾート感や非日常感を演出。リゾートでも軽井沢は「大人×上質」、那須高原は「ファミリー×アクティブ」と、エリア毎にすでに形成されているイメージ(=地名ブランド)を活かすかどうかで、コンセプトや打ち出し方も変わってきます。

③「来店者の居住地分析と商圏設定」=実際の来店者がどこから来ているかの把握は極めて重要であり、表面的な立地エリア=商圏と考えるのは危険です。例えば、来店者の居住地を分析すると、自社エリアではなく「近隣の○○市から車で来店している人が多い」と分かる場合もあります。この場合、広告投下エリアは「自社エリア」だけでなく、近隣市にも展開すべきだという判断が可能です。

④「まだ開拓されていない地域へのアプローチ」=交通インフラや来店者の居住地分析を通じ、白地の可能性が見えてきます。幹線道路やICの場所を整理すると、思わぬエリアに「未開拓のポテンシャル」を発見でき、そこを起点に広域MAP付き折込チラシ投下、該当エリアのみを狙ったWEB・ SNS広告を展開することで、新たな集客に成功した事例もあります。掲載する広域MAPには、具体的なアクセス時間を記載して、「行けるかも」「ちょっと見に行ってみようか」というアクションに繋げることができます。

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)