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キーマンに聞く

連載5:《会場の業績アップ事例》選ばれる理由を言語化するニッチャー戦略【ニューバリューフロンティア 執行役員 森房 知史氏】
独自のポジションを確立した会場が、どう「選ばれる理由」を打ち出し、広告や集客活動に落とし込んでいくかの戦略とは。
■ “強み”を“ベネフィット”へ
「1日1組貸切」や「料理が美味しい」といった要素は、多くの会場で掲げる“強み”ですが、今の時代それだけでは比較されて終わってしまいます。大切なのは、それを新郎新婦にとっての“ベネフィット”として届けることです。
「1日1組貸切」 → “常にふたりらしくいられる贅沢な時間”、「料理のこだわり」 → “ゲストの「美味しかった」が一生残る記憶になる”のように、体験や価値として語ることで、初めて強みは「選ばれる理由」に進化します。
■「 伝え方」が勝負を分ける
ベネフィットの言語化は、広告設計にも大きな影響を与えます。Instagram広告では、写真1枚と短いコピーがすべて。「1日1組」ではなく「この日、この場所、この瞬間だけのふたりの世界」と伝えた方が、はるかに感情に届きやすいです。Google広告では「地域名×想い」で検索されるキーワードを意識し、「○○エリア×家族婚」や「オーダーメイド婚」など、ニッチなニーズを拾いにいく戦略が有効です。ポータルサイトもスペック比較で終わらず、「この料理だからこそゲストに食べてほしい理由」を伝え差別化に繋げます。
■ リーダー会場と比べられたときの、もう一つの戦い方
“リーダー会場”と比べられることは避けられません。広告出稿量や知名度では敵わないからこそ、ニッチャーがやるべきは比較されない理由づくり。その第一歩が、「なぜ自社会場に来てくれたのか」を正しく把握することです。その“来館理由”を言語化し、広告に取り入れることで、「それ、私のことだ」と思ってもらえる新郎新婦を引き寄せることができます。
■ 唯一無二の商品を創る──広告が“勝てる言葉”になる
広告で“価格”ではなく“想い”を語れる状態にするには、唯一無二の打ち出しを設計することが前提です。シェフが世界大会で優勝した経歴、地元密着型ホスピタリティ、チーム全員で世界観を形にするフルパッケージのコーディネートなど。これを言語化し、キャッチコピーやビジュアルに落とし込むことで、比較不可能な“理由のある選ばれ方”が実現します。私たちの支援している会場では、来館後の接客にも「広告で感じた想い」がきちんと再現されるよう、接客台本や写真・動画素材、スクリプトまで一貫して整えています。
≪今回のワンポイント≫『広告も接客も、“ベネフィットを届ける体験設計”。伝わる言葉は唯一無二の商品でニッチャーは勝てる。』
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月21日号)

