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連載5≪ヒト売り時代のセールス講座≫スタイリストの仕事をリスペクトする意義とは【VIVACE st 代表 衣川 雅代氏】
ドレスにそれほど関心ない、知識も不足しているというプランナーは意外に多く、そこは大きな課題だと感じています。綺麗、可愛い程度の感覚で、メーカー・ブランド名は知っていても本質的な知識を身につけている人は非常に少ないと言えます。
「可愛い」、「たくさんあります」程度の表現では、新婦には響きません。また「提携ショップに行けば運命の一着が見つかります」と丸投げして任せきりにするのではなく、顧客の信頼を得るためにも、最低限の知識を得ておくべきです。提携、
あるいは内製化している衣裳ショップにどんなドレスがあるのか、その特徴を表現する力を養っていきます。そのためにも会社として、新人時代にドレスショップへの見学や体験を取り入れるべきでしょう。さらにただ見学するだけでなく、週末と平日それぞれに訪問し、どのような仕事をしているかを体感することも重要です。
週末は主にフィッティングなど接客が中心な一方、平日はメンテナンスや在庫管理、補修などが行われています。クリーニングから戻ってきたものを新品に近い状態に戻すプロセスを見れば、衣裳スタッフの努力に気づき、その努力を理解することで、プランナーとしての言葉にも重みが加わります。
そこで大切になるのは、スタイリストへのリスペクト。寸法を測る技術や補正力、さらにセンスも必要な仕事であり、それに加えてコミュニケーション力、提案力も求められます。こうしたスキルを備えたスタイリストの専門性を尊重することが、ひいては顧客への提案力にもつながります。
ドレスのみならず、メンズフォーマルの知識、リンクコーデや小物の合わせ方などスタイリストから学べることは多いです。スーツに慣れていない新郎に対し、プランナーが「シルエットや袖丈など、一つひとつ確認しながら丁寧に接客しているのでご安心ください」と伝えるだけで、期待値は上がり持ち込みも減る可能性は出てきます。
もう一つ大切なこととして、自社会場に合うドレスを知っておき、それを言語化できるかどうか。たとえば、ライトアップの綺麗な会場ではキラキラしたドレスが映えます。その“キラキラ”は、何を指しているのかを説明していかなくてはなりません。生地に織り込まれたラメなのか、それともビジューなのか。そういった素材や装飾の要素を明確に名詞化し、言葉として伝えることで、ドレスという高単価の商品にふさわしい提案もできるようになります。今の新婦は、SNSなどを通じてドレスに関して豊富な情報を得ています。プロとしてそれ以上の知識は当然のことであり、それで信頼構築になれば売上向上に繋がっていきます。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1・11日合併号)

