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キーマンに聞く

連載4(前編)《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》CRMがプランナーをサポート(ゲスト:鳥善 代表取締役社長 伊達善隆氏)

連載4(前編)《T&G岩瀬賢治社長のブライダル経営者サロン》CRMがプランナーをサポート(ゲスト:鳥善 代表取締役社長 伊達善隆氏)

 優秀な人材が集まってくるような、魅力的な業界であるかどうか。そのためには給与条件も一つの指標で、水準を高めていくためにはこれまで以上に生産性向上が求められる。T&G岩瀬賢治社長の連載企画「ブライダル経営者サロン」の第4回は、鳥善(静岡県浜松市)の伊達善隆社長がゲスト。テーマは、生産性向上を成し遂げるための効率化。前編となる今号は、両社の採用や評価制度。T&Gの生産性向上に力を発揮するCRMの位置付けなどを語りあった。

サービス業全体の遅れ

――今回のテーマは、業務効率化などを含めた生産性の向上です。鳥善の従業員数は。

伊達「当社は静岡・浜松で創業から152年目になります。私は6代目で、もともと別のブライダル企業で働いていましたが7年前に地元・浜松に戻り、昨年の11月に社長に就任しました。今いるスタッフのうち、ほとんどは私が入った後に採用したメンバーです。現在は社員約50名。非正規雇用が30名。150年を超える企業でありながらも、平均年齢は30歳前後と若い力で会社を運営しています。私自身も35歳ですし。」

岩瀬「若いですね。35歳ということは、私がT&Gに入社した年齢と一緒です。」

伊達「一時期、経営コンサルタントの会社にもいましたが、鳥善は家業でもあったため、ブライダルへの興味も昔から強かったですね。実はT&Gの横浜の店舗で、インターンで働いた経験もあります(笑)。」

岩瀬「当社の社員は現在約1600名。平均年齢は31歳前後です。以前の平均は27歳と今よりも若かったのですが、10年以上勤務しているベテラン勢が300名近く在籍しているため、平均も若干上がっています。」

 

――鳥善では、システム活用による生産性向上に取り組んでいます。152年の歴史ある企業の場合、“古き良き~”にとらわれてしまいがちになる可能性も高い中で、若きリーダーとしてどのような考えで進めていますか。

伊達「ブライダルのようなおもてなしの世界・業界に、果たして優秀な若い人材が集まるほどの魅力があるのかと常々考えていました。そのためにも、生産性を上げていくことで給料にしっかりと跳ね返ってくるような仕組みづくりがカギになってくるのではと。もちろんお金が全てではないですし、結婚式が大好きだから働きたいということも大切ですが、一方でブライダル業界がいつまでも魅力的な業界であるためには、やはり給料面でもしっかりと対応していくべきです。こうした部分で、日本のサービス業全体が遅れているとの考えを持っていたわけです。岩瀬社長は、どのように考えていますか?」

岩瀬「今年はコロナの影響もあり社員総会を開催できなかったのですが、昨年の総会でスタッフに伝えたポイントは二つ。一つは、結婚式の付加価値を高めていくこと。もう一つが、生産性を上げることです。1人あたりの営業利益を、2021年度には1.4倍にしていこうと発表しました。コロナの影響で難しくなってしまいましたが、生産性向上が必要だという想いは今でも強いです。その点、システム化なども含めて、“やらなくてもいい仕事”をしっかり見極めることを重視しています。」

伊達「自動車産業など他業種と比べ、ブライダルはメガ企業が少ない。いわば“小さい会社”がブライダルを作っている現状の中で、生産性を考えると非効率な部分も出てくるはずです。マーケットが求めているものと生産性を上げることのバランスをとることも、非常に難しい部分であります。ただ、各社がそれをしっかり考えていかないと、いい人材がブライダル業界を目指してくれるようにはならないと感じています。」

 

求人応募人数は年々増加

岩瀬「伊達社長のお膝元でもある当社の浜松店舗は、ウエディングプランナーが6~7人で、キッチンのスタッフが5名ほど。サービスが常備3 人のほか、フラワーコーディネーターも社員で3人在籍しています。よくよく考えると、各店舗は極めて小さいコミュニティ。だからこそバックオフィス側が、生産性などを含め、各店舗をどうサポートしていくかが重要だと考えます。採用に関しても、コロナがなければプランナーは60~70人採用。キッチンも含めると200名近い新卒採用となります。どういう人たちを何%採用し、どのようなフィルターにするかは、これまでも細かく進めてきました。最前線で結婚式を創っていく人は、パーソナリティや人への興味・関心、共感性を持てるかなどが重要です。一方で、一般的に求められるロジカルシンキングができる人は、どちらかと言えば最前線で働くよりもバックオフィスに適している。T&Gが大事にしていることをしっかりと伝えつつ、現場、バックオフィスそれぞれで優秀な人材を採用しているようなイメージです。」

伊達「現場が好きで力を発揮する人、それを後ろからサポートするのが得意な人が、それぞれ活躍できる仕組みと、それに応じた採用ですね。当社の応募人数は60名程度で、ここ数年希望者も増えてきました。」

岩瀬「浜松という限られたエリアで、それだけの若い力が集まるのはすごいと思います。」

 

伊達「5年前は、10人程度の応募でその半数を採っていたわけですが、学校へのアプローチなどもしっかりと対策していき、優秀な人材確保につながる母数の増加に努めてきました。今年はコロナの影響で採用をストップする大手企業もあるでしょうから、我々中小にとってはチャンスとも言えます。ただ、中小である以上、初めから当社を知ってくれていたというケースはどうしても少ない。Web説明会を定期的に開催するなど、認知度を上げていく取り組みも進めています。最近では業務効率化によって働き方も変化してきたからこそ、エリアをまたいで応募してくれる人材も増えています。1回でも説明の機会があれば、求職者の興味関心を引き出せます。今年度は、6名の採用がすでに決定しています。」

岩瀬「来年春の採用については、コロナの影響もありますが、プランナーなどの営業に関して現状46名を採用予定です。キッチンやフラワー、衣裳といった全部署を含めると、合計で72名になります。コロナの影響により来年度は採用しないという決断をした企業も数多くありますが、やはり一定数は採用していくべきだと。1年でも新卒がいないと、10年後にそこが大きな“穴”になる可能性もありますから。」

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、11月1日号)