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連載4〔今こそ!!ホテルウエディング〕ペイドメディアではゲストハウスとは戦えない【ADLIVE マーケティング部部長 中野絢氏】

連載4〔今こそ!!ホテルウエディング〕ペイドメディアではゲストハウスとは戦えない【ADLIVE マーケティング部部長 中野絢氏】

今回のテーマは、広告予算とそれに合わせた集客戦略です。ホテルWは、ゲストハウスと比べても広告予算が限られています。ハウスの3 分の1程度の広告費の中で、同じようにペイドメディアに出し続けていくことが最適なのか。

例えば100万円の広告を出すとして、ホテルはそれで精いっぱいとなります。ところがゲストハウスはその3 倍をかけられることで、ネットのオプションを付けるなどして差をつけてきます。つまりペイドメディアに出しておけばいいという意識では、到底戦えないのが現実です。

限られた広告予算で戦うためには、自分たちの持っているオウンドメディアを磨きつつ、さらには地上戦に変えていくことが必要です。HPを工夫していくことはもちろんのこと、せっかく様々な用途で来館してくれている多くのユーザーを、いかにブライダルに繋いでいくか。

ある地方都市の老舗ホテルのケースでは、昨年ゼクシィの掲載自体を止めましたが、集客数は減少したものの、成約数自体は変わっていません。その一つの要因として、レストランや宿泊、宴会で来た人にも、徹底的にブライダルを告知していくという地上戦の効果があります。

それ以前は、ホテルに来館する人に対しての案内ツールもない状態。そこでホテルのブランディングを強調したチラシを作成し、様々な機会で利用する人たちに配布を強化していきました。またブライダルサロン前のショールームにも手を入れて、飾ってあるドレスが常に変わらず古いものだったのを、定期的に新しいものに変えていく。花もフレッシュなもので飾り付けるようにしました。

もう一つは、近隣の神社や企業など、地元との提携も意識的に増やしています。こうした施策により、地元に根差したホテルという評価も高まり、結果として来館に繋がっています。ゼクシィからの集客分は減少したものの、ホテルのブランドを理解した上で来館してくれるカップルの割合が増えたことによって、成約率は上昇、結果成約数は変わらない状態です。

同じようにクリエイティブ面でも、意識改革は必要です。ホテルWの担当者と話をしていて感じるのが、コロナの3 年間で時が止まってしまっているということ。クリエイティブ面に関しても、コロナ前からアップデートされていないように感じることがあります。

ゲストハウスや式場と同質化させるクリエイティブが目立ちますが、それでは成約率は必ずといっていいほど低いです。自社の持つ信念や、地域に根ざしてきたこれまでの歴史など、ホテルとしての一気通貫したブランディングが何よりも重要です。

それは広告表現のみならず、ホテルの入口にある装花で訪れる人をワクワクさせる、館内に流れる音楽や良い香りなどで、「ここは素敵だ」と思ってもらえる体験を通して、生涯顧客を獲得していく。こうした体験や意識がブライダルをより引き立て、価値あるホテルWに変えていきます。

詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月11日号)