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キーマンに聞く

連載4≪ヒト売り時代のセールス講座≫一般の感覚と異なる花の相場を納得させる価値【VIVACE st 代表 衣川 雅代氏】
今回のテーマは、フラワーの価値をどうやって伝えていくかです。よく研修の際に話しているのはブーケのことで、結婚式の相場は3万円程度。私達業界人はその値段に慣れてしまっていますが、一般の街の花屋で3万円分の花束をオーダーするとものすごいボリュームになり、つまり一般の感覚と婚礼相場感覚は大きく異なっています。だからこそ、新規や打合せ時に、3万円の価値を上げるトークでしっかり補完しなければなりません。
そのためには、何が高価にさせているのかをプランナーはしっかり学ぶ必要があります。特に大切なのは花の開花調整で、ブライダルの場合は平日に市場でほぼ蕾の状態で仕入れ、冷蔵庫の温度調整をしながら当日の挙式前に最高の状態にしています。ブーケも披露宴会場の装花も同じで、そこには技術と人の手がかかっています。
また冷たい温度を好む花を傷めないよう、いかに手早くカットしてテーピングを施し、アレンジメントに仕上げていくか。そうした作業を、スタジオや花屋に行って直に見せてもらうことは大事です。花屋に聞くと、花材を傷めないようアレンジメント1個あたりの目安時間を決めているなど、新たな気づきも生まれます。こうしたタイムマネジメントは、職人技を要するところで、それを理解していると「なぜ3万円なのか」という価値を、プランナーが新郎新婦にきちんと伝えられるようになります。
また、花のトレンドはめまぐるしく変わります。今はブーケの形や色も様々であるからこそ、プランナーもある程度花の種類を知っておくことはとても大切。「白を基調とした素敵な雰囲気」というフワッとした共感だけでなく、花材についてある程度語れるレベルでないと、納得感もなかなか得られません。例えば、花言葉ひとつを伝えるだけでも、顧客が嬉しくなる瞬間は出てきますから。
顧客からの花に関する相談として、見積もりが膨らんでくると装花を削ろうとします。例えば、卓上花のボリュームを6000円から4000円に減らす、待合室などに飾る予定だった花をカットする。フォトスポット用の花も削られてしまうことはよくあります。これはフローリストの営業努力の問題だけではなく、プランナーがどれだけ花の必要性や価値を伝えているかにかかってきます。
だからこそ新規、打合せ担当であっても、施行当日には必ずバンケットを見て、アレンジメントの傾向を確認し知らない花材があったら写真を撮って花屋に確認するなどして知識を増やしていきます。料理を語るときと同様で、しっかり意味的価値を伝えられれば、花の単価アップにも繋がります。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、7月1日号)