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連載29〔最新ブライダルマーケティング術〕SEOとMEOを地盤として整える【アンドディファレンス 代表取締役社長/CEO 秋山弘毅氏】

連載29〔最新ブライダルマーケティング術〕SEOとMEOを地盤として整える【アンドディファレンス 代表取締役社長/CEO 秋山弘毅氏】

前回、前々回とSEO・MEOの内容を伝えてきました。検索環境において「地域名+結婚式場」で検索すると、広告→MEO→SEOという順で表示されるのが一般的となり、ユーザーは検討初期からこの三要素を同時に目にしています。つまり、広告だけでなくMEOとSEOを基盤として整えることが、集客において不可欠な時代になっているのです。
SEOはホームページやメディアを通じて「比較検討層」に深い情報を届け、MEOはGoogleマップ上で「まだ施設名を知らない層」との第一接点を作ります。例えば当社が支援した式場では、Googleビジネスプロフィールのカテゴリ設定や口コミ対応、情報発信、施設写真の更新といった基本施策を徹底した結果、わずか2ヵ月で地図上の表示回数は約2 倍に増加し、電話・ルート検索・Webアクセスといったユーザー行動も80%以上伸長。最終的にフェア予約や資料請求といった成果に直結しました。
この事例が示すのは、SEOとMEOを両輪として最適化する重要性です。SEOによる「情報の深掘り」とMEOによる「第一接点の形成」が揃って初めて、ユーザーは実際の行動へと移行します。片方だけでは十分ではなく、両方を積み重ねることで“選ばれる理由”が形成されるのです。
そして、この基盤が整った先にこそ、サジェスト広告やリスティング広告といった施策が効果を発揮します。サジェスト広告とは、ユーザーが検索窓にキーワードを入力した際に自動表示される関連候補(サジェスト欄)に露出できる仕組みで、検索行動を起こす直前に自然に接点を持てるのが特徴です。比較対象を考えている段階で目に入るため、自社を“選択肢の一つ”として認識させやすく、検索意欲に寄り添ったアプローチが可能になります。
ただし、広告で関心を喚起しても、受け皿となるSEOやMEOが不十分であれば成果は限定的です。逆に基盤を整えておけば、サジェスト広告は検討層を効率よく引き込み、リスティングやリマーケティングと連動し強力な刈り取り施策に変わります。
特にブライダル業界は検討期間が長く、複数会場を比較する傾向が強いため、検索結果全体を俯瞰した設計が不可欠です。SEOとMEOを“地盤”として整え、その上に広告を“橋”として架けることで、初めて安定的で持続可能な集客モデルが完成します。三位一体で強化する業界のムーブメントが必ず訪れます。中でもMEOとSEOは短期的な変動に左右されにくい資産であり、広告成果を最大化する前提条件です。まずはSEOとMEOで確かな基盤を築き、その上にサジェスト広告などを重ねることがこれからの式場集客のスタンダードになるでしょう。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、9月11日号)