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連載20《3分で分かる!ブライダルのDX成功事例》システム導入だけではなく伴走的な支援が重要 結婚式の新しいビジネスモデルを創出していく【TAIAN 取締役 COO 米倉元気氏】
顧客データは“資産”
All in One婚礼システム『Oiwaii(オイワイー)』のほか、Web招待状・席次表『Concept Marry(コンセプトマリー)』を展開する当社。平たく言うと、“ブライダルのシステム会社”ではありますが、単に婚礼システムを提供するだけでは、「他社との差別化はなかなか難しい」と思うこともあります。重要なのは、システム導入後どのようにしてお客様に伴走し、新しいビジネスモデルを一緒に考えていけるかということだと、改めて実感しています。
婚礼業界においてシステムを導入する背景として、『業務量を減らしたい』というのがまず大前提としてあるかと思います。そしてもう1 つ皆さんがイメージする中で、『残業代などコストカットができる』ということも想定されるかと思います。ですが、実際はどうでしょうか。企業の中にはみなし残業という給与形態をとっているところもありますし、仮にシステムの力で業務を半分に減らせたとしても、その50%の業務分に匹敵する新しい作業を追加で任され、業務時間には大きな変化がないというケースもあるのではと感じます。つまり重要なのは、その削減された時間を使って、空いた時間に何をするか、次の一手をどう打つかではないでしょうか。
実際に当社では顧客データを“資産”と捉え、生涯顧客化に繋げる重要性を伝えていくことに注力しています。そもそもブライダルのビジネスモデルはストック型ではないからこそ、「生涯顧客化にいざ着手しよう」となっても、具体的なアクションを実際に考えていくことは、そう容易なことではありません。
そこで当社は、Oiwaii導入企業の皆様に対して生涯顧客化に関するワークショップを開催しています。現場で活躍するプランナー、支配人などを対象に、どのように長期的な関係性を築いていくのか、具体的なポイントを解説しています。例えば全顧客と繋がっていくことはそもそも至難の業ですから、どういった顧客層がターゲットか、自社のアセットは何か、それを掛け合わせたときにどんな企画が必要で、どのタイミングで訴求していくかなど。実際に参加したスタッフからは前向きな姿勢も見られましたし、「こうした機会がないと、実際に一歩目を踏み出しにくかった」という嬉しい声も聞かれています。
実際の例として昨年、あるホテルにて式後の夫婦、家族を招くクリスマスイベントの、告知から集客、その後のアンケート回収などをサポートしました。案内時点では80%を超えるメールの開封率なども記録し、来場ゲストはもちろん、施設にとっても高い満足度に繋がりました。
ホテルはもちろん、ゲストハウスにとっても、データを“資産”として活用していくことは、非常に関心が高いように感じます。マーケット的にも、「ここはやはり伸びしろ」と感じる企業も多いはずです。
顧客データを活かすのは、式後のカップルはもちろん列席者も同様のこと。媒体の出稿金額が上がっている現状ですし、少人数ウエディングも増加していますから、顧客獲得コストを下げ利益率を上げることは喫緊の課題です。Web招待状で得たゲスト情報を活用するなどは未来の顧客を獲得していくうえで重要施策な一方で、二の次になりがちというのも残念ながら事実。式場側の人的なリソースの課題などもあるでしょうから、そうしたサポートは私たちで支援できればと強く感じます。当社に限らずシステム導入を検討するにあたって、業務効率化を実現した後にその会社とどんな取り組みができるのか。今一度考えてみることをオススメします。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)