LISTEN to KEYMAN

キーマンに聞く

連載19《3分で分かる!ブライダルのDX成功事例》イベント案内のメール開封率は80%を超える 式場に帰れる機会を設けてロイヤリティを向上【TAIAN 取締役 COO 米倉元気氏】

連載19《3分で分かる!ブライダルのDX成功事例》イベント案内のメール開封率は80%を超える 式場に帰れる機会を設けてロイヤリティを向上【TAIAN 取締役 COO 米倉元気氏】

アンケートも半数が回答

式場やホテルの皆さんと会話をする中で、改めて昨今感じている当社への期待は、データを活用した生涯顧客化にあると感じています。結婚式という1 つの“点”ではなく、前後のタッチポイントをいかに作っていくか。今号の連載では、昨年当社でサポートしたクリスマスイベントの事例を基に、生涯顧客化の秘める可能性と価値を改めて考えてみたいと思います。サポートしたのは関東・関西で展開する3 つのホテルでしたが、今回はその中から、都内に位置するシティホテルの成功事例をお伝えします。

もともとこのホテルは当社のAll inOne婚礼システム『Oiwaii(オイワイー)』を利用していませんでしたので、別の利用中システムで管理していた顧客データを一旦預かり、当社システムを通じてクリスマスイベントの案内メールを一斉送信しました。驚くべきはその開封率。直近3 年で式を挙げた約1700人にメールを送ったところ、1 回目の開封率は80%超え。2 回目も70%を超える結果になりました。一般的にメルマガの開封率はおおよそ10〜15%程度だと言われているなかで、その数値を大きく上回りました。最終的には、子どもを含む250人近い既存顧客がイベントに参加しました。

イベント1 週間後にアンケート依頼のメールも送りましたが、その回答率も約50%。フリーコメントの回答欄には、「イベントに参加して、改めてここで結婚式を挙げてよかったと思えた」、「次回開催の際も、また参加したい」といったポジティブな声も多く上がりました。こうした意見は、働くスタッフにとってもモチベーションアップに繋がってきます。

イベント1 週間後のアンケートでもこれだけ多くの回答が集まった背景の1 つとしては、大前提として結婚式当日のクオリティが素晴らしく、高い満足度をきちんと獲得できていたことがあげられます。また、こうした式後のイベントに参加するような来場者は、おそらく高い確率でロイヤル顧客になってくれるはずです。イベント参加だけでなく、特にホテルであればレストラン、宿泊利用に繋がる可能性も見えてきます。

今回の事例で改めて感じるのは、式を挙げた会場に「帰りたい」というカップルの意欲は、とても高いということ。こうした既存顧客を招くサンクスパーティーのようなイベントをやっている施設も一定あるかと思いますが、よく耳にする課題としては、直近数年を除いて過去の顧客をデータ化、管理できていないという点。また、そうした場合はハガキで案内を送るケースも多く、結果としてプランナーの業務負荷という課題も出てきます。人手不足の背景もありますし、仮に繁忙期と案内のタイミングが重なるようであれば、業務としてなかなか手が回らないことも予想できます。人材不足の課題は一朝一夕で解決できませんから、顧客データを活用したイベントの集客支援などは、引き続き当社としても展開していければと思っています。

今回の事例のように、会場に帰って来られる機会、いわば生涯顧客化に繋がる施策は、中長期的な満足度をより高めていけると感じます。また、「当施設はこうしたイベントも実施していますよ」と、新規の会場見学の際カップルにしっかり伝えることができれば、成約の後押しに繋がる可能性も見えてきます。1 日のイベントとして結婚式を400万円で買うというのではなく、その後の関係性も含めての金額ということをカップルにしっかり伝えられれば、新規接客もより胸にささる提案になるのではないでしょうか。

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、3月11日号)