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連載19《当日施行力を向上させる》基準となるサービスポリシーを策定する必要【at-heart 代表取締役 稲岡利彦氏】

連載19《当日施行力を向上させる》基準となるサービスポリシーを策定する必要【at-heart 代表取締役 稲岡利彦氏】

結婚式におけるサービスの品質について考えてみると、「一期一会」の意識が大きく影響しています。一般宴会やレストラン営業のように、リピーターの獲得が必要となれば、サービスの質を高めようという意識になります。結婚式の場合、リピーターになるという認識が現場スタッフはもちろん管理職にも薄いため、その分サービスの質を高めていくという発想も持ちにくいと言えます。

さらに現場スタッフは、ゲストへのもてなしを軽く考えてしまいがちです。高額な料金を支払っている新郎新婦は顧客として認識していても、ゲストに対しては新郎新婦に付いてきた程度の人たちという考えがどこかにあります。レストランでは仮に数1000円の料金であっても、大切な顧客であると丁寧に扱う姿勢を持つのに対し、結婚式ではゲストへの配慮が欠けてしまう要因になっています。

また、レストランでは目の前の顧客から様々な要望、時には苦言を言われますし、宴会についてもセールス担当が次の予約を取る際に顧客の声を拾い上げます。その声に基づき、改善につなげる体制を整えています。一方結婚式の場合、フィードバックの機会は非常に少なく、特にゲストの声は新郎新婦の手前なかなか表面化しません。クチコミサイトに書かれても、その確認すら怠っているケースが見られます。改善もされず問題は繰り返され、サービス品質が停滞する構造になっています。

結婚式の顧客はリピーターにならないという認識を改めない限り、現場サービルのレベルアップは望めません。実際に、結婚式のサービスに対する明確なポリシーを持ち合わせていない企業が多いのは、「一期一会」だからその程度でいいと考えているからに他ならないわけです。

サービスポリシーは全ての基本。現場スタッフに対して明確な方針として示さなければ、自発的な対応に委ねる形となり、それでは限界があります。特に結婚式サービスで陥りがちな、「時間通りに終わればよい」といった意識ばかり強くなっていき、クオリティは放置されます。

サービスポリシーとして、具体的に自社の基準を示さなければなりません。例えば80名、100名の列席であろうが、全ての人にチェアサービスを実施する。スタート前に各卓で挨拶をし、その際に引出物の説明、トイレや喫煙所の案内をしておく。ドアの開閉を絶対顧客にはさせず、スタッフで対応するなど。

基本的な動作を徹底する上でも、基準は求められます。サービス品質のばらつきを防ぐのはもちろんのこと、何に基づいてスタッフを指導し、チェックしていくかの指標としても、サービスポリシーは必要なものです。

 

(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、5月11日号)