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キーマンに聞く

連載18《当日施行力を向上させる》サービスのレベルUP【at-heart 代表取締役 稲岡利彦氏】
人材不足などの影響から、最近ブライダルのサービス力低下が課題となっています。今月号から、現場サービス力をいかに高めていくかという視点で、現状の課題と改善策を探っていきます。
新卒採用した社員を、入社3 ヵ月~半年でキャプテンとしてデビューさせる会場も増えています。教育の観点で考えれば、当日結婚式の様子も全く分からずに新規、打合せを担当させるより必要な知識を得ることもできます。
ただそうした仕組みの場合、指示などを含めバックコントローラーとなる裏キャプテンの存在が大切。キャプテンの立場は、現場で様々な采配をしなければならず判断も求められます。そのための知識・経験は大事ですから、それを考えると新人スタッフに任せられず、必ず裏キャプテンがフォローします。
ただこの役割を担う人材のスキル、経験が乏しいのもブライダルの課題です。特に結婚式だけの経験しかない場合、スキルはなかなか高まっていきません。一般宴会の対応が不足しているからで、研修などで学んだとしてもなかなか経験値にはなりません。
一般宴会は幹事とある程度の進行表は作るものの、当日に様々なことが起こります。そもそも打合せは1 、2 回程度であり、幹事に成り代わって現場での采配は重要。
例えば多忙なドクターの会合では、開宴時間なのに100名中10名しかいない。進行のタイミングを決めていたものの、社長からここでどうしても喋りたいと要望される。急遽VIPが来場することになり、専用の控室を用意しなければならなくなったなどは日常茶飯事です。結婚式のように、半年間綿密な打合せでしっかりとした進行を作り上げる世界とは全く別物です。
当日に発生する様々な事象に対し、できる範囲を判断しながら対応していく。宿泊を頼まれればフロント、二次会希望の場合はレストラン、タクシーの用意はベルマンとその都度やり取りも必要です。こうした対応をしつつ、オンタイムで進行していく役割もキャプテンは担います。
それこそ毎日異なる形式の宴会を、1 人で段取りを組んでコントロールすれば、自然とスキルを高まっていきます。参加者全体を見渡し、他部署との連携を取りつつ、出来る範囲の判断をする。一定のスタイルが決まっている結婚式に比べても、現場で起きる突発事態への対応力は格段に高まるのも当然です。
こうした経験をしていないと、オンタイムにしか気を配れず、結果サービス力は低下します。新入社員にキャプテンを担当させる以上、バックで全てをフォローできる役割を担う裏キャプテンのスキル向上は必須で、トレーニングが求められています。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月11日号)