LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

自会場に対する期待 ヒアリングで紐解く【sawan 代表取締役 髙橋和希氏】
――自会場で結婚式をする良さをいくつも提示してアピールするような接客は、顧客ニーズに合致しないとの考えです。
髙橋「全てを売り込まない、という意識が必要になっています。これまでは、自会場に10個の良さがあるとして、それを全て売り込んでいくスタイルでした。チャペルはこんなに素敵、貸し切りにできる、料理はこんなにこだわっているなど。ただ顧客視点で考えると、その会場に来て聞きたいことは、一つか二つに過ぎない。例えば自分たちは料理を大事にしたいという想いを持って、この会場であればその期待を叶えられると考え来館しています。それなのに、こんなセレモニーが評判ですと自慢をされても、そもそもニーズはそこにはないわけです。さらにいくつも良さを並べるほど、他にも見たい、前と比べてどうなのかという箱比べの勝負になっていきます。それこそ2 人にとってチャペルが絶対重要と思うのであれば、他の会場も見てみたらどうですかと案内をしながらも、ただし料理、その先にあるゲスト満足に特化して考えたいのであれば自分たちの会場で100%叶うから確かめてくださいと言う方が、よりニーズに合致します。」
髙橋「とにかくチャペル、バンケット、ガーデン全てを見せ、料理を出して全部良いでしょと働きかけても、結果としてその会場に来た2 人の目的もぼやけてしまい、会場としての特徴も薄れていきます。そういう事象の発生している会場が、最近増えている印象です。要は2 人が自会場で欲しいと考えているものを正しく提供すれば受け取ってもらえ、そもそも欲しいかどうか分からないのに良いですと言われても、整理のつかないのは当然です。」
――自会場に何を求めているか、ヒアリング力が重要ですね。
髙橋「ヒアリングで、コンセンサスを取っていかなければなりません。来館動機を踏まえて、2 人が自会場に期待している一つ二つのことを明確にしていく。一方で、自会場への期待だけでなく、競合となるA会場、B会場に対する動機・期待も確認します。そうすると、3会場に対してそれぞれ異なっている動機・期待がひとつのテーブル上に並び、その中でどの期待を一番重要と考えているかという、初めてきちんとした比較になっていきます。」
――例えばチャペルを重要と考えながら、3 会場を見たいといった話もでてくるかと。
髙橋「その場合、来館する3チャペルを同列に比較したいと考えているわけではなく、同じ箱ではない以上、そこで何をしたいのかという体験イメージの話になります。写真を撮りたい、アットホームな雰囲気で挙式をしたい、ゲストにこんな思いで自分たちを見て欲しいなど。一歩深い必要性は絶対異なってくるからこそ、箱で勝負せずに体験をどう必要としているのかという比較をしていきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月21日号)