LISTEN to KEYMAN
キーマンに聞く

第5回≪ヒト売り接客を劇的向上!! 【ブライダル・コミュニケーション塾】≫言葉が【伝わる】かどうかは声と声色次第【トルチュリール 代表取締役 玉井美輪氏】
人間はまず大脳で音を本能レベルでジャッジして、好意的な音であればその後に続く言葉が受け入れられやすくなります。つまり音=声は言葉によるコミュニケーションの一歩目であり、それがどう受け取られるかでその後の言葉の伝わり方も大きく変化します。逆に言えば、嫌だと感じる声であれば、シャットダウンをしてしまう。きちんと言葉が伝わるか、声によって大きく分かれるということです。
また、仕事で声色を上手に使い分けている人もまだ少数で、意識していないことも多いでしょう。声で言葉の伝わり方も大きく変わるからこそ、シーンや相手に伝えたいことに応じて声のトーンを合わせていきます。
私の研修では、発声の基本となるオリジナルの呼吸法から3 色の声色を習得してもらっています。例えば、申し訳ないという想いを伝える際に、いつものように明るい声を使っても、言葉と声のトーンが合っていなければ心からのお詫びの気持ちは伝わりません。想いや情景に声色、言葉、表情も含めて全てをリンクさせていかなくてはなりません。それを無視して言葉だけを伝えようとしても、相手に本当に理解してもらうのは難しいと言えます。
実際にある会場で、研修を実施したところ、成約率が15%アップしました。まずは自分に合った声にすること。ブライダル現場で多いのは明るさを感じさせる高いトーンの声で、先輩プランナーを参考に自然と全員同じようになっていきます。本来、一人一人声は違っていて自分の体を使って声を響かせなければいけないわけですが、誰かを真似しようとするほど偽物の声となり、相手に違和感を与えます。その人に合った本当の声を使うことで、相手に気持ちの伝わる確率は高まり、自然と成約率も上がっていきました。
また声色の使い分けも、成約率アップには重要です。例えばチャペル前で扉をオープンする時。「こちらでお母さんが幸せになってねという想いを込めて、ヴェールダウンをしてくださいます」と案内する際に、はじめましての挨拶の時と同じような明るいトーンで話しても、厳粛なシーンの情景は伝わりません。こうした場合には、落ち着いた声で丁寧に語りかけるべきで、当日のイメージを湧かせていきます。
言葉の前に、音そのものが脳に届く。だからこそ言葉の持つ力を最大限に発揮したいのであれば、声色に乗せていくことが大切。その効果として、マインドの変化もあります。声の出し方、声の大切さを意識すれば、顧客や他のスタッフへの向き合い方も変わっていきます。言葉をただ「伝える」という一方通行ではなく、きちんと「伝わる」かを重視するようになるからです。
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、8月1・11日合併号)

