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キーマンに聞く

第1回≪ヒト売り接客を劇的向上!! 【ブライダル・コミュニケーション塾】≫相手から信頼を得る【トルチュリール代表取締役玉井 美輪氏】
どの会場で結婚式をするかよりも、【誰に】結婚式を任せるかという『ヒト売り時代』に入っている。今プランナーに求められるのは、相手を感じ言葉や仕草も含めた伝える力で信頼を高めていくコミュニケーション力だ。そのスキルアップのために、ブライダルをはじめ幅広い業種の企業向けにコミュニケーション力向上をサポートしてきたトルチュリール(川崎市川崎区)の玉井美輪氏が、『ヒト売り時代』に求められるブライダルコミュニケーションのイロハを伝えていく本連載。
第1回は特別企画として、コミュニケーションの重要性とその効果をインタビューで迫る。
コロナで変化した意識
信頼を高める【ブライダルコミュニケーション】が、今なぜ必要だと考えますか。
玉井「ユーザー視点で考えてみると、コロナ後の傾向として、新婦と同じように自分も手紙を書いて誰かに渡したいと思う新郎が増えています。結婚式でも、家族やゲストと心で繋がっていたいと考えている証かと。またプランナーやスタッフに対しても、固有名称で『○○さん』と呼べる人間同士の付き合いを前提に、一緒に結婚式を作っていくことを求めています。それが価値になるような信頼感を与えられなければ成約はできず、仮に成約出来た場合も後々コンプレが発生しまうのは当然です。
一方、プランナー・スタッフ側を考えると、コロナ禍に学生時代を過ごした若い人を中心に、うまくコミュニケーションを取れないといった相談が増えています。コンプレを極度に恐れ、必要以上に新郎新婦に入り込めない。さらに人材不足で忙しく、その余力もない。コミュニケーションは必ずしも対面だけではなく、例えばテキストコミュニケーションも大切ですが、そこですれ違いになることも多々あります。企業側でも何か問題があればその都度指導をしているものの、それだけでは個々のコミュニケーション力はなかなか向上しません。」
玉井「コミュニケーションの目的は、相手からの信頼を高めることです。例えばあるレストランで、挨拶も素晴らしく、一生懸命で丁寧な接客をするスタッフがいたとします。ところが、オーダーしていたものと違う料理が運ばれてきました。果たしてそのスタッフに、厳しく文句を言うでしょうか。片や不愛想なスタッフだったとしたらどうか。これが人の心理であり、ブライダル現場でも求められることは変わりありません。」
CSを向上させていけば、ESも高まり、結婚式の場合には成約にも繋がるなど好循環となります。
玉井「もちろんミスは防ぐべきですが、それでも起こるのは仕方のないこと。コミュニケーションで信頼を得ていれば、レストランの事例のようにコンプレに発展することは確実に減ります。またコミュニケ―ション力は新郎新婦に対してだけでなく、スタッフ間でも発揮されることによって、連携ミスも減少します。コミュニケーションスキルの一つである雑談力が高まれば、休憩中に少し話すだけでより近い関係になり、『ホウ・レン・ソウ』も円滑になっていきますから。コンプレの原因を未然に防げるわけです。さらに信頼を得ることで提案する内容も通りやすくなり、売り上げアップ、新規の成約率アップにも繋がっていきます。それにより自分の存在価値を認められた気持ちになり、結果としてESも向上し離職率も抑えられます。」
ブライダル業界は、基本的にコミュ二ケーション力の高い人が多いかと思います。
玉井「接客をするのは好きで、明るい人が多いのは確かです。ただサポートをしている立場で話を聞くと、様々な悩みもあります。新郎新婦のタイプによって苦手意識を持っている。成績が他の人と比較し低く、羨ましく思ってしまう。上司と円滑に話ができないなど。自分に自信がなく、どうしたらいいのかという質問も投げかけられます。プランナーというよりは、人として成長したいと思っているのは素晴らしいことで、より高みを目指す向上心を持ちながらも、同時に成長痛が伴ってきます。信頼アップをベースにコミュニケーション力を教えていくと、こうした悩みも解消され一気に変わります。」
最近の接客では、いかに共感し寄り添うことが出来るかも問われています。
玉井「私は『感じる』ことが全てだと思っています。例えばお母さんが他界している新婦に対し、自分で同じ経験をしていないと本当の意味で共感するのは難しいはず。まずは新婦の悲しい経験、奥底にある感情を、その立場に立って感じられるか、思えるかが最大の信頼ポイントだと思います。そのために傾聴力、雑談力など様々なスキルが必要で、来月以降一つひとつを掘り下げていきます。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、4月1日号)